トワイレックの奴隷少女、ジェダイになる 作:あるてみす@二次創作
シードラ星系、惑星シンシダー。
コアワールドとミッドリムの中間に位置する星系であり、ハイパースペース航路が重なる宙域に位置する惑星であったため、古くから交易路として有効活用されていた。日々、多くの輸送船が行き交い、大量の物資や人員が移動し、銀河の経済を動かすためには不可欠な惑星である。
帝国が倒れ、新共和国の体制となってからも物流と交通の拠点であることに変わりはなかったが、シンシダーの物流全体を管理していた企業が帝国残党に買収され、シンシダーを行き交っていた物資や人々は検閲されて排除され、帝国時代と変わらぬ状態となった。
シンシダーから脱走を図る者やドロイドは徹底的に排除されたが、何らかの通信手段で外部に現状を伝えた者がいたのだろう、いくつかの新共和国軍基地と同盟軍基地から艦隊が発進したと報告があった。
「いかがなさいます、ダース・シャハー」
報告書のホロから目を上げたのは、大柄なデヴァロニアンの女、クレイン・ミーネだった。その腰にはライトセーバーを帯びている。
『まるで戦争を起こす気だ、まだ起こしてもないのに! 戦闘の後は好きにさせてくれ、使える部品が山ほど落ちているに違いないから!』
フォースを通じて思念を伝えてきたのは、小柄なジャワの男、ショーナ・ディノである。彼もやはりライトセーバーを提げているが、体格に合わせて柄が短かった。
「ご命令とあれば、我々も出向きますが」
オード・キューが申し出ると、ダース・シャハーはシス騎士団に属する者達を一瞥した。
「構わん。私だけでいい。お前達は別行動を取れ」
「ですがマスター、敵の数が多すぎるのでは」
クレインが案じると、ダース・シャハーはマスクを傾ける。
「物の数には入らん」
『例の作戦の設計図と試作品を、戦闘の騒ぎに紛れて別の拠点に移動させろ、と仰る。それならば人数を絞るべきでは? 一つの作戦に対し、シス騎士団たる我々を三人も投入するのは戦力過多でしょうに』
ショーナは聞き取りづらいジャワ語と思念を交え、忙しなく話す。
「それだけの作戦だということだ。現段階では作戦の下準備に過ぎないが、一つずつ成功を積み重ねることでやがては銀河の征服に至る。皇太子殿下もお喜びになろう」
ダース・シャハーが返すと、クレインは承諾した。
「仰せのままに、マスター」
「では、そのようにいたします」
オードは深々と頭を下げると、二人を連れて去っていった。クレインはこちらを気にしていたが、ショーナは既に戦闘を終えた後のことについて考えを巡らせているようで、宇宙船の部品を搔き集めてどんな兵器を作ろうか、という思念が流れてきた。
三人の気配が遠ざかってから、ダース・シャハーは会議室を後にした。実際、一人の方がやりやすい。敵の数が多く、戦闘の規模が大きければ大きいほど、ダース・シャハーの能力は発揮しやすいからだ。故に、部下が傍にいるとやりづらくなる。
味方を巻き込みかねないからだ。
上空は連合艦隊に塞がれていた。
地上にもまた、XウィングとAウィングが混在した航空部隊が次々に飛来し、帝国残党の軍勢を散らすべく爆撃を繰り返していた。頼みの綱とスター・デストロイヤーと軽クルーザーは、連合艦隊に先手を打たれたためにシンシダーの手前で足止めを食っている。
となれば、やることは簡単だ。ダース・シャハーは帝国残党が占領して拠点としていた宇宙港を出た。シャトルが離発着するために作られたブリッジを、黒いマントを翻しながら歩く。真っ直ぐに。
それを目ざとく見つけ、Xウィングが飛来する。すかさずレーザー砲を浴びせられ、ブリッジの一部が破損するが、ダース・シャハーはライトセーバーを抜いた。赤い閃光が伸びて刃を成すと、フォームⅣ、シエンの構えを取る。
「ふん」
それを翻し、レーザー砲を跳ね返す。己の攻撃を浴びせられたXウィングは翼を破損し、推力を失って落下し、ビルに激突して爆散する。
後続のAウィングに対しても、ダース・シャハーは同じことを繰り返した。歩みを止めず、息も切らさず、フォースを宿したライトセーバーだけで敵機を立て続けに撃墜していく。それにより、連合艦隊の航空部隊に動揺が広がり始めた。彼らの無線は傍受していないが、フォースを通じて感情が流れ込んでくる。
「さて」
ダース・シャハーは時折落下してくる瓦礫やスターファイターの破片をライトセーバーで弾きながら、左手を掲げ、フォースを高めた。薄膜のように広がるフォースの下、その先にある力の流れに毒を含んだ糸のようなダークサイドのフォースを巡らせる。
連合艦隊に参加している人々の総数は五万人近いが、ダース・シャハーのマインドハックを届かせ、その心を操るのはほんの少しでいい。
「撃て」
ダース・シャハーの命令により、航空部隊の一部が離脱し、TIEファイターではなく自軍の艦隊へと急接近した。対地放火を浴びせられるも、ダース・シャハーのフォースによって回避し、Aウィングはスター・クルーザーの側面にプロトン魚雷を命中させた。程なくして爆砕し、撃沈する中、Aウィングは友軍機によって撃墜された。
ダース・シャハーに操られた操舵士により、コルベットが急速に落下して地面に突っ込み、粉々に砕け散った。続いてフリゲートが傾き、スター・クルーザーと正面衝突して空中で爆散する。難を逃れたスターファイターもいたが、ダース・シャハーのフォースに引っ張られ、燃え盛りながら崩れ落ちるスター・クルーザーの真下に連れ込まれて潰された。
炎を纏った雨のように、無力な鉄の塊と化した戦艦が地上へと降り注いでくる。世界の終末を描いた絵画の如き戦場の中、ただ一人、立っているのは黒衣の暗黒卿のみだった。
ダース・シャハーがブリッジの先端に到達する頃には、戦局は覆されていた。連合艦隊の残存勢力もいたが、彼らは勝ち目がないと知って離脱した。賢い判断だ。ライトセーバーを収め、ダース・シャハーは黒煙と熱風に黒いマントを靡かせる。
「お見事です、我らが暗黒卿」
ブリッジの後方から声を掛けられ、ダース・シャハーが振り返ると、そこにはヒューマンの少女が佇んでいた。戦場に似付かわしくないブラウスにスカートという服装で、髪もふわふわとした巻き毛で、年頃は14歳程度だ。
「ユマ・ハイライト」
ダース・シャハーが名を呼ぶと、ユマは微笑む。
「任務を終えたので帰還しました。お迎えに上がりました」
「私は構わぬが」
「いえいえ、そうもいきません。皇太子殿下がお待ちですので」
「解った」
ダース・シャハーが頷くと、ユマはコムリンクで指示を出した。程なくしてラムダ級シャトルが降下し、ブリッジの先端に至ったので、ダース・シャハーは部下を伴ってシャトルに乗り込んだ。
この戦いにより、帝国残党の支配は揺るぎないものとなるだろう。ダース・シャハーはブリッジの窓から燃え盛る都市と宇宙港を見下ろしていたが、背を向けて椅子に腰を下ろした。
ライトセーバーは既に冷めていた。
同盟軍の旗艦に収容された。
キャノピーが開いたが、カミーノ・スターリバーはすぐに立ち上がれなかった。震える手でヘルメットを外したが、血の気が引いている。
「立てるか?」
整備士に手を伸ばされ、カミーノはその手を取ってようやく立ち上がった。
「ああ……」
「生き残れただけでも幸運だ」
整備士に背中を叩かれたが、カミーノは生存を喜べるような気分にはなれなかった。Xウィングのコクピットから降りたが、格納庫から出るための通路に入ったところで座り込んだ。
「なんなんだ、あれ……?」
宇宙港のブリッジの先端に黒い人影が現れた途端、全てが覆った。味方が味方ではなくなり、信頼出来る仲間が敵となり、艦隊が総崩れとなった。新共和国軍も同盟軍も、多くの戦艦とスター・ファイターと同胞を失った。敵の正体も解らないうちに。
「カミーノ!」
名を呼ばれてカミーノが顔を上げると、スワンプ大佐がやってきた。焼け焦げたアストロメク・ドロイドに躓きかけたが持ち直し、改めて近付いてきた。
「大佐、あれは一体」
カミーノが壁に手を付きながら立ち上がると、スワンプ大佐は苦々しげに吐き捨てた。
「シスの暗黒卿だ」
「ジェダイの敵で、帝国の味方の」
「そうだ。私も実際に見たのは初めてだが、想像以上だった。あれは化け物だ」
「ジェダイは……」
「生き残っていたとしても、必ず助けてくれるという保証はない。古い時代の慣習に縛られている奴らだからな」
「スワンプ大佐はジェダイを信用しないんです?」
カミーノは壁に付いた手に力を込める。セーヤがジェダイだったら、との思いが過ぎったからだ。
「クローンに負けるような奴らだぞ?」
スワンプ大佐はそう零してから、カミーノの背を叩き、とにかく生き延びてくれてよかった、と言った。それからスワンプ大佐は持ち場に戻っていったが、カミーノはヘルメットをぶら下げた。フライトスーツはパイロットにとっては体の一部なのに、いつになく重く感じた。
「ああ、くそ」
口惜しさと苛立ちと情けなさがない交ぜになり、カミーノはオレンジの髪を掻き乱した。右の側頭部にある古傷がやけにむず痒く、鬱陶しい。子供の頃にどこかにぶつけただけの傷なのに。
息をするのも苦しい。
惑星モルルへと移動した。
ラムダ級シャトルが離宮の傍に着陸すると、ユマが先にシャトルを下りた。ブラスターを携えたストーム・トルーパーに出迎えられたが、ダース・シャハーは彼らには目もくれなかった。
皇太子の居所は、案内されるまでもなく感じ取っているので、ユマは迷いなく進んだ。ダース・シャハーは彼女の小さな背中を追い、辿り着いたのは中庭だった。ヴィシャムは噴水に手を翳し、フォースを用いて水を浮かばせていたが、それを解除した。
「報告は受けた。ご苦労だった」
「殿下の期待に沿えましたでしょうか」
「ああ」
ヴィシャムは二人のシスに向き直る。彼の背後で見事に花を咲かせているのは、遺伝子改造によって品種改良された植物だった。コルサントの富裕層の夜会で身に付ける装飾品として作られたもので、白い花弁が角度を変えると虹色に見える。
「作戦も順調ですわ、殿下」
ユマが申し出ると、ヴィシャムは小さく頷く。
「把握している」
「シス騎士団は帝国復興のため、皇太子殿下のために力を尽くします」
ダース・シャハーが膝を折って頭を下げると、ヴィシャムは歩み寄ってきた。
「シャハー卿」
「はい、殿下」
「余に外の話を聞かせてくれないか」
「仰せのままに」
ダース・シャハーが立ち上がると、ユマが進言する。
「では、お茶でも淹れますね!」
皇太子と暗黒卿が中庭を離れると、少女の如きシスが続いた。帝国の象徴であり、次代の皇帝であるヴィシャムはその身を丁重に守られているため、公務以外では離宮の外に出られない。そのため、シス騎士団はヴィシャムの忠実な部下であると同時に、外界との唯一の接点である。
故に、お茶会も重要な仕事だ。
好きな登場人物は?
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セーヤ・ミットー
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テンノー(NO-10)
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カミーノ・スターリバー
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ヒル・スワンプ
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ホープ・ハイライト
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ナザ・シーサイ
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ケイ・ホーク
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マチルダ・グランベリー
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エア・キャビー
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サウス・ギ・ハーラ
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ソウ・テッセン
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ダース・シャハー
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オード・キュー
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クレイン・ミーネ
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ショーナ・ディノ
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ユマ・ハイライト
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ヴィシャム
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フマガ
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サク・ラギーチョ
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その他