水と光のその先へ   作:とも1783

7 / 10
バベル

 

 

「なるほど、フィルくんも昨日は災難だったね…今年のモンスターフィリアはどこかおかしい、それにしても…ホームに置いてきたはずの剣が急に地面から生えるってなんだい?君はびっくり人間グランプリでも目指してるのかい?」

 

「そんなわけないでしょう…これでもかなり困惑してるんです、スキルに明記は無いし…買った武器屋も消えましたし…鑑定では呪武具ではないと言われましたけど」

 

 

呪武具…装備者に何らかの代償やリスクをもたらす代わりに、強力な特殊効果を発揮するいわく付きの武器、使用者で有名なのはフレイアフィリアのヘグニ・ラグナールあたりだろうか。

 

「とにかく!そんな、如何にもいわくありげな武器はタンスにしまっておこう!そうしよう!」

 

そう言ってヘスティア様は代わりにと渡してくれたのは真っ白な刀身に神聖文字が記されたロングソード、手に持つと光を放ちまるで武器自体が生きているようだ。

名前はヘスティアソードらしい。

 

 

「…ヘスティア様、名前はともかくとして、この武器結構な技物のようですし大変嬉しいのですが…ヘファイストスファミリアのロゴが入ってるのは何かの間違いですか…もしかして闇金…」

 

ちょっと待て!今、目をそらしたぞこの神!ヘファイストスファミリアのオーダーメイドなんて少なく見積っても1億ヴァリスはくだらない…まさか、お天道様に顔向け出来ないことをやったんじゃ…

 

「してないよ!君は僕をなんだと思っているんだい!」

 

まったく、失礼しちゃうよ!とプリプリ怒るヘスティア様だが、仕方ないだろうこんな如何にも高級ですと主張する武器が俺とベルの前にある。

最低でも2億…いや3億ヴァリス確定なのだ、これでも平静を装っているほうだ、後、人の心を読まないでください。

 

ベルの方は憧れのブランドの武器を神様に頂けて舞い上がり、値段などは気にならないようだ…胃が痛い。

 

「あ!そうだった、兄さん明日なんだけどエイナさんが連れていきたい場所があるって、予定大丈夫だよね?」

 

「?…もちろんだ」

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

翌朝、エイナ女史との待ち合わせの場所に着いたが早くつ来すぎたようだ、まだ約束の時間まで30分はある。

 

 

「おーい2人とも!お待たせ、随分早かったね」

 

5分後、小走りにエイナ女史がやってきた、今日は非番の為か白いブラウスに赤いスカート姿で新鮮だ。

そんなに私との買い物が楽しみだったの?と赤面するベルが面白かったのかエイナ女史はほらほら、私の格好に何か言うことあるんじゃない?とベルをからかっている。

 

「あ…えっ…いつもより若々しく見えます!」

 

ベルの回答に、こら!私はまだ19だぞ〜ほらほら謝れ〜とベルの頭をグリグリして遊び出すエイナ女史。

流石にそろそろ止めるか…おほんっ!と咳払いを1つして今日は目的があったのでは?と言えばじゃれあいは止まった。

 

 

「えっと…それで、エイナさん今日はどこに行くんですか?」

 

エイナ女史はバベルを指さしお目当てはヘファイストスフィリアの店だと言った。

それを聞いてそんな高級ブランドを買えるだけのお金無いです!と叫んでいるベル、エイナははそんなベルを問答無用〜と手を繋いでバベルへと直行だ。

 

数歩後ろを歩く俺は思う…ベル、ヘスティアナイフはいくらだと思う?言わぬが花だが…胃が痛い。

 

 

「知りませんでした、バベルにこんな店があるなんて…」

 

「今日のお目当ては上の階なんだけど…ヘファイストスファミリアのお店だから、ついでだしここも見て行こっか」

 

 

並んでいるのは全て鍛冶スキルを持つスミスの作品の様だ、こちらの剣なんて3000万ヴァリスもする。

 

「いらっしゃいませ〜!何をお探しでしょうか?お客様!」

 

 

ガチャりとバックヤードの扉が開き中から現れたのは、赤いワンピースの制服を身に纏う我らの主神ヘスティア様だった。

 

「神様!?最近やけに忙しそうだと思ったら!バイトの掛け持ちしてたんですか!」

 

2人こそどうしてここに?と困惑するヘスティア様に今日の目的、アドバイザーのエイナ女史の勧めで武具の調達と、見識を広げるための見学の件を伝えたが、何やらエイナ女史にこっそりと何か耳打ちしている。

どうかしたのだろうか?

 

 

その後、お目当ての階に移動中変わった神様だねと言われて、ウチの主神が何かやらかしたのが確定した。

 

 

「はい、到着!2人はヘファイストスファミリアなんて高級ブランド、自分には縁遠いとおもってるでしょ?」

 

でも、そうでもないんだなぁ、と指さす先には1200ヴァリスの値札…安い。

 

「驚いた?ここにあるのはみんな見習い鍛冶師の作品なの、安くても実際に売られて評価を受けることが駆け出しノ彼らにはプラスになる、中には掘り出し物もあるんだよ!」

 

防具がまとめられたエリア、ベルは早速置くまで探索に駆け出してしまった、俺も気ままに見て回ることにする。

 

数分後、ベルのエイナさん!僕これにします!というなんとも弾んだ声が聞こえた、あちらはいい装備が見つかったようだ。

 

「さて…俺も早く見繕わなければな…おっと!」

 

キョロキョロと商品棚ばかりに気を取られ後ろにいる人物にぶつかってしまった。

ガラガラと箱から出てしまう灰色のライトアーマー急いで謝罪し拾うのを手伝う…まてこれは。

 

「周りをよく見ていなかった、本当に済まない…所でこれは売り物か?もしそうならぜひ売って欲しいのだが。」

 

「あぁ!いいぞ!お前中々見る目あるな!俺はヴェルフ・クロッゾ!お前の名前は?」

 

「フィル、フィル・クラネルだよろしくヴェルフ」

 

ヴェルフはLv1の鍛冶師でまだアビリティを持っていない駆け出しらしく、また作品を買いたくなったら今度はオーダーメイドでも受け付けてくれるらしい、少々他より割高だがコレは良いものだと直感が告げている。

互いの連絡先を交換しその日は別れた。

 

まさか弟も同じ作者のライトアーマーを買っているとは思わなかったが、兄弟はここまで似るのだろうか?

 

「エイナさん今日はありがとうございました!」

 

「いえいえ…サポーターの件、フィルさんとも相談しといてね」

 

 

サポーター、ダンジョン探索で冒険者と同行し、荷物の運搬や戦闘の補助などを担う後方支援の役割。

 

主な仕事は、荷物持ち:ダンジョンで獲得した魔石やドロップアイテム、予備の武器、食料などを回収して背負う。

探索のサポート: 安全なルートの確保、危険の察知、野営の準備などを行う。

戦後処理: 冒険者が戦闘に集中できるよう、金品の回収や後方からの状況報告をこなす。

 

確かにこれから7階層や10階層を探索するならいた方がいい存在ではある。

 

「そうだった、これ二人に私からのプレゼント大切に使ってあげてね!」

 

エイナ女史は、俺とベルにそれぞれ色違いのプロテクターをプレゼントしてくれた、俺が青で、ベルが緑色だ。

タダで貰うのは気が引けたが、エイナ女史の冒険者は死にやすく、戻って来れなかった冒険者を沢山見てきた中で俺もベルも死んで欲しくないから…自分のためにも受け取って欲しいと言われ引き下がる。

 

「必ず、かえってきますから!」

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

帰り道、黄昏時をすぎ始めた時間、俺達は急ぎホームへ向かっていた、そんな中角から少女が飛び出しベルとぶつかる。

 

「大丈夫ですか?怪我は…」

 

 

最後までいい終わる前に路地から男が抜刀して襲いかかってきてベルは思わず応戦する。

パルウム、ということはこの少女に用があるようだが、随分と荒っぽい。

男はベルになぜ助けると解いベルは女の子だからと答える…ベル、お前は女の子なら誰でも助けるのか?

 

 

「やめなさい、街中で剣を交えるとは、穏やかではありませんね」

 

「あ゛ぁ!!うるせぇ!すっこんでろ!」

 

「吠えるな!手荒な真似はしたくありません、私はいつもやりすぎてしまう…」

 

雑魚冒険者が途中から乱入してきたリオン嬢にクソがと悪態を着くが恐れをなして逃げ出していく、いつの間にかあの少女も逃げたようで姿が見えない。

 

「すまないリオン嬢、助かった」

 

「いえ、差し出がましい真似を…あなたがたが怪我をしたらシルが悲しみます気をつけてください、では私はこれで」

 

「本当にありがとうございましたリューさん」

 

 

 

リオン嬢と別れ、ホームに戻る、あの少女はおそらく何かある…厄介事ノ気配だ

 

「どうして俺の弟の周りには厄介事がこんなに多いんだ…」

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。