コルヴァスのログ-2
俺は正式にグリフィン所属となった。もし、これが夢である場合、現実の俺は一体どうなっているんだろうな。
答えの無い考えはやめにして、寝ることにする。
俺は不安に駆られたが、指揮官はすぐに上のやつらと掛け合ってくれたらしく、正式にグリフィンに入社したこととなった。
その後は借りた部屋でシャワーを浴び、パイロットスーツを脱いでラフな服装に着替えた。
「俺ってこんな顔だったか?」
鏡で自身の顔を見る。
久し振りに見る顔は、目に隈が出来ていた。
それに、度重なる再生の影響だろうか、髪も色素がなく真っ白だ。銀髪とかそう言うレベルではない。
「ひでー顔だな?」
この顔を見てると異動してったやつを思い出すな……確か、ジョージ…いや、ホルヘだったか?アイツも再生しまくってたんだな。女癖は悪かったが、頼りになるやつだった。
異動先で再生に失敗して死んだと聞いたが…
「俺もほぼ死んでいるようなものか。」
今頃IMCは俺のことをK.I.AかM.I.Aとして処理しているだろう。そんなことを考えながら手元のスマートピストルを見る。
「ま…こいつは切り札だな。」
元々は標準装備だったが…デメテルの戦い以降、流通が途絶えて数が激減した。なもんで弾は3マガジン分しかない。
R-201の弾薬があっても、この時代に、この世界にスマートピストルの弾があるとは思えない。
「細かいことは明日だ。とにかく寝よう。」
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「良いよなお前らは…ウルスス、ルプス、コルヴァス…カッコいいコールサインでさぁ…俺なんて本名のホルヘから来たジョージだぜ?」
目の前で机に突っ伏している男…ジョージがそんな愚痴を俺達に言う。
「コールサインなんてのは識別のための文字の羅列よ。そこまで気にすることじゃないでしょ。」
俺の隣にいる女、ルプスがそう返す。
「俺もそう思うな。お前はどうだ?コルヴァス。」
「え、俺?」
ウルススにバトンを渡される。
どうって言われてもな…
「特に何も。」
「は~ッ…これだからコールサインに困ってない奴らは…」
ジョージは呆れたように溜め息をつき、机に置いてあったビールを一気に流し込んだ。
「…今何本目だ?」
「私が確認した限りだと7本目ね。」
「そろそろ軍医になんか言われそうだな、ジョージ…」
「ふはは…ナイフで攻撃をいなすことはお前の気を逸らすにはイナフだ…っていうネタを思いついたんだ…」
「Ok、お前はもうイカれてる。」
4人で笑いあって、酒を飲む…なんて楽しいことだろうか。
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随分と懐かしい夢だ。
「朝か…」
いつものボディアーマーやらヘルメットやらを含めたパイロットスーツを着込み、スマートピストル片手に部屋を出る。
指揮官の執務室の扉の前に立ち、扉をノックする。
中から入って良いとの声が聞こえた。
扉を開き、執務室へと足を入れる。
「指揮官、これやるよ。」
椅子に座って業務をこなしている指揮官の前まで行き、俺はスマートピストルを彼に差し出す。
「…これは?」
「スマートピストルって武器でな。原理は分からないが機械、人間問わずにロックオンできて、対象の頭に弾が誘導される。」
「…なんでそんなものを私に?」
「残りの弾薬が少なくてな…勿体なくて使えないんだ。」
けたけたと笑いながら理由を彼に話すと、指揮官は呆れた様子で溜め息を吐いた。
「そんな理由で貴重なものを渡すのか?」
「まぁ護身用として持っといてくれ。」
「分かったよ…ありがたく受け取っておこう。」
そう言うと、指揮官は再びPCへと視線を移す。
なるほどな、目に隈が出来た理由がなんとなく分かった気がする。
彼の机の上には夥しい量の書類、報告書、その他諸々が置いてあった。
「忙しそうだな?」
「"そう"どころの話じゃない、大忙しだ。」
やはり前線に近く、それに新しめの基地であるからかやるべきことが山のようにあるようだ。
「まぁ…頑張ってくれ。」
「ありきたりな応援をどうもありがとう。」
扉を開け、執務室から出ると、Kar98kとばったり出くわした。
「あら、コルヴァスさん、指揮官さんに何か用がおありでして?」
「まぁ、少し、な…そういうカラビーナは?」
「わたくしは本日の副官に任命されていますの。」
副官…まぁ、あの量じゃ手伝ってくれる人がいないと終わる見込みが無いものな。
「なるほどね。」
カラビーナに手を振り、そのまま背を向けて整備場に向かって歩いて行く。ファランクスはどうなっているだろうか。
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整備場はまだ名前も知らない戦術人形の整備だったり、ビークルの整備だったりと、慌ただしく動いていた。
どこでも、どの時代でも整備士は忙しいものなんだな。
『おはようございます、パイロット。』
「おはよう。ファランクス。」
こいつを収容するために急遽開けられたであろうスペースに置かれているファランクスと話す。
「ん、あんた。こいつの主かい?」
整備士らしき男が声を掛けてくる…結構若そうで、筋肉質な男だ。
「そうだが…何かあったのか?」
「いやなに、一度"パイロット"ってヤツの面を拝んでみたくてな。意外と重装備なんだな。」
「まあな…素顔も見るか?」
「お、良いのか?」
「俺の素顔なんて隠す程のもんじゃないしな。」
ヘルメットとマスクを外し、素顔をさらけ出す。
「意外とイケメンだな。」
「そりゃどうも。」
「ローラン!話し相手になってにゃ!」
「おっと…IDWに呼ばれた。またな。」
整備士と話していると、呼ばれた、と言って整備場の方へと小走りで向かっていった。
にしても…にゃ、だと?…グリフィンには個性の強い語尾の人形がいるようだ。
「そうそう、調子はどうだ?相棒。」
『異常はありません。』
「そいつは良かった。イカれた機械性愛者に分解されるかと思ったぜ。」
『機械性愛者をデータベースに登録します。』
「あー待て待て待て、冗談だ。だからそんな単語は記憶しなくて良い。」
『了解、取り消します。』
危ない危ない、何かの間違いであろうと、あんな単語をデータベースに載せられたら末代までの恥だ。
「そういや…お前って整備士と何か話したりしたか?」
『はい。彼等によるとG&Kの戦術人形は元々民間用だそうです。』
なるほどな、道理で可憐で麗しい美女達が多かったわけだ。
まぁ、その方が既製品を買うよりも安く済むのだろう。
ファランクスと話していると、ヘルメットの通信デバイスに指揮官からの連絡が入った。
『任務だ。』
意外と早い出撃だこと。
ま、契約は契約だ。
アゲ・クォド・アギスの精神で行こう。
ドルフロ要素が薄いような気がするし、そうでもないような気もする。
あとパイロットのピンヘッドみのあるマスク?は一体何なんだろうか。