◆ 候補者名 ストラーク 種族
志望動機 「如何なる攻撃も生身で耐え抜く、絶壁となるため」
「──3」
(クッソ!! もう時間がねぇ……っ!! どうしやがんだストラーク?!)
狼狽えつつも、好戦的な笑みを浮かべる
彼は両手をガッチリと握り合わせ、腰を落とし、深く息を吸い込む。
「──2」
(ッ……できるだけ、強硬度に……っ!! 全身を包む……!!)
身体から蒸気が沸き立つ。血脈は沸き立ち、凄まじい勢いで全身を駆け巡っているだろう。
尋常ならざる「硬さ」にまで全身の硬度を高める彼についた異名は──
「──1」
──「鋼のストラーク」。
◆ 候補者名 フロギー 種族
志望動機「最強の蛙になって笑顔を守るため」
「──3」
(ゲコォッ!! ストラークはもう準備してるゲコっ、オイラも急がないと丸焼きゲコォ!!)
あたふたと、その様相に似つかわしく飛び跳ね慌てる
勢いよく息を吸い、頬を膨らませた。
「──2」
(まずは全身を水に変換──)
──皮膚の表面。薄く水が張ったと思えば、波紋を立てて拡がる。
フロギーの全身が水と化した。
(……っ、足りないゲコっ!! もっと吸い込むんだゲコォッ……!!)
水でできた頬はまたも膨らみ、先よりもより大きく、深く、息が吸い込まれ──身体が徐々に巨大化していく。
無名の蛙。
無名の学者。
無名の魔道士。
異名などない。しかし確かに、その蛙如きには情熱があった。
(次! 魔結界を全身にッ……!!)
「──1」
(間に合わない──間に合わせるゲコッ!!)
足元、浮かび上がる魔法陣。淡い黄金の光が、足から水の身体を駆け巡り、やがて波紋は静まった。
ただの蛙だと、嘲笑われた蛙は今や、水となった。
(……ッこいっ、ナイトスレイン!!)
◆ 候補者名 ラング・ファグ 種族
志望動機 「蹂躙」
「──3」
(……逃げ惑うな。狙いがブレる)
「──2」
湧き上がる悲鳴に唸りながらも、腰の
(……そうだ、耐えてみろ……)
ラング・ファグの右。魔族達がこぞってブレスに耐える準備──魔法の詠唱、各々のスキル発動──をしている。
牙の隙間から、微かな冷気が揺らめいた。
「──1」
「うぁああ!!」
──巻き上がる悲鳴、積み上がる魔族達。一瞬にして立ち上がった青い嵐は魔族達を吹き飛ばし、そして堕ちた魔族を山とした。
その鋭い眼光を最後に、積み上がった魔族の山の中に潜り込んで、剣を鞘に収めた。
──「氷牙のラング・ファグ」。
ギルドの、最高ランク冒険者である。
◆
「
轟音。暴風。灼熱。
紅蓮の烈火が門前広場を覆う。
「ガァァァアアアアッ」
灼熱に耐え、唸り声を上げながら耐えるストラーク。
「ぐぬぬぬぬっ」
暴風に抗い、巨大化した水の身体で踏ん張るフロギー。
「「「うぎゃぁぁああああ」」」
積み上がった魔族の山から響く悲鳴。
──その中で、ただ轟音を凌ぐラング・ファグ。
「──皆さんこちらに。防護結界を展開しています」
結界の中に身を隠す
「うニャぁぁあああ!! 熱いニャぁぁぁぁぁ!!」
慌てふためき、鼠のように逃げ惑う
──およそ二十秒に渡る
魔法を使う者、肉体で耐え忍ぶ者、スキルを使う者、近くの者を肉壁とする者。
皆、まさしく「死」そのものかのような爆炎に対処しようとしていたが、騎士殺しと呼ばれる竜の炎を耐えられたものはそう多くはなかった。
──しかし、生き延びた者たちは。
「……っしゃオラァアアァアアアアアアアア!!!!!!」
雄叫び。ストラークによる。
「……っ、ゲ、ゲコォッ」
安堵の溜息。フロギーによる。
「……終わったか」
勝利の笑み。ラング・ファグによる。
「もう安全ですよ皆さん」
露払い。
「……今回の合格者ですが……」
一息ついて、ルミィナが声を上げる。
門前広場に転がる無数の魔族達。
それらは死体のようであったが、しかしそのどれもに息はあった。
「600体からこの減りようですか……。良い選別となりました。
総員で、合格者は……8名──」
「──あぁぁぁああああ!! 燃えているっ!! 身体が燃えていますっ!!」
絶叫。しかしそれは、恍惚としたものであり。ルミィナがゲンナリした要因でもあった。
「ッ……サアミクス……。
──て、訂正しましょう。合格者は9名……。よく耐え抜きました。
「「「け、剣聖?!」」」
全員振り向いて、燃え盛りながらぴょんぴょん飛び跳ねるサアミクスに目を向ける。
「我こそ!! 剣聖なり!!」
次に皆の目にに入ったのは、床にゴロゴロと転がり伏せながらそう叫ぶサアミクス。
そうして火は静まったが、未だ髪の毛の先端が燃えていた。
「さ、サアミクス様が何故このような所に……」
「血族募集の宣言──エルフのみなも聞いていたでしょう? 我はアグランス様に魅入られた為に、ここにいるのです」
途端に落ち着いた様子で、立ち上がるサアミクス。
「……は、はぁ」
困惑したままの
「……それでは、皆様次の試験に備えるように──」
──駆けた、一筋の閃光。
狙いは──ルミィナへ。
──血が、飛び散った。
「……?!」
門前広場がどよめく。
──
「な、何が起こったケロ……。
ル、ルミィナ様から……血が? まさか──」
「──っ、んなわけねぇだろっ! そんな簡単に右腕様がやられるわけッ……」
慌てるフロギーと驚愕するストラーク。
“山”の頂上で座るラング・ファグ。彼もまた、同じように口を開けていた。
「おいでなさりましたか……」
微笑の
未だ焦げ付いた皮膚を触っては、その痛みを噛み締めるサアミクス。
「……これしきで倒れる訳がありません。
ましてや、たかが、
飛び散っていた血は、腕からだった。盾のように拡がり、凝固していた。
血の盾はやがて溶け落ち、地についた時には蒸発した。
そうして──
「──あれ。結構良い感じの音色だったと思うのだけど……」
ルミィナの元へ、高速で接近する影。輝く眼光。
「──
襲撃者、
好機と捉えたルミィナは、目を見開いて言い放った。
「──三次試験……この