DAYDREAM THE BLUE ARCHIVE…?   作:さすらいの明太子

2 / 3
続きです。よろしくお願いします。



Case2:奪還す(奪い返す)

 車に揺られること数十分。

 

 次第に、爆発音や銃声が近くなってきた。

 

「もう少しで到着します。皆さん、戦闘準備をお願いします」

 

 七神リンがそう告げる。

 

「そろそろか」

 

「そうですね。言われた通り準備しましょう」

 

 周りを見渡す。

 

 ユウカはサブマシンガンを二丁持ちした前衛。

 ハスミはスナイパーライフルを持った後衛。

 チナツはハンドガンを装備しているものの、基本はサポート役。

 スズミはアサルトライフルを構え、さらに自作の閃光弾まで用意している。

 

 ゲームで見慣れた武装が、実際に目の前にある。

 

 なんだか妙な感じだ。

 

 俺も一応ハンドガンを持っている。

 

 ……まあ、使わないだろうな。

 

 なんてったって、ゼッツになれるわけだし。

 

 その時、車内にリンの声が響いた。

 

「皆さん、着きました」

 

 車を降りた瞬間――

 

「……こりゃひでぇ……」

 

 思わず呟いた。

 

 あちこちで爆発が起きている。

 焦げ臭い匂いが充満し、悲鳴や怒号まで聞こえてくる。

 

 まさに地獄絵図。

 

 先生はというと、やっぱりかなり引いている。

 

 無理もない。

 

 こんな美女たちに囲まれていると思ったら、その周囲では銃弾が飛び交っている。

 

 普通の人間なら、そりゃ引くわな。

 

 ……お前はならないのかって?

 

 まあ……ブルアカだもん。

 

 それにしても、先生も肝が据わっている。

 

 こんな銃弾が飛び交う場所に、普通の人間なのに立っている時点ですげぇよ。

 

「あの服装、連邦生徒会の奴らだ!!」

 

 不良たちがこちらに気づいた。

 

「いいカモがやってきたぞ!」

 

 次の瞬間、一斉に射撃が始まる。

 

「痛い痛い! 痛いってば!」

 

 ユウカが悲鳴を上げる。

 

 どうやら使われている弾丸が気に入らないらしい。

 

 ハスミが冷静に注意を促し、先生を守ることを最優先にするよう皆へ伝える。

 

 俺もそれに従い、まず先生を近くの遮蔽物へ隠してから前線へ戻った。

 

 ……さて。

 

 やりますか。

 

 俺はゼッツドライバーを取り出す。

 

「……なんですか、それは?」

 

「俺の戦闘の要」

 

 ゼッツドライバーを装備する。

 

 カプセムをはめ込む。

 

『インパクト!』

 

『メッツァメロ……メッツァメロ……メッツァメロ……』

 

「I’m on it……変身!」

 

 カプセムを回転させる。

 

 中に描かれたナイトメアの絵が動き出す。

 

『Good morning! ライダー! ゼッツ! ゼッツ! ゼッツ!――インパクト!』

 

 ――その瞬間。

 

 俺の意識は、どこかへ飛ばされた。

 

 いや。

 

 深層心理へ引き込まれた。

 

 そこにいたのは、カタストロフゴアナイトメア。

 

『お前は、壊れる覚悟があるのか?』

 

「壊れる覚悟……?」

 

 何を言っているのか分からない。

 

 だが、こいつが俺に力を貸す代わりに、俺自身を壊すつもりだということだけは理解できた。

 

『お前に力を貸す代わりに、お前を壊す』

 

「……なら、なんになる?」

 

 俺はカタストロフゴアナイトメアを見据えた。

 

「俺が壊れたって、誰も悲しみやしないさ」

 

『クク……つくづく忌々しい。まあいい……契約成立だ』

 

 ――次の瞬間。

 

「っ…………?!」

 

 気づけば、俺は変身直後の状態へ戻っていた。

 

「なんですかそれ?!」

 

「姿が……変わった……?」

 

 皆が困惑している。

 

 無理もない。

 

 俺は仮面ライダーを知っているから違和感はない。

 

 でも、仮面ライダーなんて知らない人からすれば、目の前で突然人間が姿を変えたわけだ。

 

「さて……行くか!」

 

 カプセムを回す。

 

『インパクト!』

 

 システムボイスが響いた瞬間、右腕の筋肉が膨張しているような感覚に襲われた。

 

 そして――力がみなぎる。

 

「おらっ……よ!」

 

「おふっ……!」

 

 試しに不良を殴ってみる。

 

 すると、その身体は数メートル吹き飛び、そのまま壁へめり込んだ。

 

「何……あれ……」

 

「やべぇ!? 逃げろっ!?」

 

 不良たちは仲間を回収すると、一目散に逃げていった。

 

「さあ、行こう」

 

 念じる。

 

 すると、手元にブレイカムゼッツァーが現れた。

 

 そのまま走り出す。

 

「……って、何ボサっとしてんだ? みんな」

 

「……えっ……ああ! 行きましょう!」

 

「……少し、()()()する必要がありますかね……」

 

 ――それから、戦闘はしばらく続いた。

 

「まだまだ来んぞ!」

 

「もう! 無駄に数が多いわね!」

 

 ゼッツの力でかなりの不良を退けた。

 

 ……が。

 

 いかんせん、とんでもない数がいる。

 

 減らねぇんだなぁ、これが。

 

 それでも、先生が指揮をしてくれているおかげで、皆も本来の力を出せているようだった。

 

「なんだか戦闘がいつもよりやりやすい気がします……」

 

「……やっぱりそうよね?」

 

「先生の指揮のおかげで、普段よりずっと戦いやすいですね」

 

 やっぱりそうらしい。

 

 かく言う俺も、いくらゼッツの力があるとはいえ初戦闘だ。

 

 それなのに、妙に動きやすい。

 

「でも、なんでこの時の先生はシッテムの箱がないのに、こんな指揮できんだろ……」

 

 まあ、深く考えない方がいいか。

 

「もうシャーレの部室は目の前よ!」

 

 リンから通信が入る。

 

 どうやら、今回の騒ぎを起こした生徒の正体も判明したらしい。

 

「ワカモ……」

 

 百鬼夜行連合学院で停学になった後、矯正局を脱獄した生徒。

 

 七囚人の一人。

 

 似たような前科もいくつもある、危険人物。

 

「なるほどな……」

 

 その瞬間――

 

「……っ?!」

 

 突然、弾丸が飛んできた。

 

 俺は反射的にブレイカムゼッツァーを振る。

 

 弾丸を切断し、そのまま撃ってきた相手を見据えた。

 

 ライフルを排莢しながら、狐面の少女が姿を現す。

 

「狐坂ワカモ?!」

 

「洒落臭え……」

 

 ワカモは俺たちを見て、楽しそうに笑った。

 

 どうやら、連邦生徒会が大切にしているシャーレを壊すことに興味を持ったらしい。

 

「俺かよっ?!」

 

 ワカモが俺へ向かって発砲する。

 

 遮蔽物を利用し、一気に距離を詰めてきた。

 

 俺はブレイカムゼッツァーにインパクトカプセムを装填する。

 

 回転。

 

 待機音が鳴り響く。

 

「……ここっ!」

 

『ブレイカムスラッシュ!』

 

 刃がワカモの顔へ迫る。

 

 ――だが、避けられた。

 

「……どんな反射神経だよ」

 

 俺は蹴りと拳を織り交ぜながら応戦する。

 

 カプセムをドライバーへ戻す。

 

「レイがワカモと戦ってるうちに、他の皆は他の子達を!」

 

 周囲でも、それぞれが戦闘を開始する。

 

 俺は目の前のワカモだけに集中した。

 

「フフ……随分と勇ましいですわね?」

 

「そうかい!」

 

『インパクト!』

 

 右手を囮にして、左手から打撃を繰り出す。

 

 拳がワカモの腹部へ直撃した。

 

「っ……なかなかやりますのね?」

 

 一瞬だけ苦しげな声が漏れる。

 

 だが、すぐに余裕のある気品を取り戻した。

 

 ――ただ。

 

 手応えはあった。

 

「ああ、伊達な力じゃないんでねぇっ!」

 

『インパクト!』

 

 再び能力を発動。

 

 拳を叩き込む。

 

 ――しかし。

 

 ワカモはそれを躱した。

 

「なら……!」

 

 続けざまに蹴りを繰り出す。

 

 だが、それも空を切った。

 

「……そろそろ潮時ですかね」

 

 ワカモが一歩下がる。

 

「あとは、あなたたちに任せます」

 

「くっ、待て!」

 

「無駄に強ぇな……」

 

 俺は追おうとする。

 

 だが、ユウカが叫んだ。

 

「逃げられてるじゃない! 追うわよ!」

 

「いいえ。生半可な行動をしてはなりません」

 

 ハスミが制止する。

 

 俺たちの目的は、あくまでシャーレの奪還。

 

 ワカモを追うより、まずは目的を優先するべきだ。

 

「……まあいいか」

 

 俺はワカモの消えた方向を見る。

 

「今は、シャーレだな」

 

 俺たちはそのまま前進する。

 

 そして――

 

「着いた!」

 

 ついにシャーレの部室へ辿り着いた。

 

「[シャーレ]の部室も奪還完了。私も、もうすぐ到着予定です。建物の地下で会いましょう」

 

 通信越しにリンの声が響く。

 

「……まあ、そもそも変身解除して良さそうだな」

 

 俺はゼッツドライバーへ手を伸ばす。

 

 カプセムを抜く。

 

 レバーを押す。

 

 ――変身解除。

 

 こうして、シャーレ奪還作戦は終わった。




3話まで書いてるんで投稿しときます。
誤字などあったら報告していただけると嬉しいです。アイデアもお待ちしてます。
追記:誤字報告ありがとうございました!

日常回ってあっほうがいいですか?

  • はい
  • いいえ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。