ヘスティア様が神の宴に行かれてから早3日、一応朝食は用意して書置きもしたが心配だ…今日は年に一度のモンスターフィリアという祭りの日だと聞いた。
モンスターフィリア、ガネーシャファミリア主催の年に一度の大きな祭り…闘技場をまるまる占領しダンジョンから連れてきた魔物を観客の前でテイムする…神々はえらくハードな見世物を考えたものだ。
考え事をしながらメインストリートを歩いていると見覚えのある白髪を見かける。
「ベル?まだこんな所にいたのか今日は噴水前集合だろ?」
「兄さん…実は」
なるほど、事情はわかったシル嬢を探して忘れた財布を渡すにしてもこれだけ人がいたのでは団体行動は効率が悪い、二手に分かれて探そうという話になり、ベルと別れて時間になったら集合することにしてその場を離れる。
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とある酒場では赤髪の女神とフードで顔を隠す銀髪の女神が向き合って座っている、その雰囲気はお世辞にも良いとは言えない。
「今度は何企んどるんや…またどこぞのファミリアの子供気に入ってちょっかいかける気か?まったく諍いの種ばかりまきおって、この色ボケ女神が」
「あら…分別はあるつもりよ?」
「アホ抜かせ、責任取れるんやろな」
「もちろんよ、ただ…ちょっと手伝ってもらう事になるもしれないけれど…」
赤髪の女神、ロキが銀髪の女神、フレイアを睨みつけるが効果はほぼ無い様だ…
「それで?どんな子なんや?お前が気になった子は。」
ロキが酒を煽る、酒でも飲まなければこの女の話などまともに聞けないと判断したのだ。
「強くは無いわ…1人は…そうね、間違いなく英雄の器…今はほとんど空っぽだけど満ちればオッタル以上になれるだろう、そんな美しい器よ。もう1人はとても頼りなくて、ちょっとの事で泣いちゃうそんな子、でも綺麗だった透き通っていた!私が今まで見たことの無い色をしていた…2人を見つけたのは偶然、たまたま視界に入っただけ…」
窓の外に視線をやってフレイアは急用だと行って足早に店を出ていってしまう。
「なんやあいつ…てか!勘定こっちかいな!しかも目当ての子供2人もおるんかい!まじで節操なしやなあんの色ボケ」
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「ふぅ、本当にすごい人だな…二手に分かれて正解だった」
メインストリートから近い一通りの店で聞き込みをしてみだがシル嬢の手掛かりは得られなかった、1度闘技場でベルと合流するか。
何やら闘技場~モンスターが逃げ出したという話もちらほら聞くしベルやヘスティア様が心配だ。
「…きゃーーー!」
路地の奥から悲鳴…放っておく訳には行かないな。
路地に入ってしばらく逃げる人混みに逆らいながら進むと広場があった。
そこではロキファミリアが蛇の様な花型モンスターと戦闘しており、エルフの少女は吹き飛ばされて気絶しているようだ。
《清き水よ、傷つきし者に、癒しの恵を》
「アクア・リング」
急ぎ、魔法の詠唱に入り水の波動が少女を包む、しかしモンスターはヒリュテ姉妹を無視してコチラに攻撃を仕掛けようとしてきた。
「あのモンスターは…魔力に反応しています…早く逃げて…ください」
俺はそれでも治療を辞めない、なぜなら暖かな風がもうすぐそこまで来ているのがわかった。
「「アイズ!」」
風の正体、剣姫がモンスターを両断する。
しかし、地中からさらに3体の蛇花モンスターと巨大なクジラの様な海獣、深層のモンスター…ケートスが現れた。
剣姫は風をまとい再度花型モンスターに突撃するが、如何せん数多い上に硬い…ついに剣姫の剣が粉々に砕けてしまう。
クソッ今日は物見遊山で武器を所持していない、こんな時に限ってと奥歯を噛み締めながらエルフの少女の治療をする。
幸い、モンスターは剣姫に夢中でこちらはまだ気ずかれていない。
「アイズ!このモンスターは魔法を狙ってる!風を解きなさい!」
粗方の治療が終わり魔法を解くと、蔦に捕まっている怒蛇がタイミング良く剣姫に指示を出す。
1度風を解いた剣姫だったがすぐに風をまとい直す…なぜ?視線をやれば屋台の裏に子供がいる、だから剣姫は…
「剣姫!狙いを分散させよう!俺は逃げ足には自信がある」
《水よ!》
言うが早いか魔法を発動させる、エルフの方はもう問題ない、俺も攻撃を何とかいなせている、後はガネーシャファミリアの援軍が来れば…
《ウィーシェの名のもとに願う》
詠唱?あのエルフか!一体何を?
《森の先人よ、誇り高き同胞よ、我が声に応じ草原へと来たれ》
モンスター達が魔力の多いエルフに狙いを変えた、まずいと思った俺は悪いと謝罪しながらエルフを抱き上げる。
「詠唱を続けろ!」
顔を赤くしながらも、しかし今はそれどころではないとエルフは詠唱を続ける。
《繋ぐ絆、楽園の契り、円環を回し舞踊れ》
《来たれ、妖精の輪、どうか力を貸し与えて欲しい》
「エルフリング!」
そのまま走ってください!と言われ、エルフを抱えてひたすらモンスターの攻撃を避けながら走る。
《終末の訪れよ、白き雪よ黄昏を前に渦を巻け》
《閉ざされる光、凍てつく大地》
《吹雪け、三度の厳冬、我が名はアールヴ!》
詠唱が終わった!急ぎモンスターに向き直る。
そして目の前に冬が訪れた。
「ウィン・フィンブルべトル!」
エルフが放った魔法で全てのモンスターは氷漬けだ、俺ではこうはならなかったろう、凄まじい魔力量だ。
全てのモンスターが粉々に砕け散る中ケートスだけは魔石が砕けず、あまつさえ身体が再生し始めている。
「なにあいつ、再生とかあり!?」
「武器さえあれば…」
ヒリュテ妹と剣姫の言う通りだ、武器さえあれば…
強く強く願わずにはいられない…剣が欲しい…あのモンスターを討ち滅ぼす剣が…
その時、突如ゴポリと地面から水が溢れ出し、やがてそれは見覚えのある剣へと変わる。
「…これは…」
いや今気にするべきは再生するケートスの処理!大きく振りかぶり剣をケートスに目掛けて投擲する。
ガシャン!と音を立てて魔石が砕ける、するとケートスから青い光が浮き上がり俺の中に入ってくる、誰も気にした様子の無いことから見えていたのは俺だけのようだ。
「…いい加減に下ろしなさい!ヒューマン!」
少しぼーっとしていたようだ、耳まで真っ赤なエルフに睨まれ彼女を下ろし、距離をとる。
「凄かったよ!レフィーヤ!」
「まるでリヴェリアみたいだった」
「みんな、ご苦労さん!まだ仕事が残っとるで!アイズは逃げた残りのモンスター片付けてや!」
ヒリュテ姉妹がエルフの少女に駆け寄りだきしめ、神ロキが剣姫に剣渡し他のメンバーにも指示を出す。
「ティオネとティオナは悪いけど地下水路確認してきてくれん?まだ同じのがいたら厄介や」
「レフィーヤはウチと一緒にこの子供の親探すん手伝って!ついでや、君にも来てもらうで!この間は名前も言わんと逃げおったからな、今回は逃がさへんで!」
俺はガックリと項垂れる、所属するファミリアの名前は回避したが、俺の名前はや年齢、家族構成などは知られてしまった…面倒事にならなければいいが。
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夜、ロキは人払いを済ませた酒場にフレイアが起こした今日の出来事にたいし文句を言いに来ていた。
「たく、気に入った子供にちょっかい出すのにあんな大掛かりにやるかぁ?」
「あら、付き合ってってお願いしたはずよ?それに被害は出なかったでしょ?」
「あぁあんだけのモンスターが街中に出たんに、怪我人はほぼゼロ、ウチのレフィーヤがちいとやられた程度や、自分あんな気色悪い蛇みたいな花にまで色目つこたんか?趣味悪いわ、ケートスまで引っ張って来おってからに」
「おかしいわね?私が逃がした中にそんなモンスターいなかったわ?」
じゃああれは一体…。
神々さえも予想できない自体が起き始めている。
これは序章にすぎないと知る者はこの段階では■人だけ…
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路地裏で女が笑う。
「…まずは一つ…今回は欠片しか送れなかったけれど…少しづつ、慌てることは無い…待っていて■■■■■」