ここでは都市に転移したと思ったら目の前に指令を受けたソラがいた男について語られる 作:ケジメされた人差し指
1ターン目から最新人格が消し飛ばされかねない攻撃をしてくるモブ敵を採光でお出しするなんて、一体ドッグファーザー様の意中はどんなものだったのですか
ドッグファーザー様の意中を問うだなんて、そんな不純な考えは根っこから間違ってる。筆者は今夜粛正するように
蜘蛛の巣はいつか完成する剣の奈落……ヨシヒデに斬り刻まれる焼却炉として各指の左遷先のような扱いこそされているものの、待遇そのものはやはり幹部達へのそれ相応なようだ。調度品のそれぞれはしっかりした造りで品質が良さそうだし、壁面には同化する形で備え付けられている高級そうなクソデカ冷蔵庫が鎮座していた。
中に収められているのは現実では見たことの無い、プラスチックとも何とも判別のつかない大きめの容器。それを電子レンジとも言い難い家電に突っ込むと3秒もしない内に温めが完了したらしく、テーブルにおいて開け広がると作りたてと見紛うような湯気立ち昇る一汁三菜と白米が姿を現した。
「……T社系の技術とかそういう感じ?」
「そ、そうなんですよ! これも逆行電子調理器専用のミールキットでして、さ、最新型の調理器と合わせて色んな種類の料理に対応してるんです!」
「こんな事の為に時間逆行を……?」
すげー都市すげー。思えば都市ってサイバーパンクなディストピアではあるけど食事面に関しては全力を尽くしてるような気がするな。K社なんかはチキンの生産に翼の力をブンドドしてるし、面積的にはそんなに広くも無く、気候にしたってそれに合わせた緯度経度しかないだろうにケセドの部屋にはありえんくらいの種類のコーヒー豆があった。
産地の違い〜、なんてのが出せるって事はそれだけ多くの場所でコーヒー豆作ってるからであって、なんでそんな……いや、世界がくそったれだからこそそうした五感に訴える娯楽を強く振興させているんだろう。この世界の料理なんて美味いやつは現実離れして美味いんだろうな……でも23区の裏路地は勘弁な!
「これはあれ、和食って事でいいのかな」
「そうですね……も、もしかして苦手だったりしますか?
「……いいや、普段から食べ慣れてるから少し安心感があるってだけだよ。それじゃ食べさせてもらおうかな」
和とか洋とか中とかって都市ではどういう概念として扱われているんだろう。区が現実で言う国みたいな違いをしてるとはさっき考えたところだけど、中国らしい雰囲気を醸し出してるH社は別に中国ではない、あそこの料理はH社料理とでも言うべきなんだろうか?
K社なんかはハムハムパンパン(高速詠唱)とかウンボンチキン酒場なりK社のチキンなりで近代の韓国って雰囲気があるが、イサンの出身でもあるS社も韓国ベースなんだよな……あっちはあっちで中世韓国って具合の風土柄だけど。頭さん何か意図あったりしませんか。
「……」
おや、どうしたんだろう(無能)食卓に着いたソラちゃんが何か躊躇うような仕草を見せている。何かと思えば首輪と連結してる手枷を机の上に上げて暫くそれを見つめていた。ご飯食べる時は面倒だよねそれ、フォークとかで食べるにしても和食って難しいよな?
「……ぅんしょ」
「あっ、
「っ、い、いや、そ……うなんです、けど、出来ることなら、ず、ずっとつけて、いたんです、で、でも……流石にご飯の時とかはさ、差し支え、ますから……」
リンバスカンパニーの職員に変装()してた時にも手枷を着けたままだし、剣を使う人の多い人差し指ながら戦闘中も開花状態にするまでそれで殴りつけるような戦いもするのでてっきり外せなかったりするのかと思ったが……なんせ日常描写が無かったもんな。俺のとこに来た時もソラちゃん視点では戦闘の必要性もないのにコレだったのが勘違いを加速させた。
なんて考えていたがどうにもE.G.O.を解除というのか、手枷を取り払った後からどうにもソラちゃんの挙動が不審だ。それ以前から吃り気味ではあったのが更に促進されてしまったように見えるし、視線もキョロキョロと右往左往としていて落ち着かない。
これは……なるほど、ソラちゃんの抱える指令への依存。指令こそが自分の意思であるという念にまで高まって発現したのがこのE.G.O.だ。彼女にとっては最早これを身に付けている状態こそが普通であり、外してしまうと意思と身体の繋がりが断たれたような錯覚までもが出てしまうのか。わかっちゃうよ俺エスパーだから、インデックスエスパー。
「……なるほどな。俺からするとあまり健常な風ではないが、それだと落ち着いて食べれはしないんじゃないか?」
「そ、そうなんですよ……ふ、普段はス、スフォークを使って、食べたり、するんですが……お、お見苦しいかと、お、思いまして……」
フォプーンね。しかしうーん重症だ、皮肉なもんだなぁ……手枷を外して縛られていない状態こそがソラちゃんを縛ってしまうという訳だ。女性に対してするべき想像ではないが、お風呂とかどうしてんだろう。着替える時に一瞬だけE.G.O.外して入ってからまた付け直すのかな。身体とか髪洗うのにも難儀しそうな……ま、まさかそれで髪の毛がパーマ気味って訳じゃないよね?
だがコレはソラちゃんが指令への依存から脱却する布石にもなる。つっても依存先が指令から俺にすり替わるだけかもしれない危険性も孕んではいるが、それはそれでこれはこれだから(誤用)指令ロボとして万が一俺やれつった時にもストッパーになるかも、なんてのは今までの積み重ねからして難しいだろうがやってみる価値はありますぜ!
「そうか……よしソラちゃん、隣に失礼させてもらうよ」
「わっ、ア、アンデルセンさん!?」
「癪でもあるけど……指令の内容は一緒に生活しようって事だったろ? それなら、今こうして俺とソラちゃんがご飯を食べようってのも……指令の遂行中なんだ」
「そ、そうで、すかね……そ、そうかも……」
これからまた新しい指令で今あるこれが打ち消されない限りは、俺とソラちゃんがする事は全部指令の一環という事になる。具体性がなくうっすらとしているから特定の任務って感じでも無いから、その中でする行為は大体2人の意を反映したものが多くなるだろう。ソラちゃんが何をするべきかわからず、自分で動けない時……だからこそ案内人がいるのですよ……
という事で対面して晩飯にする予定だったが、隣の席に容器を持って移動する。強引かもしれんがソラちゃんも嫌とは思わないだろうと割り切らせてもらって距離を詰めていけ。
「深呼吸だ、落ち着けるね? 指令を騙る訳じゃないが……俺が君と一緒にいるんだ。あれをつけていないからと言って、心細さを感じる必要はないんだ」
「ぇぅ……っ、ふぅ……はぁ……」
このソラという、若くして代行者という指の幹部格にもなるような少女の生い立ちがどんなものであったかはわからない。想像するしかないが……家族が死んだ友人が死んだ裏切られた見捨てられた、なんてので悲劇の主人公面も出来ない程に都市という場所ではそれらはありふれていて、あらゆる悪意が煮詰まっている。ソラが自我というものを手放し、指令こそを拠り所にするようになった経緯は描写されていないが、するまでも無いとさえ言えるだろう。
結局は間接的に指令通りにもなってしまうが、俺とする事を通して自分のするべき、したい事を指令に言われただけじゃなくやれるようになれば……いや、こんな場所では自由だから幸せなんだって言うのも独りよがりで無責任かもしれないな。それでも、ダンテの存在が無ければ誰からも忘れられてしまう最期よりもマシな筈だ。
「大丈夫かな?」
「そ、そうですね……1人の時よりはお、落ち着ける気がします」
「勿論俺がソラちゃんの事情をすぐ様どうこう出来るとは思ってないけどね。ご飯くらい落ち着いて、ちゃんと食べれた方がいいじゃんか」
完全に落ち着いている程ではないが、さっきまでの挙動不審という状態よりは幾分かマシになったように思える。それはそれとして俺が真隣にいる事で緊張してる様子だ。俺? 俺も勿論ヤバいけど、こんな可愛い子と真横で食事する機会なんてある訳もないし。特徴だけ書くと芋っぽいのにそれらひっくるめてお出しされるビジュアルはこれだからなソラちゃん、マーニーみたいなもんだぞ。
「んじゃ改めて、いただきます」
「い、いただきます」
まずは味噌汁と思わしき汁物から……あーなるほど、海鮮出汁がベースの具がないテンジャンチゲって感じか。じわっと沁みてくる馴染みと落ち着ける味だ……合わせるように白米と、んむとても美味い。味の濃さとかで訴えてくる訳じゃないから大きなリアクションが出る訳じゃないが染み染みと美味い。
焼き魚、きのこと根菜の煮物、焼き茄子……なんか都市にいるとは思えない程バランスが良いご飯出てきたな。だけどこう、1500円くらいする良い所のご飯屋さんで出て来るようなクオリティだ。何よりレンチン、ではないけど温めたご飯で感じられるぬくもりじゃない。となると掛かってるお値段とかそれどころじゃないんだろうな。は、都市の飯ということか……
「俺が思ってた以上に美味しいな。ソラちゃんはどうかな、ちゃんと食べれてるかな?」
「むぐむっ……んく、そうですね。やっぱり食べやすいのは食べやすいですし、味わって食べられる気がしますし……その、アンデルセンさんと一緒にご飯を食べているのも、特別な気分になれます」
ちゃんと飲み込んでからお話ししている、偉い。それにちょっといじらし過ぎるな……リアンシこれに塩いのマ? まぁお前はイケメンだし妻子もいたジジイだから今更特別に思わんのかもしれんがよぉっ。これでやっぱり大前提には指令が選んだ相手ってのがあるのちょっとズキンとするが、これ一々考えてても仕方ないものね。素直に喜んでくれている事を喜ぶ事にしよう。
まくまくと美味しそうにご飯を咀嚼しているソラちゃんを見ていると……うーんなんかどちらかと言うと娘感も強くなってしまう。もっといっぱい食えよ……詰まらせるなよ……歳上ヅラしてるけど言うても数年なんだぞお前。
「あ、あの……本当に、ボ、ボクと一緒にいてくれるんですか?」
「指令が無くなったとしてもね、居られるのなら君の隣にいるつもりだよ」
指令の知らんところで死ぬ可能性ないことも無いだろうし。なんつっても俺の肉体の強度で挑む都市なんて残機1でスペランカーやるようなもんだろうからな。明日の予定、武器もそうだけど丈夫な服とか欲しいよな……ヌオーヴォ生地とかは高望み過ぎるか。
謝肉祭ってもう人差し指管轄に戻ってるのかな、ソラちゃんが謝肉祭構文に聞き覚えありそうだからワンチャン……あっ遂行者ぱうのストーリーではもう戻って来てるんだっけか。掃除屋であの生地になるんなら屈強な肉体の中指とか食べたらどんな生地になるんだろう……刺青の効果も発現したら強そうだけど、間違いなく帳簿行きなのでそれは無理か。
ちょっとだけ楽しみになってきたな……銃はやっぱロジックアトリエのが丸いだろうが反動を俺が殺し切れるかどうか怪しい所あるけど、ネズミくらいなら威圧感あって近づかせないみたいな効果もあるよな、なんて考えながら魚の身をほぐす。うわ凄い形はそのままなのに骨は全部取り除かれてる。
「それなら、お風呂とかも一緒に入ってくれるんですか?」
「ッゲホッグォ!」
何を言ってるこのkqe-1j-23は? 咄嗟に反対側を向いて口を覆う。本当に何を言われてる方なの? 距離感の詰め方……じゃないな、遠慮がない、んでもない。俺が今まで接した事ないタイプって言ったらリアンとカリストもそうなんだけど、ソラちゃんも蜘蛛の巣にいるだけある奇人なのだなと感じました。でもそれは駄目だろ、どうにかして流さないとなぁ……大丈夫だと思った人相手にのめり込んじゃう感じ、本当によく今まで悪い男に引っ掛けられなかったねキミ。俺が悪い男? それは、そうかもしれないんですが……
「う、ソ、ソラちゃん? 流石に大変な事を言っている自覚はちゃんとあるかな?」
「は、入って……くれないんですか?」
「あっ」
ソラちゃんが箸も置いて、あの完全にハイライトの無い目が真っ黒なスチルの顔でこっちを見ている。コワイ! 確かに一緒にいるとは言ったけどもさあ、会った初日でこんなぶつかり方してくるとは思わないじゃんか! な、なんか無いか、ソラちゃんの事納得させられるなんか……
「えっと、ね。ほら……確かにああいう指令はきたが、そういうのはもっと交流を深めて、時間を長く過ごしてからようやく……そう、解禁だ。一段飛ばしにそこにまでは行けないだろう?」
「解禁……た、確かにそうかもしれませんね……」
生き残った! 人差し指に馴染みがあって通じそうなフレーズがあって命拾いした! ソラちゃんも納得してくれたようで黒曜石みたいな真っ黒な目にも光が入って急場を凌いだ様に思える……が、本気か? このまま何事もなく進行しちゃうとして、本気でそうなる?
「そ、それじゃあ……明日から、もっと仲良くしないとですね!」
詰んだんじゃないか?
アンデルセン
差し迫った社会的な危険を予知眼並みの神回避をしたと思ったが逃れきれなかった可哀想な友達。なんだかんだ言っても今後の事を考えるとしょうらいのびじょんさんが見えなくなってきてゆっくり出来なくなった
ソラ
お、お付き合いする男女って……一緒にご飯も食べるし、お風呂や寝る時にも一緒なんじゃないですか? し、指令ですし……のメンタリティで生きているオーダーガール。それは何回も指令をこなして、解禁してからなんですね!