特任騎士のオレの仕事は、暴れる王女サマを見ていることです 作:月待 紫雲
冒険者約20名。
ぞろぞろと道を歩く。強さはまちまちだ。魔物を抑えることが目的なので、ガスト級をメインに、ウィンド級とゲイル級が混じっている感じ……らしい。らしいというのはジンジャーに聞いたからである。
「なぁ、魔女というのはどんなやつだ」
エルゼ王女が、オレに尋ねてくる。
草原を突っ切る道を通る中で、オレたちは後ろの方にいる。他の冒険者は自分のパーティーメンバーと会話をしていて、他など気にかけている様子はない。
何人か、敵襲を警戒しているやつは、もちろんいた。
「……ロマ?」
「魔女でしたね。一度だけありますよ」
「おぉ、どんなやつじゃった?」
思わず口を閉じる。
「魔女の話か? アタシも聞きたいねぇ」
黙り込んでいる間に、ジンジャーが割り込んできた。
「今回のやつと全く違うと思いますよ。何せ、
「そうなのか」
「えぇ。大したもんじゃありませんよ。なので、問題ないかと」
「うぅむ、残念じゃな」
おい王女。
「魔女は強いと聞くけど」
ジンジャーの方は魔女初討伐なのか、そんなことを聞いてくる。まぁ、人生で魔女に遭遇する機会なんてほぼないだろう。だいたい教会側が討伐しに行って、「魔女討伐しました〜」と大々的に発表するのが主だし。
それも稀だ。
「魔女だって冒険者と同じでピンキリなんだろ」
ジンジャーは疑わしそうにこちらを見て、それから指をさしながらエルゼ王女に顔を向ける。
「お嬢ちゃん。ロマ基準で弱かったは当てになるのか?」
「あまりならん」
即答された。
「ぷっ、じゃあ役に立たないじゃないか!」
笑い出すジンジャー。
いや、オレの感覚は当てになるだろ。一般人……は言い過ぎか。元暗殺者だし。
「エルゼ様よりはマシっすよ」
比較的マシ。うん。
「その言い分だとお嬢ちゃんの方が強そうだね」
「そんなわけなかろう? こんな子どもに力なんぞない」
手をあげてさらりとウソを言う。
「アンタは無茶ぶりがひどいんですよ」
こういうところとかな。
「補助はしてやってる」
「戦うのはオレなんすけど」
「あはは、いいねえ! 仲がよろしいようで」
エルゼ王女はニッコリと笑みを浮かべた。
「当たり前じゃ。な?」
「え? あ、ハイ」
「なんじゃその曖昧な返事は」
「主従なもんで」
腰を殴られた。
「いて」
「ナ・カ・ヨ・シ」
「ハイ」
素直に同意しておく。仲悪いわけじゃないしな。
「雇われなんだな、ロマは」
「えぇ」
「その前は何を」
「適当に旅してましたよ」
暗殺者だったんであちこちを。
「しかしロマはともかく、お嬢ちゃんがその若さでガスト級は驚いたよ。ヴライクが強さを疑うのも無理はない」
「才能があるのでな」
「それでもだ。その幼さでガスト級だと、な。ほら、
「……何がいいたい?」
低い声で、エルゼ王女が問う。
「聖女認定をもらっての特例だ。ありえぬ話を持ち込むな」
反論を待たずに、怒りをあらわにする。
「いいや。疑ってはない。客観的な話をしているんだ。真っ当な強さを身につけるには幼すぎるってね」
ジンジャーは手を振りながら弁明する。
「聖女の扱う魔法の軸は信仰心だ。祈れば叶う」
「信心深いんだね。あのウラリア様と同じで」
そいつもウラリアと同じ一等聖女です。ちなみに欠片も信仰心ないです。
「冒険者として長く生きてると疑い深くなっちまう。気分を悪くしたなら謝るが、そういうこともあると思ってくれ」
ジンジャーの目がこちらに向く。わかるだろ、と言いたげだった。
わかるよ。オレ、ダインスレイヴ教団を裏切った側だからね。
「認証だけでは不満か……うーむ」
「とびきり強いセンス持ってりゃ納得だけど、証明する手段がアタシらじゃ限られるしね。アハハ!」
エルゼ王女のセンスはクッソ強いんですけどね。しかも2つ。でも、証明する手段がないっていうのは、そうだ。
確認ができなければ確信は得られない。それがなければ安心はできない。当然の話だ。
◯
いきなり冒険者の集団が来て泊めろといっても、宿に限界がある。今回のような大規模攻略になると基本野宿になる。
拓けた場所に火を起こし、それぞれが野宿の準備をする。襲撃があっても対応できるように、見張り役が何人か起きているので、問題はない。
エルゼ王女が点けた焚き火のそばに座り、オレは火を眺めていた。
エルゼ王女は寝ている。魔物の素材を使った高級な寝袋だ。ぐっすり寝れるだろう。
「おい」
声をかけられて、目を向ける。
「ボクと勝負しろ」
剣を前に出して要求してきたのは、守り手のニエベだった。
「理由がないね」
というか自分のことボクっていうタイプだったんだ。珍し。
「ボクにはある」
「オレにはないって話」
明日には魔女とやらと戦わなければならない。正確には魔物のほうか。どれだけ強い魔物がいるのかもわからないし。ゆっくりしておきたいね。
「ボクは、ウラリア様の守り手だ。オマエに、あんなあしらわれたままでは納得がいかない。1対1でちゃんとした勝負をしろ」
「うーん。この間の二の舞になると思うけど」
「あれから時間も経った。簡単にはいかない」
仮面で表情は見えないが、本気度というのが窺い知れた。対してオレは何も感じてない。テンション差がヤバい。
「ロマ様」
どうしたもんかと思っていると、ウラリアまで来た。
「彼女に、剣を教えてあげてくれませんか」
「教えるもんなんて何もありませんよ。流派が違うでしょう?」
「えぇ。でも、見せることはできるでしょう」
「オレのメリットがありませんね」
「ないかもしれませんね。ですからお願いです」
「ウラリア様! こんなやつにお願いなど」
「ニエベ」
ウラリアはその一言でニエベを黙らせる。
「剣を見て。そして見せてあげてください。エルゼ様をお守りする立場であるのなら、ニエベの気持ちもわかるのではないですか?」
「……あー、ハイ」
「……あれ? なぜでしょう? 今凄い間があったのは……」
いやごめん。さっぱりわかんない。そもそも、守る立場っつっても建前だし。オレよりエルゼ王女の方が強いし。
『お主がいなければ死んでいたやもしれん。だから――ありがとう』
…………。
……そういや、そういうこともあったな。
オレは立ち上がる。
「ちょっとだけですよ」
アンケートご協力ありがとうございました
結果としましては
回答
(275) 固定しなくてもいい
(6) 01時15分
(25) 07時15分
(12) 12時15分
(8) 17時15分
となりました。
基本的に07時15分を意識しつつ、土日は12時15分が無難かなぁと思いました。
大多数は固定しなくても良いなので、たまに時間がずれるかもしれません。
これからもよろしくお願いします