こういったことも初めてなので優しく見守ってもらえると嬉しいです
プロローグ
ここは新エリー都にある病院の一室。
ベッドの上では、一人の青年がいくつもの医療機器に繋がれ、静かに眠っていた。
「○○……」
「リン……そろそろ帰ろう。」
「……っ、もうちょっと! もうちょっとだけ!」
「リン、気持ちもわかるけど、朝からずっと付きっきりじゃないか。それに最近、あまり眠れていないだろう? そんな状態の君を見て、○○が喜ぶと思うかい?」
「……そうだけど……」
「今日はゆっくり休んで、また明日来よう。」
「……うん、そうする。○○、また明日来るからね!」
二人は青年に別れを告げ、病室のドアへと向かった。
「……っ、あ……」
そのとき、背後から微かな声が聞こえた。
ドアに伸ばしていた手が止まり、二人が振り返る。
「「○○……!!」」
帰ろうとしていた二人は、すぐさまベッドへ駆け寄った。
○○の手を握りしめ、その声が聞き間違いではないことを確かめる。
「○○……っ!! ○○……!! よかった……本当によかった……!」
リンの目には、涙が浮かんでいた。
「私のこと、わかる……?」
「リン、僕は医者
「あ、うん……!」
アキラはそう言うと、足早に病室を飛び出していった。
「そうだ! 私も『ノックノック』で、○○が起きたことをみんなに伝えないと!!」
リンはそう言って、ポケットからスマートフォンを取り出した。
みんなに連絡を取ろうとした、そのときだった。
「……あの……」
ベッドの方から声が聞こえ、リンは思わず顔を上げる。
「……どうしたの、○○?」
「ごめんなさい……」
「え……?」
「……だれ、ですか……?」
「……えっ……?」
手に持っていたスマートフォンが、力なく床へ落ちる。
カラン――。
乾いた音だけが、静かな病室に響いていた。
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「リン、相談があるんだ。」
「どうしたの? お兄ちゃん。」
「○○を、しばらくの間『Random Play』で預かろうと思うんだ。」
アキラは真剣な表情でリンに話す。
「私は賛成! 記憶のない○○を放ってなんかおけないよ……」
「でも……」
アキラは難しい顔をして言葉を濁す。
「正直、この間の反応を見る限り、僕たちとの記憶だけじゃない。ほとんどすべての記憶を失っている可能性がある……。」
「……」
「はっきり言って、今の○○は僕たちが知っている○○とは、ほとんど別人かもしれない――」
リンは、アキラの言葉にかぶせるように言った。
「そんなこと、へっちゃらだよ!」
「……リン?」
「たとえ記憶が戻らなくても、○○は○○だから……!」
リンはまっすぐアキラを見つめていた。
「……そうだね。」
アキラは優しく微笑む。
「どうやら、いらない心配だったみたいだ。」
そう言って、アキラはリンの頭を優しく撫でた。
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病室
「やぁ、こんにちは、○○。」
「こんにちは。……ごめんなさい。僕、あなたたちが誰なのかわからなくて……」
「大丈夫さ。僕はアキラ。」
「私はリンだよ!」
「アキラさんに、リンさんですね。よろしくお願いします。」
「○○、君さえよければ、退院した後に僕たちのところへ来ないかい?」
「お気持ちはありがたいんですが……ご迷惑じゃ――」
「迷惑なんかじゃないよ!」
リンが○○の言葉を遮る。
「○○。私たちは、記憶をなくす前の君を家族みたいなものだと思ってた。」
アキラも続ける。
「記憶がなくなっても、それは変わらない。」
「だから! こんな状態の○○を放っておけないの!」
リンの言葉を聞いた○○は、少しの間悩んだ。
そして――。
「……そうしたら、しばらくの間ご迷惑をかけますが……お願いします。」
「うん!」
リンは嬉しそうに笑った。
「これからよろしくね、○○!」
「こちらこそ、よろしくお願いします。リンさん、アキラさん。」
こうして、記憶を失った○○は――
新エリー都のビデオ屋、『Random Play』で暮らすことになった。