水と光のその先へ   作:とも1783

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神の宴

 

 

懐かしい夢を見る…遥か遠い…知るはずもない景色の夢を…

 

青い髪の少女が無邪気に走り、桃色の髪の少女が優しく微笑む。

 

『■■■■■!聞いて聞いて!今日は■■■■と街を見て回ったんだよ!私、初めて一人で【おかいもの】をしたの!』

 

陽だまりのような笑顔で今日あった事を報告してくれる少女、最近は彼女のおかげか■■も静かなもので、こうして取り留めもない話をするのが日課になりつつある。

 

『■■■ったら、そんなに走ったら危ないわ』

 

『すまない、■■■■…私の代わりに■■■の相手を頼んでしまって…私も同行できたら良かったんだが…』

 

『気にしないで、私が好きでやっているの…それに、貴方とも会えるし…』

 

 

■■■■には頭が上がらないな、■■の守護で日々力を借りている■■■に少しでも息抜きをと提案してくれたのも■■■■だ、私はその辺に無頓着だったから本当に助かった。

二人で話していると■■■がきつく腕を絡めて頬を膨らませる。

 

『あー!■■■■■と■■■■が【あい】してるー!私もー私もー!』

 

どうやら彼女は勘違いをしているようだ、■■■■と私はただの幼なじみだ、深い関係はない。

 

『誤解だよ、■■■…私は騎士としてそんな不誠実な事はしない。彼女も既に許嫁がいる身だから勘違いしないでくれ。』

 

『……そうよ…■■■私と■■■■■には…何も無いの』

 

むむむ…!と唸ったあと駆け出してなら今度は追いかけっこだよ!■■■■■!と私を呼ぶ少女を2人して追いかける、そんなたわいない日常の…

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

なにか、夢を見ていたような気がする。

内容は楽しいものだったような…

 

 

酒場事件の翌朝、ステータス更新を頼んだら今日は大事な話があるから口頭でとヘスティア様に言われ2人して椅子に座る。

 

 

「そんなに伸びてるんですか!?僕と兄さんのステータス」

 

「あぁ…今の君達はものすごく成長する速度が早い、言っちゃえば成長期だ…僕個人の見解として君たちには才能があるし、これからきっとどんどん成長していくだろう。」

 

ヘスティア様はそこで一度言葉を切り真剣な面持ちでいう、応援も支援もする、だから無理は絶対にしないで欲しいと。

 

「わかったね!2人とも!」

 

「「はい!」」

 

「その元気な答えが聞けたら僕は満足さ!と言うわけで2~3日開けるけど構わないかな?」

 

「神様何処かお出かけですか?」

 

うん、ちょっと神の宴にね!と言うヘスティア様にお金の入った袋を渡す、神の宴なんてヘスティア様が着て行けそうな服はクローゼットに入っていない!これはファミリア始まって以来の一大事だ。

 

「フィルくん!こんなにいっぱい貰えないよ!」

 

「神様!これは兄さんと貯めた神様貯金だから好きに使ってください!」

 

「2人とも!なんていい子達なんだ!僕は感動で泣きそうだよ!」

 

ヘスティア様を見送って俺たちはダンジョンに行く前に豊穣の女主人に立ち寄った、ベルが昨日のお詫びをしたいと言ったからだ、俺の方も謝った方がいいだろうか?散々あのウェアウルフを煽って店には迷惑をかけてしまったし。

 

 

「本当にすみませんでした!」

 

「あんたの兄貴が代金は迷惑料込で払ってるからもういいさね…ただし次はないよ!」

 

ギラリと俺たち二人を睨むミヤさんに冷や汗が止まらない、まるで1級冒険者と対峙しているような威圧感…ミヤ母ちゃん恐るべしである。

 

「あ!そうでした今日もダンジョンに行かれるならこれ、お弁当です!今回はきちんとお二人の分として取り分けましたから心配しなくて大丈夫ですよ!」

 

シルが近くにいたベルに弁当をふたつ渡す。

 

「ほらあんた達開店準備の邪魔さね!行った行った!きちんと生きて帰りな!いいね!」

 

「「はい!行ってきます!」」

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

髪の宴、その名の通り神のみが参加を許される会合。

主催する神も開催時期も無原則であるこの宴は、特に目的意識もなく、ただ騒ぐためだけに開かれることが多々ある。

 

今回の主催は民衆の神ガネーシャだ

 

「よく集まってくれた!皆の者!俺が!!!ガネーシャである!!!今回の宴もこの規模での開催ができ、ガネーシャ!超感激!」

 

 

ヘスティアは急いでタッパーに持ち帰れそうなものを詰める。

 

「こんばんは、ヘスティア」

 

「…フレイア…君か」

 

美の女神フレイア、オラリオ最強派閥の一つフレイアファミリアの主神、このオラリオでもっとも美しいのは?と問われれば9割がフレイアの名前を出すだろう。

ちなみに残り1割に関しては面倒事の種なので割愛だ。

 

「お邪魔しちゃったかしら?」

 

「…僕、君のこと苦手なんだよ…まぁ奴よりはマシだけど」

 

ふふっ、私はあなたのそういうこと好きよ?と笑うフレイアの後ろから奴が来る、ヘスティアの天敵と言える奴が!

 

「おーい、フレイアー!とドチビ!」

 

「あら、ロキ久しぶりね」

 

「何しに来たんだよ君は」

 

「なんや、理由がなかったら来たあかんのか」

 

ムカつく!だがまだ我慢だ、ヘスティアはロキに問わなくてわならないことがあるのだから。

 

「ぐぬぅ…でもちょうど良かった、ロキ君に聞きたいことがあったんだ、君のファミリアの剣姫、ヴァレン何某にはお付き合しているの異性とか伴侶いないのかい?」

 

 

「アホ抜かせ!アイズはウチのお気に入りや!ちょっかい出すやつがおったら…八つ裂きにしたる!」

 

 

(ちっ!まぁいいさ、こんな奴のファミリアの女と僕のベルくんが交際なんて絶対認めるもんか!)

 

 

睨み合う女神達を見てフレイアは仲がいいのねと微笑む、どこが!と怒鳴るが何処吹く風だ。

 

「そう言えば今更だけどロキもヘスティアも今日はずいぶん雰囲気が違うわね?ドレス姿なんて久しぶりだわぁ」

 

「ふん!まぁな、どっかのドチビが宴に来るって噂を聞いて、ドレスも買えんような貧乏神を笑ろたろ思たんや!やのに…なんでドレス着とんねん!どこで盗んだんや?このドチビ」

 

「盗むわけないだろ!これはファミリアの子供達が僕のために買ってくれたんだい!」

 

ふん!と鼻を鳴らすヘスティア。

 

「それにしても滑稽だなロキ、笑いものだなんて君…僕を笑うために自分が笑われに来たのかい?なんだい?その寂しすぎる…胸は!」

 

高笑をするヘスティアにムキー!!とヘスティアの両頬を引っ張るロキ、周りの神々も、やれやれー!と囃し立てるばかりで止めるものはいない。

 

「ロリ巨乳とロキ無乳か…」

 

ロリ巨乳が勝つに1万ヴァリス!無乳が最後の最後でうっかりを発動させるにエリクサー10個!など賭け事まで始まる始末だ。

ついに勝敗は決した…頬を引っ張る度にたわわに揺れる2つの果実にロキが耐えられなくなったのだ。

赤く腫れ上がった頬を抑え、ヘスティアは敗者に最後とばかりに攻撃を仕掛ける。

 

「これに懲りたら!次会う時はその貧相な物を僕の視界にに入れるんじゃないぞ!」

 

「うっさいは!ぼけ!」

 

泣きながら今日はこの辺にしといたる!とその場を後にするロキ、その肩は少し震えている。

 

「またやってたの?あんたたち」

 

 

後ろから凛とした女性の声が響く、ヘスティアが今日神の宴に出席することにしたのは彼女に会うためだった。

 

「ヘファイストス!やっぱりきてよかった、君に会いたかったんだよ」

 

目がヘファイストス、ヘファイストスファミリアの主神にして鍛冶の神迷宮都市オラリオ最高の鍛冶系派閥の長であり、ヘスティアの天界からの友でもある。

 

「私に?言っとくけど…お金ならもう1ヴァリスも貸さないわよ!」

 

「失敬な!僕がそんな神友の懐を漁るような神にみえるのかい?」

 

「よく言うわよ…全く」

 

ちなみにヘスティアは下界に来てすぐヘファイストスファミリアに居候して、追い出したあともお金が無いやら住む場所が無い、仕事が無いなど泣きついて散々迷惑を掛けていたので、説得力が皆無であった。

 

「た…確かに昔の僕はどうしようもない神だったでも、今は違うんだ!僕にもファミリアが出来たからね!」

 

「そうだったわね、クラネル兄弟だったかしら?あの白髪と銀髪のヒューマン」

 

「そうさ!兄のフィルくんが銀髪に碧眼、弟のベルくんが白髪に赤い瞳なんだ!」

 

「まぁ、ファミリアが出来て変わる神は多いけど…そうやって見るとあんまり似てない兄弟ね?」

 

黒服が何かをフレイアに耳打ち

 

「ヘファイストス、ヘスティア、私はこれで失礼するわ、知りたいことがあったのだけどそれも済んだし…ここにいる男はみんな食べ飽きちゃったし…ね」

 

「すげー」

 

「で?私に会いたかった用事ってなんなの?内容次第じゃ金輪際縁を切るわよ?」

 

ギロリと睨みを利かせるヘファイストス、しかしヘスティアも引けないのである、タケミカヅチから教わった最終奥義を駆使して何としてもやり遂げなくては!

 

「実は!ウチの子の為に武器を作って欲しいんだ!」

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

ヘファイストスに場所を変えるわよと連れてこられたのは、ヘファイストスファミリアのヘファイストスの執務室。

そこでヘスティアは未だに頭を下げ続けていた。

 

 

「あんたいつまでそうしてる気?…自慢する訳じゃないけどウチのオーダーメイドがいくらするか、知らないとは言わせないわよ?そもそもなんなのよ…その格好、あんたは何してるの?」

 

「土下座…タケに教わった謝罪とお願いの最終奥義」

 

 

タケミカヅチめ、また余計なことを、とヘファイストスは舌打ちをする。

 

「…ヘスティア、教えてちょうだい、どうしてそこまでするのか」

 

「あの子達の力になりたいんだ!あの子達は変わろうとしている!高く険しい道を走り出そうとしている…危険な道だ、だから欲しい!あの子たちを手助けできる力が!道を切り開ける武器が!」

 

ヘスティアは2人の子供たちを思う。

彼らには助けられてばかりだ、主神でありながらひたすら養われているだけ、神らしい事なんて何一つとしてできていない、そんな生活はもう嫌だ。

 

「変わろうとしてるか…わかったは!武器、作ってあげる!」

 

「ありがとう!ヘファイストス!」

 

「言っとくけど、対価は払って貰うからね!何百年かかろうと、取り立ててやるんだから…それで?あんたの子の扱う武器は?」

 

槌を片手にヘファイストスが笑う、神同士のプライベートにファミリアは巻き込めない。

 

「ベルくんはナイフでフィルくんはロングソードだけど…まさかヘファイストスが打ってくれるのかい!?嬉しいな!」

 

「あんたにも手伝いなさい!助手としてしっかり働いて貰うからね!」

 

ヘファイストスが本棚の仕掛けを押すと、そこにはヘファイストスの工房がある、ここでこれから駆け出し冒険者に持たせる一級の武器を作る。

 

「さて…どうするか…」

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