トワイレックの奴隷少女、ジェダイになる   作:あるてみす@二次創作

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31.学園都市船団

 ホープ・ハイライトから情報を得た。

 コーズクリスタルの密輸ルートを洗い出した結果、いくつかの惑星に運ばれていったが、惑星オッパーから最も近いのは学園都市船団ズ・スィーだと判明した。

「学園都市って何?」

 ハイパースペースに突入したボブ・キャット号の船内にて、セーヤがテンノーに問うと、テンノーは幌・ネットを検索してズ・スィーの情報にアクセスした。

「外宇宙を探索するために建造された移民船団を改修し、十万人規模の生徒を抱える学園として銀河を巡っているようです」

「学園って何? 普通の学校とは違うの?」

 セーヤが首を傾げると、テンノーは答えた。

「複数の学校を運営する学校法人の総称です。ズ・スィーの場合は初等科、中等科、高等科、そして各部門の大学があり、そして学科ごとの……」

「学校かぁ……」

 セーヤが零すと、テンノーはセーヤを覗き込んできた。

「そういえば、チェーンコードにもセーヤの学歴は記載されておりませんでしたね」

「帝国アカデミーであれば奴隷でも入学出来るかも、とか奴隷仲間が言っていたけど、その帝国アカデミーもすっかりなくなっちゃったしね。それに、ジェダイになろうっていうのに、今更学校に通っても……」

 そうは言いつつも、セーヤはそわそわしていた。本当は気になって仕方ないし、学園都市がどんな場所なのか興味がある。コーズクリスタルの件を調べるだけなんだから、と思いつつも、セーヤは学園生活を思い浮かべずにはいられなかった。

「では、ズ・スィーに潜入するための準備を行いますね。まずは身分証の偽造、学歴の詐称、チェーンコードの偽装など、やることはいくらでもありますから」

 テンノーが潜入に必要なものを並べたので、セーヤは浮かれた気持ちが萎んだ。

「やっぱりそうなるのか」

「偽名の希望がおありでしたら対応しますが」

「いいよ、別に。適当にやって」

 セーヤはテンノーに背を向け、個室に入った。ハイパースペースを抜ける前にちょっと休もう、とベッドに横になったが、ズ・スィーの学園生活がどんなものなのか気になってきた。

 そのせいで眠気なんて吹っ飛んでしまい、ホロ・ネットでズ・スィーに関する情報を探った。素敵なデザインの制服、立派な教室、カフェテリア、クラブ活動、その他諸々。ホロ・ネットで目にするドラマのようで、セーヤは憧れを募らせそうになったが、そのために行くんじゃないんだからと自戒した。

 本来の目的を忘れてはいけない。

 

 

 偽装工作は成功した。

 セーヤの書類審査は無事に終わり、ズ・スィーからは入学許可書のホロが届いた。それから、セーヤは入学許可書と同時に送られてきた課題に挑んだが、今まで学んできたことよりも難しかったので、テンノーの力を半分、いや、七割程度は借りてなんとか合格点に到達した。

 その後、事前面接を経て、学生都市船団への搭乗を許可された。生活のサポートのためにドロイドを一体連れてきてもいい、と校則にあるため、セーヤはテンノーを伴って学園都市船団の母船に向かった。

 ボブ・キャット号を着艦させ、ドックに留めた。セーヤはボブ・キャット号から降り、他の宇宙船に目をやったが、見るからに高級そうなクルーザーばかりだった。生徒の私物なのだろう。

「お待ちしておりました。あなたが転入生のミッカ・キョウですね」

 セーヤとテンノーを出迎えてくれたのは、スレンダーで女性的な声を発するプロトコル・ドロイドだった。ミッカ・キョウというのはセーヤの偽名である。

「私はC47、生徒の案内を仰せつかっております。入学手続きがお済みになりましたら、お荷物を学生寮の個室まで運び入れ、制服のフィッティングをいたしましょう」

「荷運びであればお任せ下さい、私はNO-10と申します」

 テンノーが一礼すると、C47は促す。

「では、よろしくお願いいたします。ミッカさんの部屋番号と船内見取り図をどうぞ」

「これはこれは丁寧に」

 テンノーはC47からデータを受け取ると、セーヤの荷物が入ったコンテナを押していった。テンノーと離れるのはちょっと心細かったが、セーヤは学園生活への期待が上回ってきたので、C47に続いた。

 入学手続きを済ませ、学費も振り込んだ。ちなみに、それはナザ・シーサイがセーヤに今まで支払っていなかった給料である。その後、フィッティングルームに移動してドロイドにサイズを計測してもらい、制服と運動着などが一通り支給された。

「うわあ、制服!」

 鏡の前で、セーヤはくるりと回ってスカートを翻した。爽やかなブルーを基調としたワンピースで、裾の長さや胴回りなどは種族の特性に応じて変えられる。セーヤはスカートの下にスパッツとブーツを履き、動きやすさを重視したスタイルにしたが、希望に応じてスラックスなどのパンツにも出来る。

「お気に召しましたか?」

 C47が更衣室のカーテンを開けたので、セーヤは真新しいブーツを履いた。

「こういうの、一度着てみたかったの」

「それは何よりです。ですが、それは」

 C47がセーヤの腰を指すと、セーヤはベルトから提げたライトセーバーに触れた。

「ああ……大事なお守りなの。だけど、これを見せびらかすのはよくないから、出来れば隠しておきたいんだけど」

「でしたら、ベストを追加するのはいかがでしょうか」

 C47が白いベストを差し出してきたので、セーヤはワンピースの上に羽織った。こちらも裾が長いので、ライトセーバーがすっぽりと覆われた。これなら問題ない。

「ありがとう、気が利くね」

 セーヤが素直に礼を述べると、C47は穏やかに述べた。

「それが私の仕事ですから」

 それから、セーヤは学生寮に案内された。母船の内部の半分以上は学生寮で占められており、成績優秀者などはゆったりとした広さの部屋を与えられているが、一般の学生はベッドと机とクローゼットしかない手狭な個室だった。

 一番狭い個室でもシャワーとトイレも完備されているし、ベッドも寝心地がいいし、空調も程良い。なので、セーヤからすれば何の不満もないのだが、生徒の間では部屋の大きさや階層もヒエラルキーの一部と化しているようだった。そのため、セーヤがテンノーの手を借りて荷解きをしていると、セーヤの部屋を覗いては生徒達が囁き合っていた。

「かなり無理して入学したんじゃない?」

「すぐに退学するわよ、身の丈に合わない場所だって思い知るから」

「そんなこと言っちゃ可哀想よ、せっかく頑張って学費を用意してきたんだから」

 三人はいずれもヒューマンの女子生徒で、くすくす笑いながら遠ざかっていった。

「何あれ」

 セーヤがきょとんとすると、テンノーはキャリーケースを閉じた。

「学生はまだまだ子供ですからね」

「そんなことをいちいち気にするなんて、平和に生きてきたんだなぁ」

 セーヤが率直な感想を零すと、テンノーは肩を竦めた。

「それもまたズ・スィーの売りですからね。特定の星系や惑星に留まらずに移動し続けることで、戦争や内乱を逃れられたのです。ですが、それには弊害もあります。富裕層の生まれである生徒達は、やがて官僚や上級士官となるでしょうが、銀河の実情を肌で知らずに上に立つと価値観の相違が生じます」

「アウターリムに放り込んでやればいいのに」

「タトゥイーンなんか最適ですね」

 セーヤの物騒な軽口に、テンノーは同じ温度で返した。セーヤはタトゥイーンでの出来事を思い出し、カミーノとケイのことが脳裏を過ぎった。同盟軍で日々飛び続けているカミーノはともかく、賞金稼ぎのマンダロリアンであるケイはどこでどうしているのやら。同じく賞金稼ぎである元パダワンのマチルダと、フォースセンシティブを持つサクも。

 皆、元気にしているだろうか。

 

 

 編入先のクラスを訪れた。

 セーヤの学力に合わせて割り当てられたのは中等科の普通科で、ズ・スィーのクラスの中では突出した部分はない。成績次第では、別の専門科や特進クラスに進む場合もあるそうだが、セーヤはそこまで長居しないだろう。コーズクリスタルの調査を終え次第、ズ・スィーを離れるのだから。

 セーヤが教師ドロイドに促されて教室に入ると、整然と机が並んでいたが、全員が着席しているわけではなかった。三分の一は代わりのドロイドが着席していて、彼らは授業の光景を撮影していた。それでいいのか、とセーヤは戸惑ったが顔には出さなかった。

「皆さん、紹介します。こちらは転入生のミッカ・キョウです」

 教師ドロイドに紹介されたので、セーヤは堂々と偽名を名乗った。

「ミッカ・キョウといいます。これからよろしくお願いします」

 生徒達は歓迎してくれるかと思いきや、曖昧な反応が返ってきただけだった。ここは盛り上がるポイントじゃないのか、ドラマや映画だとそんな感じなんだけどなぁ、とセーヤは拍子抜けしながらも自分の席に向かった。

「よろしくね」

 セーヤが隣の席の女子生徒に声を掛けると、トグルータの女子生徒は目を上げた。

「あなた、どこから来たの?」

「コルサントだけど、一応は」

 セーヤが答えると、トグルータの女子生徒はちょっと興味を示した。

「コルサントね。銀河の中で最も栄えた星がどんな感じなのか、気になっているのよね。私はキヌガ・スー。ミッカ、後で話を聞かせてくれる?」

 キヌガに控えめな笑みを向けられ、セーヤは満面の笑みを返した。

「もちろん!」

 この子と友達になれたらいいな、とセーヤは淡い期待を抱きながら、授業を受けた。宇宙船に関する工学で、セーヤがなんとか終わらせた課題よりも遥かに難解で、何の数値が何を表しているのかもさっぱりだった。それに対し、キヌガは淡々と授業を受け、計算式の説明を求められても淀みなく答えた。

 学園生活は前途多難だ。

 

好きな登場人物は?

  • セーヤ・ミットー
  • テンノー(NO-10)
  • カミーノ・スターリバー
  • ヒル・スワンプ
  • ホープ・ハイライト
  • ナザ・シーサイ
  • ケイ・ホーク
  • マチルダ・グランベリー
  • エア・キャビー
  • サウス・ギ・ハーラ
  • ソウ・テッセン
  • ダース・シャハー
  • オード・キュー
  • クレイン・ミーネ
  • ショーナ・ディノ
  • ユマ・ハイライト
  • ヴィシャム
  • フマガ
  • サク・ラギーチョ
  • その他
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