俺は勇者ブレイブ。
前回はいい感じで締まったと思う。
リリスは俺を信じて、自身が魔王の娘であることを話をしてくれた。
今、ひとまず宿に戻り、なんかあのちょっと吸い込まれる空間でリリスと向き合っている。
捉えた魔族は…宿の入り口で天日干しになっている。
…夜だけど。
帰り道、俺は考えた。
俺も、話すべきじゃないか…?
俺の、歴代勇者の秘密を…。
「なぁ、リリス。」
「何でしょう?」
神妙な面持ちの勇者に、何かを察したリリスも真剣な表情になる。
「俺も、話しておきたいことがある。」
「はい。」
「信じて…もらえないかもしれない。」
「何を言っているんですか、ブレイブ。」
「貴方は私を信じてくれました。」
「私も、貴方を信じます。」
「そうか…。」
リリスからの、信頼を感じる。
アルカナとかあったら、強くなりそうなくらいだ。
リリスをまっすぐに見つめ、勇者ブレイブはついに…。
「俺は、歴代勇者たちの敗因を知っている。」
歴代勇者の敗因を話す、決意を固めた。
「聖剣に選ばれた、とはお聞きしていましたが…まさか歴代勇者様の記憶を…?」
「あぁ…そうだ。俺は歴代勇者達の記憶を知っている。」
…信じてもらえるだろうか。
そんな不安が勇者を襲う。
君もこんな気持ちだったのか、リリス。
すごく不安で押しつぶされそうだ…。
だが、俺は勇者だ。
仲間を信じると決めた。
リリスも俺を信じた。
だから…俺も信じよう。
「リリス、歴代勇者達の敗因は…。」
「風呂に、入っていないからだ。」
リリスは目を大きく見開き、思わず口に手を当てている。
無理もない、歴代勇者の敗因が風呂に入らないなどと言われてもにわかに信じがたいだろう。
だが…
「…嘘じゃない。」
「歴代勇者たちは、風呂に入らなかったせいで…負けたんだ…。」
俺は、思わず俯く…どう…答えてくれる?
心配を紛らわせるために、手をきつく結ぶ。
…頼む…信じてくれ…。
「…ええ、もちろんわかってます。」
顔を上げると、リリスは穏やかな面持ちでこちらを見つめている。
あぁ…良かった…リリスなら信じ…
「ブレイブが、私を元気づけようとしてくれたこと。」
………………は?
「いや、そうじゃ…」
「ブレイブは私が、魔王の娘であると知らながら、仲間として受け入れてくれました。」
「しかも私に気を使わなくても良いようにと、冗談を言って笑わせてくれたのでしょう。」
リリスは肩を震わせ、口を抑えながらも堪えきれずに笑っている。
いや!違う!
違うんだ!リリス!
俺は…!俺は本気なんだ!
くそっ…こんな時…聖剣の記憶さえ…見せられれば…。
そんな思考がよぎった瞬間、聖剣が光り輝いた。
その光は、壁へと集まっていく。
主の想いを汲んだか、壁に映像が流れ出す。
聖剣よ、俺の思いに応えてくれたか!
【リリスとの絆が 深まった】
【絆の力を 聖剣の輝きとし】
【勇者と共に 魔王の呪縛を解き放たん】
【絆ランク 8】
ちくしょう!余計なところに応えやがった!
なんだ、そのオシャレUIとちょっと見覚えあるポエムは!
色が定まらないからって、ゲーミングカラーにするな!
せめて、青か黄色か赤だろ!
信じた俺が愚者だよ!
「大丈夫ですよ、ブレイブ。」
「私は、信じています。」
目に涙を浮かべたリリスのまなざしは、あまりにも穏やかだ。
よかった、ついに…ついに信じてもらえ…。
「貴方が私を励ますために、一生懸命笑わせようとしてくれた優しさを。」
「一番信じてほしいところ!信じてねぇ!!」