ついに秘密を打ち明けた勇者ブレイブ!
ようやく、苦悩を共にできる仲間を…
得られなかった!
風呂に入らないせいで負けた、リリスにとってそれは、勇者の冗談だと思われたのだ!
リリスからの好感度はあがった!
だがしかし、勇者の苦労は耐えない!
勇者の猫か犬に人生相談する時間数も上がった!
それはさておき、一夜明けた。
依頼を終えて、王都へ戻る勇者一行
「なぁ、リリス。」
「何でしょう、ブレイブ。」
「あの赤い髪の子は誰なんだ?」
「あぁ、フラムのことですか?」
「彼女は、魔王の娘の一人です。」
「熱心な私のファンらしくて…。」
「毎度私に戦いを挑んでは…あの調子で。」
「魔王城から逃げ出した時も、真っ先に勝負を仕掛けてきました…」
「行く先、行く先、行く先…………。」
目があったら勝負…というやつか…。
ようやく長いトンネルを抜けたと思ったら、出口に待ち構えていたりしたのだろう…。
そしてすぐに…フラムが地面に埋まって、顔だけ出ている様が容易に想像できた。
「そのうち、私の従者になりたいなどと言い出しまして…。」
「リリス様!今日こそは…」
「なんでついてきてるんですか。」
「今日こそは、お供させていただこうかと!」
意気揚々と現れる、噂の魔族フラム。
長年探していたリリスをようやく見つけたのだ。
元気百倍である。
「…これから行くのは王都だ。」
「え!」
「並の魔族は、王都の結界で焼けるぞ。」
「というか、フラム…温泉の結界でもぶつかってたろ…。」
…王都には魔族を拒む結界が張られている。
リリスは魔力が強く、結界をすり抜ける術を編み出したそうだが、並の魔族では耐えられないだろう。
「あれは…そう!夜で見にくかっただけだ!」
「私は!強いぞ!」
「ちゃんと見えれば、結界なんて大したことない!」
…………本当か…?
一応見ておくか、ステータス。
たおした今なら????から見えるはずだ。
倒せばステータスが見れるし、寄ったり引いたり回転させたりできる。
なんでか、そんな気がする。
(筋力B 体力A 魔力A 信仰C Lv-…)
ステータスは見えたが、レベルは見えない…
だがしかし、それより気になるのは…!
知力-だ!
知力判定不能ってなんだ…
ちょっと、アレな感じなのか…?
そうしているうちに王都へ到着する。
「おーい勇者ー!はやくしろよー!」
「なぁリリス、何日か前はフラム、俺のこと倒そうとしてたよな?」
「ブレイブ、あの子は細かいこと、考えてないと思いますよ。」
「…それも…そうか…。」
気づけばフラムはすでに城門を越えようとしている。
城門から先は結界だ、まずい早く止めなくては…。
「おい、やめ…」
言い終わるか終わらないかのうちに、王都の城門へ駆け出すフラム。
王都の結界に引っかかったら、騒ぎどころじゃ済まない…。
慌てて駆け出そうとする勇者だが、時すでに遅し。
フラムはすでに城門の中だ。
だが、勇者の心配とは裏腹に、何も起こらなかった。
「なぁ!見たろ!私はすごいんだ!」
急いで城門を超え、フラムに追いつく勇者とリリス。
魔族であることがバレると、王都ではまずい。
フラムをサッと簀巻きにし、エビフライを担いで王都の宿屋に駆け込む勇者一行。
手早く支払いを済ませ、一室を借りるとリリスは部屋にバリアを張った。
防音と盗聴対策だ。
聞こえていないと思っていても、隣の物音は案外聞こえるものだ。
宿に泊まると、なぜか爆音のくしゃみとか聞こえてきたりする。
誰も部屋にいないからって、誰も聞いてないわけじゃない。
「お前…なんで結界をすり抜けられるんだ?」
「なんで…?見れば分かるだろ。」
これが…天才か…。
…かなり知力にムラがあるから-なのか…。
まぁ…そうだよな…よく考えたら、街に魔族が襲来するイベントってだいたい結界役に立ってないもんな。
ーーーーーーーーーー
さて…、ここで選択肢だ。
こいつを仲間に引き入れるか、或いはパーティー入りを断るかだ。
こいつは、魔力は強いし力もある。
だがしかし、ここで一つ問題が発生する。
パーティーの半数が、魔族になってしまう。
さすがに多くはないか…?
パーティーに悪魔とか天使はだいたい一人よ?
一人くらいなら…そりゃこう、感動的だろう。
あぁ、この二人は深い絆で結ばれてたんだな…。
とか、後世の歴史家たちも考察するだろう。
そこで、だ。
魔族が半数を占めるとどうなるか。
この勇者も実は魔族で、魔王は魔族による反旗で打ち倒されたかもしれない…。
なんて、考察される可能性がある。
…それは…。
それは…なんか悔しい!
だってそうだろう!
勇者として頑張ってきたじゃん俺!
人の身で!限界を超えて!
なのに、ちょっと捻くれた歴史学者がさぁ!
「素人質問で恐縮ですが、この勇者が魔族でないと言い切れる物的証拠はあるのですか?」
などと学会で言われてみろ!
ぜんぜん素人質問で恐縮してない、慇懃無礼な歴史学者がそこそこの権力者だったら…。
「教科書では勇者ブレイブは人間って習ってたけど、最近の小学校では勇者ブレイブは魔族って教わるらしいよ。」
となってしまう!
しかも、勇者人間派の提唱者も…
「まぁ…素人質問で恐縮先生の言う事なら…正しいのでしょうな。」
などといわれてしまう!!!
我を通してくれ!負けるな!負けるな!勇者人間派の提唱者!
お前が正しいんだ!
…それはさておき、コイツには聞かねばならぬことがあった。
「なぁフラム。」
「なんだ?勇者。」
「お前、風呂には入るのか?」
「ブレイブ、好きですよねお風呂。」
そう、うちのパーティーは風呂キャン禁止だ。
なぜなら、歴代勇者達は風呂に入らないせいで負けたからである。
フラムは怪訝そうな顔で俺を見つめる。
「フロって…なんだ?食えるのか?」
あぁ、わかってた。
なんとなくさ、磯の香りがずっとしてた。
海に沈められて、着いただけだと思った。
それにしても、獣臭いなって。
簀巻きにしてエビフライしてるときも、脂の腐った匂いみたいなのがしてた。
「ちくしょおおおおお!」
勇者ブレイブ、気にすべきは遠い未来の学者ではない!
眼前に迫る、新たな危機!
風呂キャン魔族がパーティー入りしなくとも!
彼女はリリスにつきまとう!
そのせいで!どんな不可抗力で敗北するかわからない!
何としてもフラムを風呂に入れなくては!