ここでは都市に転移させられ、目の前に人差し指の子方がいた男について語られる 作:ケジメされた人差し指
そしてリアンの時もそうではあったので不思議ではないですが、やっぱり人差し指って指令で結婚するよな……いいな……となるなどしていました(ファンメイド作品ではありますが)
食後の腹ごなしも兼ねて2、30分程歩いて自然公園に隣接したカフェに到着。人工池と子供用の遊具にそれなりの草原。なんか都市なんて灰とか黒とかって彩りに欠けた場所ってイメージが強かったが、こういう場所もあるもんなんだな……良い場所知ってるわソラちゃん。
ここまでの道のりとしては案外平穏で、行き交う人々と車、都心部から離れるごとに点在する街路樹の密度が増していく、ありきたりな街の営みはどうにもここが都市だと言うのを忘れさせそうだった。
如何にディストピアで終わり散らかしてるとこき下される都市だって、巣の中ならそれなりの豊かさと安寧を成り立たせてるって話か。ゲームなんかでは必然的に刺激の強いシーンが切り取られはするものの、それらは圧倒的に母数が多い中で発生する局所的な大惨事なのであって、毎日全ての区が阿鼻叫喚の地獄絵図という程の事も早々ないだろう。
問題は早々ない、であって絶対にあり得ないという保証はどこにも無いところ。ゲーム中でもL社、図書館、リンバスカンパニーの活動がピックアップされているというだけで、その裏で描写はされていないが大暴れしている都市悪夢案件だとかも幾らでもありそうだし……なんなら都市の星レベルも。
「良い場所じゃないか。カフェの軽飲食くらいだったら1人でも来られたんじゃないか?」
店の雰囲気も公園に合わせた、ナチュラルモダンで気取り過ぎていないお洒落な構え。手枷もあるし1人では入り難いしだった昼食の店なんかは仕方ないが、こういうカフェとかはソラちゃんだけでも大丈夫そうなもんだけど。
そう思って発した俺の問いに彼女は微かに汗を浮かべた。そんな焦る必要ある……? なんか下手な事でも言ったか、すわ家族関連の地雷か? 彼女に釣られてじゃないが俺の額にもじわっと汗が浮かんだのを感じる。
「あっ、ああいえ、それはそうなんですけど……こ、このお店を知った後にこの辺りまで来るような指令が無かったんですよ」
「うん? そういうもんかもしれないけどさ、指令が来ない日とかに行ってみようとかさ」
「……言われてみたらそうですね?」
考えつかんかっただけかい。ふぅ……脅かしやがって……! でもこれ、俺に気を遣って咄嗟に嘘ついたとかじゃないよな? どうだろ……うーん、ソラちゃん嘘つくの下手だからなぁ。原作に準えるなとは思ったところではあるけど、ダンテ組にLC社員として合流した後の発言全部矛盾してたし……
もし嘘じゃなかったらお前本当にカスだぞってところだけど真置きして、頭の中で気になりはするものの指令が無いと実行に移せない……みたいな考えが底にあると考えた場合には、やっぱり痛ましさがあるよな……反動か?
ソラちゃんが人差し指として生きて来た中で、してみたい事は多くあったけど指令が無い以上はそうすることも出来なかったけど、指令で交際する事になった俺相手になら全のっかり出来るって事かもしれない。少し複雑少し嬉しみ。
「あっ、それでも……気になるところはア、アンデルセンさんと一緒に行きたいです。カッ、カップル限定のメニューとか、そ、そういうのがあるお店も、あるんですよ!」
「マジか、都市にそんなラブコメのネタでしか見ないような店あんのかよ……」
言うても交際経験なんて俺には皆無……うん、皆無だったから実際にはあったものかもしれんけどね。見せろよ、図書館から帰って来たシャオとロウェルがお互いの気持ちをオープンにしてそういう店ではにかみながら同じスイーツつつく姿をよ……
結局リウはやめちゃったのかなシャオ部長。あれだけの戦力だと受理されないとか事なかれで済まされたり、本になった人員も戻って来た訳だから協会員達が引き留めたりがありそうだ。好きなキャラだし元気にしてると良いんだけどね〜、でも会いたくは無い、絶対に。人差し指についててシャオ部長と会う状況なんか絶対指令絡みの荒事じゃん、俺なんて一瞬でボッされてアイアムファーイヤよ。
「ど、どれにしましょう……キャラメルマキアートか、コーヒーフロート……スイーツとかは、アンデルセンさんはどうしますか?」
「食後でお腹が空いてる訳でも無いしね。そっちは一つだけ頼んで分ける形とかでもいいんじゃないかな。俺はロイヤルミルクティーにするよ」
クククク……シナモン多めのアップルパイとロイヤルミルクティーは旨味、うまあじ、美味しさ、そしてびあじしさが含まれた完全食だァ。メニューは豊富に用意されていたが、この2つの並びを認めた瞬間に吸い込まれるようにして決定されたよね。もしかしてこれが都市の意思……ってコト!? ハンチョウの意思だろ。
ソラちゃん的にはアイスもついてるコーヒーフロートにしたいような、それは何か違うようなと可愛らしい悩み方をしていたので、アップルパイにバニラアイスつけるくらいだったらそんなに重くもならないだろうからトッピングで。
注文した物を待つ間、ソラちゃんとは義体や強化施術の話をする事にした。貧弱な俺が都市で生きていく上で少しでも安全になる為の物……って話だが、俺としてはちょっとばかりそれは怖いんだよなぁ。
「ソラちゃん、赤い霧ってわかる? 最強の」
「さ、流石に知ってますよ……あの、最強の」
「うん、最強の」
「えへへ……」
「はははは」
今の何? なんだかんだ赤い霧の活動停止してから都市ではかなりの年月経ってて、時代の流れってのもあるだろうにフィクサー好きなキラとかならわかるがソラちゃんからの認識も最強で通ってるのやっぱり変だよあのエレキギター。
「んで、まぁ知っての通り赤い霧って人間なんだけどさ……同じ生物だと思う? 俺と」
「あ、あのフィクサーと比べると、ほ、ほとんどの人が同じ生き物じゃなくなると思います」
「それは……そうなんですが……」
強い人間と俺の比較っていうのでカーリーを挙げたけど、本当にそうすぎて例えとして適切じゃなかった。話がズレたな、あいつがどれだけ規格外かみたいな話がしたいんじゃなくて……俺の肉体と都市の人間の肉体の違いだ。
「話した通り俺はこの都市の外から来た訳だけどさ。それはもうこの都市に住んでる人達は、頭でさえ俺の居た場所なんて知らないってくらいの出身なんだよね」
「は、はい……凄いスケールのお話ですよね」
「でなんだけど、まぁ俺って弱いよね。ソラちゃんの方が体重も軽ければ腕とかも細くて、外見的な筋肉量は歴然の差なのに実態の力はその逆どころじゃない」
異世界物なんかではよく創作の神話じゃない、モノホンの神様なんかがいて、人類は猿から進化した訳じゃなくポンとそれらから産み出された存在だったりする訳だけど。そうなると同じく人類って名を冠していて、似通った外見と文化に知能を持っているとしても、生物としてのその根幹はまるで違うよな。
都市の人間って……どちらかと言えばそちら寄りな気がするのだ。目の前にいるソラちゃんなんかがそうだ。細く小さく可愛らしい女の子が大柄な男を指先一つでダウンさせるなんてフィクション、ファンタジーでしかあり得ない訳で。その身体には自分の精神から発現したE.G.O.なんて物が身に付いている上に心と望まである。
「気味の悪い話をするようだけどね、そう考えると俺とソラちゃんは外見だけ一緒の別の生命体くらいに言える訳なんだ」
「うーん……そ、そう言われて見ると、なんか違うなぁって感じは……匂いなんかは、よ、よく違いを感じるんですけどね」
「匂い……はまぁいいか。重要なのは、だ。ソラちゃんも俺に義体や強化施術を勧めてくれていた訳だけど、それは都市に生きてる人間であれば活きてくるものであって、俺の身体にちゃんと機能するかどうかがわかんないだろ?」
義体に変えるために腕切り落としました、上手く動作しません。かといって生身へは不可逆なもんだからただでさえ雑魚の俺が隻腕のクソ雑魚にランクダウンする訳だ。なるほど、隻腕の雑魚か……ならばおぬしを隻魚と呼ぼう。ダサ過ぎる。
「た、確かに……メスを入れてからどうにもなりません、じゃ大変ですもんね」
「なんなら都市の人だって義体が身体に合わない、強化施術で副作用が出るなんて事もあるくらいに、個人差が出る技術なんだ。そいつを身体に入れるのはかな〜り不安要素が大きいなと思っちゃうんだよネ」
散弾銃の入ったケースを見る。したがって俺が護身をする時は肉体に何かするんじゃなくて外付けの工房製品とかで固めた方が丸いと考えられる。道具ならただ単に使うだけの物でしかないからな、こっちはこっちで
「こんな事を聞くのもなんだけど、ソラちゃん自身は強化施術ってしてる訳じゃないんだっけ」
「そ、そうですね。ボクは幸いな事に……このE.G.O.と、後は知っての通り心と望。か、身体の頑強さにも恵まれたのでそういうのはやらずに、代行者になれたんですよ」
「中々……俺の暮らしていた場所での常識からは考えられない仕組みなんだよな」
蜘蛛の巣の面々……マティアス、キラは怨恨の刺青でわかりやすい強化施術。カリストとアルビナは全身義体で、小指親子方にレンチとルチオォは生身っぽいけど……区別つかねぇもんな。ヴァレンチーナだけは目が義体ってわかってるが、あれだって予知眼って情報が無いと普通の目っぽく見えるし。
都市の強者とされる者たちでも、100%自分のスペックだけで戦ってる人っていうのは稀なんだろう。それならフィクサーやゴロつき達なんかは尚更、少しでも良く生きる為にはそういうのに手を出す訳で……
マジでな〜、強化施術くらいはした方が良いんだろうけど図書館だっけ……ミスって肉体溶けたとか書いてあったの。俺の身体の仕組みなんて都市の人間と絶対違うしリスクが高過ぎるんだよね。
「リ、リアンさんなんかは生身なのに神託代行者にまでなってますから、凄いですよね」
「強さと指令の遂行、マルチな才能って面では本物だろうからなぁ……」
どうしても戦闘能力の高さばかりに着目してしまうものの、人差し指の指令は多岐に渡る。どれくらいのペースで指令が来るのかなんてあのクソ装置の揺れ具合でしかないから総数はわからないけど、神託代行者ともなれば相当な数の無茶振りを遂行して来たという事に他ならない。
HIT MANのバーコードハゲが可愛く思える程に何でも出来るはずだ。料理なり車の運転なり演奏なりモデルなり……あのスーツを着たままドラムを叩くリアンの姿を想像する。きっと目にも止まらないバチ捌きで人間とは思えない密度の音楽を奏でるんだろう。太鼓の達人とかも上手そう。
「で、でもボクも頑張ってアンデルセンさんをお守りしますから、た、頼りないかもしれないですけど……」
「本当に助かるよ、ソラちゃんマジ解禁、複製、都市の意志!」
「え、えへ……そ、それは褒め言葉なんですか?」
そんな事言ってるうちに頼んでいたお茶どもが来たので、またソラちゃんにあーんしてあーんされるシガニダ。こういうパイも作り置きしておくもので焼き立てって訳じゃないだろうに、ホクホクの熱気と生地にエッジの立った断面を見ると今オーブンから取り出したんじゃないかって装いだ。
蜘蛛の巣にあるやつほどじゃないけど、状態良く温める道具とかあるんだろうな……アップルパイに乗ったアイスクリームもその熱で蕩け、かなり良いビジュアルに仕上がっている。都市は美食に全力だなぁ……
「溶けきっちゃうとよくないし、パイは早めにいただいちゃおうか」
「そ、そうですね! それじゃあ、お、お願いします」
再放送でお送りします。さっきの店は街中っていうのもあったから周囲の視線も多かったが、こういうカフェに来る客層の方々は人差し指ともそこまでの縁が無いのか、指に対する畏怖の視線みたいなものはあまり感じられない。
代わりにあるのは微笑ましげな視線、どちらにしても見つめられてしまう(10章) ソラちゃんもさっきの店よりは居心地良さそうだし、ステーキ食わせ合うよりはだいぶカップルっぽい雰囲気になるからか屈託の無い笑顔を浮かべている。守りたいこの笑顔。
「んむ……ん〜っ、美味しいです!」
「良かったねぇ」
なんかこう、ソラちゃんを美少女として意識し過ぎない方向性に考えを持っていきたいところなんだけど、じゃあ何になるかって言うと可愛いワンちゃんとかになるからどっちにしても心臓が保たない。このポテンシャルは広く周知されるべきだったと思う、ようキラ以外9章で使い捨てたなドッグファーザー様。
ソラちゃんにアップルパイを食べさせた後にお茶を啜る。ミルクのコクが凄い、これスーパーで普段手を出さないタイプの牛乳だろ。茶葉の風味も力強く、本来なら複雑に感じてしまいそうなくらいなものをこのミルクがまろやかに中和し、昇華させている。
これ専用の茶葉だったりしそうだな……ソラちゃんから差し出されたアップルパイも口に含む。ほぉ〜シナモンと林檎の蜜、バニラアイスが三位一体、彩豊かな味わいが口内を蹂躙していく。それをミルクティーで押し流すように……
「はぁ〜美味いなこ……なんか自然とあーんされちゃってたね」
「そ、そうですね? さっきのお店では、アンデルセンさんも凄く緊張されてましたけど……」
「……まぁ、自然体でお付き合い出来てる方が良いか」
コンビネーションの美味さで一瞬それ頭から抜けてたわ。でもそうだな……俺の方が壁を作ってしまっている感は否めなくもある。根底に指令があるとか、ソラちゃんって人物に対する事とか諸々。守られたりお金出して貰ってる立場とかもあるし。
それでも、そんなことを忘れて彼女と過ごせるようになれば良いなとは思える。じゃあ今度は俺の方から……
「あれソラちゃん、さっき俺が使ってたフォークってどうした?」
「え、えっと……今アンデルセンさんが持たれてるのとおんなじです」
「……その、さっきソラちゃんどのフォークで俺にアップルパイくれた?」
「だ、だからその、それとおんなじやつですよ?」
「………………huh?」
アンデルセン
記述された理由により強化施術などの人体改造には否定的。現G社製の道具とかでやってみたいズルとかは考えている。距離感の詰め方がバグり散らかしている子方によって精神を破壊され、死んだ。
ソラ
そろそろ精神力が45を超過する。
こういうことにずっと憧れはありましたけど、そういう指令も無かったので……自分で判断をする事は、こ、怖いですし……