ここでは都市に転移させられ、目の前に人差し指の子方がいた男について語られる 作:ケジメされた人差し指
考えなしの投稿者、ワン・ダーウェイと申します
不意にソラちゃんの遺伝子を接種してしまったので続きやります。今回はお店を出て公園の中を暫くお
本当にお宅はどういう教育をなさってるの? なんて言おうもんなら教育受けられてないです、で返って来た時に息が出来なくなるので言いはしないが……ソラちゃんの突撃姿勢(パワー1、脆弱3付与)は俺には刺激が強過ぎる。
こちとら交際経験なんて無いもんだから今まで見てきたWEB小説とか漫画とか意識して、出来もしないスパダリみたいなムーブするのも大変なんやで。もうちっと手加減してくれや。
食べたアップルパイの味なんか何にもわかんなくなってもうてんのよ。あの食べた時に感じたまろやかな甘みってのが林檎のだったのかアイスは生地かはたまた……そんな事が頭の中をRound and round we goしたからな。
「天気に恵まれてて良かったよ。初のお出掛けが曇天か雨かなんてのだったら残念だったろうから」
「そうですね……お買い物は兎も角、さっきのお店には行こうとしなかったでしょうしね」
このまま帰ったって良かったが、折角都市では中々訪れなさそうな公園に来たんだし、やりたい事もあったのでソラちゃんに話して公園を歩かせてもらっていた。
日差しで良い感じに乾いた芝生を見つけられたので上に腰を下ろす。青々とした草の香りに風も程良い加減に吹き付けていて実にチルい。
「んじゃちょっとそこに」
「は、はーい」
悪いけど、これからソラちゃんとすること全部、ただの八つ当たりだから。"えっ"
ソラちゃんにも隣に座ってもらい、2人してそのまま仰向けに寝転ぶ。原作再現は転生者及び転移者の嗜みなんだよなぁ!(斗司夫) 別にこれしたから何があるって訳じゃないが……中々に心地よい。
「はぁ〜……付き合ってくれてありがとう。やりたいって考えてた事ではないんだけど、機会が来たからね。そっちの芝生は大丈夫かな? 水気で服が汚れたりしちゃったら申し訳ないんだけど」
「い、いえ、大丈夫ですよ! でも、外でこんな風に横になった事は無いので……新鮮ですね。なんだか落ち着きます」
"えっこれわざとやってるの? っていうかなんで知ってるの?!"
は〜、駄目だ。なんかこう……嫌な事連想しちゃったな。折角の夏休みをそのまま喜びたいのに、1週間後には部活の合宿が控えてるような……見えている絶望のせいでこの瞬間の幸せを素直に享受出来ない、そんな気分だ。都市で生活する以上こんなお気楽暮らしだけしてるなんて不可能、あー指令とかやりたくねぇよ〜。
先行きの不安にほんのりと憂鬱共鳴していると、鎖の擦れる音と共にソラちゃんがまた俺の手をにぎにぎしていた、握る者だ。ステーキ屋の時にもこうされたが、どういう胸中で出力されてるんだろうこれ……手フェチだったりする?
猫が枕とかにふみふみするアレっぽいのもあって見る側としては癒されるが、少しこしょばゆいし……恥ずかしくもある。俺がソラちゃんにしてあげられる事は現状無いに等しいし、そうでなくともやりたい事はやらせてあげたいが……いかんせん耐性がないもんだから、かなりクる。
「……それ、楽しい? あ、別にやめてくれって言いたい訳じゃないよ。でも俺の手なんて触ってて面白いもんかなって」
「あ、すいませんつい……さっきカフェでお話しされてた事もあって、不思議だなぁって思ってたんです。血管も浮き出てて、ごつごつしててカッコいいのに、どうしてボクよりも力が出ないのかなあって……そ、そう思って触ってたら、ちょっと癖になりそうっていうか……」
「おー俺はそれにどういうリアクションを返すのが正解なんだろうね」
「え、えへへ……」
なにわろとんねん。しかしチョロい男なのでカッコいいって言われるだけで許しちゃう。ちまっとしててフェミニンな容姿をしてるソラちゃんではあるけど、リアンシの厨二病罹患者の全てを破壊し尽くすような立ち振る舞いをカッコいいと思ってたり……工房の製品に関心強めだったりで感性自体はわりと男の子してるよね。
……指令遂行に付き添うのもあるし、もうちょい筋トレ増やしてみるか。器具も無いから自重ばっかになるだろうけど。
「そういえば今って何時だろう。ソラちゃんは時計とか持ってる?」
「あ、はい。ちょっと待ってくださいね……【ピピ】14時ちょっとですね」
「端末機って時計機能ついてんの……?」
まだ全然昼だもんな……今日これからやるべき指令が来るでもなく、ソラちゃんも嫌じゃないなら……暫くこうさせてもらおう。現実逃避に近くもあるが、待ち受ける人差し指ライフを考えれば今くらいはゆっくりしたって罰は当たらないよな。
「わぁ、見てくださいアンデルセンさん! ワンちゃんと大きい男の人が走ってます!」
「どういうこ……えっあれギョンミとキュートちゃんじゃないよなまさかそんな胡乱な鏡世界じゃないだろここっ!」
あれから1時間くらい、2人で雲の形が何に見えるとか少し目を瞑ったり……多少はデートっぽい事出来たのか? 正解がわからんけど公園でのんびりした後、R社へ来るのに使った廊下へ向かう。
別に指令が欲しいなんて事は微塵も思ってないし仕事だってないなら無い暮らししたいぐらいなんだけど、やる事ないってのも地味に不安だ。今から帰っても6時になるかならないかだし、夕食の準備だって今のところはあのキットがあるから必要ない。
勿論のことスマホは繋がらんし、使ってないから保ってはいるがそろそろ充電も切れるやろ。都市で生活する上でのライフワークに直面する時が来たのだ。
「それ以前に親方達と顔合わせもあるだろうからなぁ、ヴァレンチーナさん辺りがキツ……あ、これオフレコね」
「は、はい。とはいえボクも、他の指の親方の……というより他の指の人達と馴染めてないので、気持ちはわかります」
人の身体でアート作ったりするキチゲェのカリストを今のところは安全な枠に入るの本当にどうなってるんですか。アラヤとかも地味にコミュどうしたらいいか困るところ、放置してても問題ないっちゃ無いだろうけど……絡みたい気持ちがなくは無いの危機感の欠如としか言えない。
別にリアンだってヘルメスに何言われて何してくるかわかったもんじゃないし、それ言うとソラちゃんもになるんだけど……本当に都市にぶち込まれて身元引受けてくれるの人差し指くらいだってのがキツい。
LCだって主人公に陣営ではあるものの別に正義のヒーローって訳じゃ無ければ、バス部署の面々の精神性はさておき余裕で悪の秘密結社だし……俺が原作知識ゲロるにしても逆に要らなさそうだもんあそこ。Dが何考えてリンバス動かしてるかもわからんし……艱難辛苦が過ぎると思うんだ。
「そういやこの廊下、関係者以外が開けようとしたらどうなるもんなんだっけ」
「パスが無い人以外は……普通にここにある扉として反対側に出てくる……んだったと思います。ボ、ボクも詳しくは把握してないんですよね、設営に携わったカリストさんなら薬指ですし、わかるんでしょうけど……」
便利だよな〜このどこでもドア。これに比べるとW社はんのワープ列車はカスや……何と比べなくてもカスだけどねあの列車。うわそうだ、人差し指って指令の程によってはあれの一般車両に乗せられたりするじゃん。それだけは絶対にやだな……普通に頭抱えたもん愛の町。
扉が開き、空気が変わる。建物どころか区を隔てた異次元的移動をしているのだから比喩でもなんでもないんだよな。俺も何処のドアがどうなってるとか覚えとかないといけないが、そもそも1人でほっつき歩いても死ぬだけなので一生ソラちゃんのピクミンやる事になる気がしなくもない。
「ようやく戻ってきましたか? これまでに嗅いだことのない香りです」
「ひき肉よりも柔らかそうな肉ですか? きっと美味しいです。でも良い糸は出そうにありません」
「少しくらいならもらっても大丈夫です? 味がとても気になります」
ん……っとまたイベント発生だな? しかしそこまでの驚きは無い。多少の耐性はついてきたと言うべきか、人差し指が俺に制服を支給するならこいつらも居るし来るだろうと予想していたのもある。
スケキヨみてぇな顔面から伸びる背骨のような長い首。そこに繋がる胴体も人間のそれとは形状が異なり、独特な柄に継ぎ目一つない奇怪な装束……パヨポヨと特徴的な喋り方で構文として名高い謝肉祭の連中が俺を待ち構えていた。
「ご機嫌いかがですか? 俺は食べられません、そういう指令の筈です」
「ご機嫌よう。それは残念です」
「どうもです。指令の後ならば良いと思います
「ご丁寧ですね? 代行者がいます、私たちでは敵いません」
「わ、謝肉祭の皆さんですね……あっ、前にアンデルセンさんが不思議な話し方をしてたのって、こ、この真似だったんですか?」
人の目の前で味の想像するのは怖いのでやめて欲しい。が、謝肉祭が居るということは……何かしらの糸で生地を仕立てて持って来たところなんだろう、ヌオーヴォ生地来い! ってもそれ以外知らない訳だが、何にしても何かしら効能ある生地を用意してくれてるんだろうな。やっぱり人差し指が一番!
「と、というか……駄目ですよ。こ、この人はボクの大切な人なので、食べようとするなら、交戦しますから」
「とても残念です。それでもシ協会で糸を作るのは大変でした」
「少しくらいの見返りも欲しいです。頑張って孤立させましたから」
なるほどシ協会産か……隠密とか認識阻害の効果でもつく布になるんだろうか。攻撃を喰らっても軽減する、よりか最初から攻撃を喰らいにくいの方が素で弱い俺には合っている気がする。流石都市の意思だ最初から俺は信じてたぞ!
……多分、指令に心酔する人達ってこういう感じでコロっとイカされてんだろうな。ソラちゃんのも自分への理解と行動への後押しだし、悪いことだけが100%の存在でもないんだよなぁ。
だけどその声が欺瞞に満ちていると気がついた時には、もう抜け出せない泥濘に嵌ってるってオマケもついてる。リアンシなんかは良い例だよな……
「髪の毛は食べられます? 麺類みたいに、それくらいなら大丈夫です」
「えっ、いいんですか?」
「ちょうど伸びてきて切りたいところでもあったからね。勿論髪とかは要らないってんならそれでいいんだけど」
「味見くらいにはなります? 戦うのは不味いです、お願いします」
バックリ裂けた胴体から触手みたいな腕と刃がゆっくり伸びてくる。ホラゲで死ぬ時のジャンプスケアみたいな光景だなめっちゃ怖い。がこいつらはこいつらで変な喋り方してるものの、別に知性に欠陥があってこうしているわけではないのでソラちゃんの手前下手な事は出来ないはずだ。
パシパシと重なった刃が髪を良い具合に切り落とした上で一本も溢すことなくピックアップするのは流石と言うべきか。あっという間に散髪は終わった、髪型を丁寧に整えた訳ではないので何とも無機質な感じはするが……まぁ心機一転とも言うし。
「外套はそのままお使いになれます。とても良い生地です、お大事に」
「あっ、あの、それちょっとボクにも貰えますか」
「流石に程々にしてほしいかなあ!」
ちなみに味の感想としてはこれまでに『食べた事がないタイプの珍味』『美味しい寄りの食えなくはない』『オーガニックな風味がする』との事だった。カニバリスト達の考えは理解したい訳じゃないがあんまり評価されないのもそれはそれで複雑なのだった。
アンデルセン
初手で都市の星級の人間達に囲まれたせいで守護られてるなら謝肉祭にまで怯えなくていいか……になった可哀想な友達。そのまま使えるマントを羽織って外見の人差し指感が向上、但し黒い。自分の置かれている状況と、強弱はあれども消音&認識阻害効果がある装備に思う所はかなりある。
ソラ
能動的に何もしない時間を過ごしたのは指に身を置いてからは初めてな事で有意義にゆっくり出来たし、人によって話し方を合わせる事の会話の弾み方を見て勉強したいと思った。良かったね。
謝肉祭
変な味がクセになったので定期的に髪の毛を貰いに来れないか画策している。出来た糸は少ないし別に頑丈でもないけど色味は良いので取っておくことにした。その糸の特異性には気づいていない。