ここでは都市に転移したと思ったら目の前に指令を受けたソラがいた男について語られる 作:ケジメされた人差し指
A.指令を受けた人差し指なら可能です
というのは抜きにしてソラちゃんって可愛いですよね。そんなソラちゃんと肝を冷やしつついちゃつきたいような欲望に駆られて駆け抜けました、
オリ主の性格に関してはあらすじにも注意喚起としていますが、苦手な方も多そうな造形ですのでご注意いただけるど幸いです。
俺は人生という物に特別意味を見出していない生き方をしていた。って言っても悲観的にこの世に意味はないんだー、とかどうして自分は産まれてきたんだーって悩みがある訳じゃなく、何になりたい何がしたいって物もなく、漠然と働いて美味いもん食ってゲームして。恋人とかは欲しいがそんな生き方と良い方って言えるツラでもなきゃまぁ、わかるだろ。
兎に角俺の人生にはこれから挑戦も無ければ、事故なんかでも起きない限り波乱って呼べるような物が来るでもなく、薄っすら立ち込める不安を無視しながら生きていって、流されるままに生を全うするんだろうなと、思っていた訳だけど……
【ピピピピピピ】
気がついたら見知らぬ街の中にいた。いや本当に気がついたら、寝て起きたらとか急に意識を失って目を覚ましたら……とかじゃなく、家に帰る為に車から降りてつったか歩いてたら急に足元が、風景が、音が、テレビのチャンネルでも切り替わるようにふっと変容した。
「わぁ……」
「えっ」
立ち並ぶ高層ビルは普段見るそれらとは異質な色彩を放っていた。どんよりとそれ自体が霞んでいるような、鈍く陰鬱とした空気を醸造していて……空の模様もまたそれに比例するような、単に曇っているだけでは考えられないような曇天だった。
とまぁなんか視界の端を二足歩行の機械が歩いてたり現実離れした何かとしか言えない物体が鎮座していたりと他に気にするべき事もあるんだろうが、それはそれでこれはこれ……なんて言えば良いのか。今俺の目の前にいる相手と、その身体の何処から鳴っている電子音という情報が頭の中を埋め尽くしていた。刹那的に駆け巡る幾つものワード……
代行者、人差し指の子方、都市、蜘蛛の巣、プロジェクトムーン、開花E.G.O、ソラ、指令。
「終わりぃ!!!」
「え、ええっ!?」
終わりでーす。終わり。全部。異世界転移させられたと思ったら作品としては好きだけど現実としては関わりたくない世界トップに食い込むようなぷよむん世界で、しかも現地人として転生とかでもなく現実のパンピーそのままつるつるてんで放り出され。挙句に目の前にいるのはついさっきまで本心から談笑していた相手でも指令さえあれば本心からぶち殺せる膿み腐った指のクズ……その中でもだいぶ極まってる分類に入るであろうナチュラルボーン操り人形なソラである。
いくらなんでもヘルメスのあほが現実から来た、来させられた? 俺の存在まで把握した上でピピったのかは知らないが、ソラのリアクションからして俺に対する指令が出たのは確実なのでこのゲームはクリア出来ません殺すならせめて優しくしてくれ!
いやもうリアルで目の前にいるソラちゃんがマジで現実離れした美少女だとか、やっぱりその絶対領域いいよなとかけど目が漆黒過ぎて怖いなとか身体ほっそとかはあるんだけど、どう足掻いてもDIEなのが確実過ぎて、一周して、面白くなってきた。出し切ろうぜ、
「
「えっ、あ、こ、こんにちはぁ……ボクは……」
「ソラちゃん、良い名前だね〜キーブレードの勇者みたいでさ」
今までの人生、言いたいやりたい我儘や欲望はあっても世間体ってもんがあった。自分にはそれを押し通せるだけの人間的な能力もなく、それが無力感として覆い尽くして諦観の中に生きていた訳だが……だが今は違う! 都市に転移させられた上に人差し指に関わられた時点で遅かれ早かれ死ぬのは確定したようなもんだから、ついでにここじゃ俺が誰で何かなんて気にする人もいないから、寒々しく痛々しいくらいのオリ主ムーブでもしてその瞬間が来るまではエンジョイしましょう! 自分を解放しろ、美しい声のように……この数分後数秒後とかには死んどるかもしれんけど。やっぱ怖いわ、どうすりゃ俺っちの命だけでも助かるんや?
「キー、ブレ? って……ど、どうしてボクの名前、し、知ってるんですか……?」
「そらもちろんアレよ、アレ……ほらわかるでしょ」
「え、アレ、アレ……えっ、も、もしかして……あなたにも指令が来たんですか?」
「そうとも言えるし、そうでもないとも言える」
「ど、どっちなんですか!?」
「そうか? そうだなぁ、そーかもなあ!!!」
楽しい。例え死ぬ前の風前の灯火がちょっと激しめにゆらゆらしてるもんだとしても、自分より遥かに力も頭も上な相手の全てを知ったような顔して好き放題に、不敵に振る舞うことがこれほど快感とは。フォフォフォこれは癖になりそうだ。ル(薬指ドーセント 字余り)
「まぁ挨拶も済んだところで本題だけど、なんか指令来たんでしょ? なんでもお手伝いします!」
「や、やっぱりそうなんですね! 良かったぁ……それなら話も早いですよね」
「んでも俺は君に来た指令そのものを知ってる訳じゃなくて、君に指令が来た事しかわからないから、内容は一切が謎のままだねぇ。教義に従って教えてくれ」
手持ちのネットミームで捲し立てつつソラちに来たであろう指令の内容を聞き出そうと試みる。人差し指の怖いのはこうしてゆるっとしたやり取りした後であったとして、普通に「これから貴方の顔の皮を剥ぐんです、いいですよね?」ってオフェンダー=サンみたいな事言われて恥ずかしがり屋にされる可能性があるんだ。
じっとりと掌に汗をかきつつ続きの言葉を待っているんだが……なんだか変にもじもじしてるな。指令の言葉なら絶対だろうし何か逆らい難いような事も無いって造形のキャラがソラちゃんな訳だけども……
「え、えっと……指令が来たんです。今日この通りを歩いていて6時24分を過ぎた後に二つ目の曲がり角を進んで初めて出逢った人間が……」
「人間がぁ……?」
「ボ、ボボッ……ボ、ボクの……運命の、相手だって」
「おー…………………」
ヘルメスのあほ、ホプキンス、エイハブ、ヒンドリー、ご老人、アレン、セルマ、ウォルター、etc……この世全ての罵倒を込めて……ふざけんなよボケが。リアンを指令のオモチャのチャチャチャってユーザーとして笑ってた俺がオモチャのチャチャチャにされる事があるとは考えもしなかった考えてたまるか予想できてたまるかこんなもん!
なんて? いや本当に……本当になんで? 一体都市の意思様の意中はどんなものだったのですか。調子こいた転移者をバチボコに痛めつけて悔やませるとか、まぁあんまりプラス方向の待遇受けさせる予感は微塵もしてなかったんだけど目的がわからん!
「何その、運命っていうのはあれ、男女とかの……マリッジ的なあれ? それともこれから先に起きることをこいつと共にしろ的な?」
「マ、ママッ……うっ……うぅ、男女の、それです」
「なるほどなぁ、いや俺視点では君がそれで良いとは微塵とも思えないんだけども……」
うーん、ソラちゃんは指令に意思を委ね過ぎた結果として全幅の信頼を置き過ぎているというか、指令に従ってれば幸せになれるのと指令に従う事が幸せをごちゃ混ぜにしたような状態にある。だから本来そこら辺にいる、いや都市にはいないんだけど俺みたいな人間に対してであれ指令がそうピピったんならそれが自分の運命で、素敵な相手にでも感じられるようになって……いやごめん正味リンバスに出てる範囲だけでそこまでわからんわ。
多分そんなんだよねって自分なりの解釈、なんせLC襲撃後にちょっと会話して次出てくる時にはリアンシにゴミ箱へ没シュートされるところだったのだから。承認欲求とか強そうなところはあるんだよな、人差し指でさえなければ純朴な感じもあるし良い子って感じもする。人差し指でさえなければ。
「す、すいません……ボクみたいなのが相手じゃ、嫌ですよね? 同僚達にもす、好かれてないですし、だからこれまでそんな……」
「いやソラちゃんは可愛いよ。俺の方が釣り合ってないからああいう言葉が出ただけで、睫毛バッシバシで目とかくりくりしててチャーミングだし眼鏡っ娘は属性としてだいぶ好きなんだよな? 他の魅力に関しては
「わぁ……ほ、本当に、ボクの事、えへへ……」
ソラの口元はあの人差し指マークがついたクソデカ首輪に隠れて見えないが、声色は上擦っていて真っ白な頬も微かに紅が差しているので……今の所はこれで大丈夫なんだろう、いやそれ本気で言ってる?
まさかヘルメスがマッチングアプリみたいな事仕掛けてそれで終わりって事もないで……よくよく考えたらリアンも人差し指マッチングでロランエミュの為に嫁さんと最初の娘を作ったんだよな。あーやべ本気で厄介ごとに巻き込まれる気がしてきた、サクッとすぐ殺られるとかならまだメンタルはマシかもだけど、暫く何事もなく付き合えちゃってソラちゃんにガチ恋しちゃうと上げ落としの心配をしなきゃならんのか。
「こっ、こい……良い人が出来たら、一緒にしてみたい事があって……あ、アイスクリームを2人で食べに行ったりとか……」
「いいね、俺バニラ信者だから。ソラちゃんもバニラアイスが好きだったよね、同じものが好きな相手ってのは気が合いやすくていいもんだよ」
「あ、貴方もバニラアイスが好きなんですね! や、やっぱりこれが……ってそういえば、貴方の名前は教えて貰ってなかったですね。なんていうお名前なんですか?」
なんか本名とか言って差し支えないやろか。千と千尋の湯婆婆に名前教えるみたいな……もし現実世界に帰れるんだとしても名前言っちゃってたからアウトだとか、そういうところありそうではないか。
嘘教えたってバレたら悲しんだり不服に思ったりするだろうなあ、変わり身が怖いところでもあるけど……仮称って事でここは、プロムンっぽいのだと……
「アンデルセンだ、よろしくソラちゃん」
「ア、アンデルセンさんですね!」
「言いにくいだろ、呼び捨てなり渾名なりで呼んでくれよ。付き合いの短いか長いかもまだわからん仲だけども【ピピピピピピ】、さ……」
幻想体の元ネタとかも多いし洒落効いてるだろとか浮ついた心に氷の脚をぶち込まれたような感覚っ。ソラちゃんが持つ端末が電子音を発し、ゴソゴソとそれを取り出そうと……手枷のせいでものっそい確認しづらそうね。代わりに出してあげたいところだけど何処にあるかわからんし取り出すってなると、俺にはハードルが高過ぎる。
それに指令から何言われるかもわかったもんじゃないんだ。こいつ今嘘こいたからちゃんと本名聞き出せって言われるかもしれないし、それとは全く関係ない事かも。恐々としつつも無事ピピ様の文言を確認したソラちゃんは何とも嬉しそうな声色で、俺を地獄に叩き落とす。
「え、えっと……今新しい指令が来たんです、アンデルセンさん……あっその、折角の申し出なんですけどアンデルセンさんって呼ばせてもらいますね! それで……」
「貴方を蜘蛛の巣に連れて行って、ボ、ボクの親方をしてくださってる、リアンさんに紹介しろって……」
感想やここすきなどいただくと喜びます。あと私はロボトミに関して触れる事が出来ていないので、一応リンバスキャラなので大丈夫かとは思いつつもここおかしいぞなど指摘があれば助かります