トワイレックの奴隷少女、ジェダイになる   作:あるてみす@二次創作

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34.潜入調査

 テンノーは調査を進めた。

 コーズクリスタルが搬入されていないだろうか、されたとしたらどこへ、発注者は誰なのか、何に使用するためなのか、と手当たり次第にドロイド達から聞き出した。ズ・スィーの中で忙しく働いている彼らは、変化には敏感であり情報は正確だった。

 その結果、コーズクリスタルはズ・スィーの研究船に運び込まれたが、その先の区画には一般のドロイドは立ち入れない上にアクセスも遮断されていた。もちろん監視カメラや監視ドロイドから映像を拝借することも出来ないし、学園内の誰が出入りしているのかも隠されていた。

「とりあえず行くだけ行ってみようよ」

 セーヤが提案すると、テンノーは同意した。

「そうですね。どれほどセキュリティが厳重であろうと、隙はありますから」

 授業を終え、放課後のキヌガとの勉強も済ませた後、セーヤは一旦自室に戻った。学生寮の消灯時間を待ってから、こっそりと抜け出した。監視カメラや生徒の脱走を見張っているドロイドはテンノーに誤魔化してもらってから、船団の連絡用シャトルに乗り込んだ。

「んー……」

 研究船に向かう最中、セーヤはライトセーバーを掲げた。

「まだ迷っておられるようですね」

 テンノーに案じられ、セーヤはライトセーバーを両手で握る。

「戦った経験が少ないから、余計にそう思っちゃうのかも。ジェダイ同士で訓練したこともないわけだし。マスター・フマガに頼むべきだったかな、とか今更ながら思ったけど、最初に会った時も二度目に会った時もそんなことを言い出せる状況じゃなかったし」

「シスとの戦いで学んだこともありましょう」

「あるけど、あるんだけど……」

 セーヤはライトセーバーを見つめた。オード・キューとは二度も戦い、クレインとも刃を交えたが、未熟さを思い知らされただけだった。こんなことで、いずれ出会うであろうダース・シャハーに立ち向かえるのだろうか。不安は尽きないが、その不安から逃げずに向き合わなくてはならない。

 やはり、まだ答えの手掛かりすら見つけられていない。セーヤが悶々としていると、シャトルは研究船に到着した。シールドによってエアロックされたドックに入り、シャトルから降りた。

 一般の生徒も立ち入れる研究室や資料室のある区画を通り、進んでいくと、セーヤはヴィジョンが過ぎった。すかさずテンノーを手近な倉庫に押し込め、セーヤも身を潜めると、マウス・ドロイドが駆け抜けていった。

「セーヤ、どうしたんです?」

「今のマウス・ドロイドに接続出来る?」

 セーヤが命じると、テンノーは倉庫内の壁に設置されているスコンプ・リンクにシリンダーを接続させた。いくつかのネットワークを経由してマウス・ドロイドを遠隔操作すると、テンノーはマウス・ドロイドと視覚を共有してホロを投影した。

「このマウス・ドロイドをどちらに進めればいいのですか?」

 テンノーに問われ、セーヤは指した。

「例の区画に向かわせて」

「了解しました」

 テンノーはマウス・ドロイドを操り、走らせていった。通路を行き交う人々やドロイドの間を擦り抜け、角を曲がり、エレベーターに乗り込み、上昇していく。セーヤはヴィジョンで見た通りにマウス・ドロイドを五階で降ろさせると、ストーム・トルーパーの姿がホロに現れた。

「ヴィジョンの通りだった」

 セーヤが苦い顔をすると、テンノーはマウス・ドロイドを走らせながら言った。

「では、あの区画にいるのは帝国残党というわけですね。生徒の立ち入りが禁止されているのも道理ですね」

「もうちょっと調べてみようか」

 セーヤはホロを見つめていたが、かなり低い位置からの映像が途切れた。

「あれ、急にどうしたの?」

「通信が遮断されました。情報漏洩を防ぐためなのでしょう、区画の内部では妨害電波が出ているようです。一旦引き上げて出直しますか、それとも調査を続けますか」

 テンノーがホロを収めると、セーヤは間を置かずに答えた。

「行こう。マウス・ドロイドのことを感付かれるのは時間の問題だから、それまでに情報を拾えるだけ拾っておかないと」

 セーヤはライトセーバーの重みを確かめてから、倉庫から出た。テンノーもそれに続く。

「お供します」

「監視と警備が手薄なルートは?」

「算出済みです、案内いたします」

「さすがはテンノーだ」

 セーヤは彼の出来の良さに感心しながら、テンノーに案内されるがままに進んだ。いくつかの隔壁を下ろしてストーム・トルーパーやドロイドを遮り、鉢合わせないようにしながら進んでいった。

 この先には何があるのだろう。

 

 

 だが、しかし。

 その先を調べようにも、バトルドロイドが行く手を阻んでいた。カーブを帯びた頭部と胴体を持ち、両腕に強力なブラスターを備えている。それどころかシールド発生装置まで搭載しており、そのシールドは通路全体を塞ぐほどのものだった。

「ドロイデカですね」

 物陰に身を潜めてからテンノーが説明してくれたが、セーヤは眉を下げた。

「見るからに強そうな奴だ」

「実際、かなりのものですよ。あのシールドが作動すると厄介ですよ、ライトセーバーですら通さないんですから。それから、手足を引っ込めて移動形態になると機動力が跳ね上がるので、その前に仕留めるべきです」

「遠ければ撃たれるし、近付いても攻撃は通らないんでしょ?」

「弱点はないこともないです。出始めの頃ならともかく、今となってはドロイデカの弱点は周知されておりますから。球状のシールドは足元までは覆えませんし、防御しながら攻撃に徹している時は身動きが取れません」

「言うのは簡単だけどさぁ……」

 セーヤはライトセーバーを握り締めた。ここで暴れると目立ってしまうし、侵入したことを知られてしまう。しかし、ドロイデカを倒さなければ前に進めない。だが、今のセーヤの実力では倒せるかどうかは解らない。

「それなら……」

 セーヤはライトセーバーを離すと両手を翳し、フォースを集中させた。フォースであれば、ドロイデカも反応しないはずだ。

 呼吸を整え、フォースの流れを制し、ドロイデカ全体を感じ取る。二丁のブラスターの他にも手榴弾を内蔵しており、状況に応じてばらまくように設定されているのだろう。動力源のバッテリーとそれに繋がるモーター、ギアボックス、配線、基盤、と調べていき、バッテリーとモーターの間のケーブルを引っこ抜いた。

「これかな?」

 セーヤが期待を込めて様子を窺うと、ドロイデカは両腕をだらりと下ろし、動かなくなった。

「なるほど、配線を抜いたのですね」

 テンノーが納得すると、セーヤは身を低くして駆け出した。

「今のうちに先に進もう」

 機能停止したドロイデカの脇を通り抜け、通路の先に進んだ。ドアはロックされていたが、テンノーがロックを解除してくれたので難なく通れた。セーヤはライトセーバーを手にして例の区画に足を踏み入れると、ストーム・トルーパーが行き来していた。

「おっと」

 セーヤは一旦下がり、辺りを見回したが、人目を避けて進むには換気ダクトを通り抜けるぐらいしかなさそうだ。しかし、体の大きなテンノーにはそれは出来ない。

「テンノー、ここで待っていてくれる? あの中を通って調べてくるから」

 セーヤが換気ダクトを指すと、テンノーはセーヤにコムリンクを渡した。

「では、道案内します」

「よろしくね」

 セーヤはフォースを用いて換気ダクトの点検口を開けると、フォースジャンプで点検口まで飛び上がった。窮屈で埃っぽいが、ほかに方法は見当たらない。セーヤはライトセーバーを落とさないように気を付けながら、四つん這いになって進んだ。

 コーズクリスタルの気配がある。

 

 

 テンノーの案内は的確だった。

 それに加えてセーヤ自身のフォースもあったので、一度も迷うことはなく、コーズクリスタルが集められている研究室に辿り着けた。換気ダクトの中に身を潜めたセーヤは、フェンス越しに研究室の内部を観察した。

 複数のコーズクリスタルが並列されていて、ケーブルが繋がれており、電気が流されているようでコーズクリスタルは発光していた。セーヤがライトセーバーの光を流し込んだ時のように乱反射していないのは、その現象が起きる手前の状態を保てているからだろう。つまり、そこまで研究が進んでいるという証左でもある。

 となれば、もっと情報を集めなくては。セーヤは換気ダクトのフェンスを外し、研究員と助手ドロイドの目を盗み、身を投じた。音もなく着地して作業台の陰に隠れ、コードシリンダーを手近なスコンプ・リンクに接続しようとしたが、不意に背筋が逆立った。

 シスの気配だ。セーヤは目を見張ったが、コードシリンダーをスコンプ・リンクに差し込んだ。テンノーはその反応を察知し、遠隔操作によって主要なデータをコピーし始めたが、データ量が膨大なのか手間取っていた。

 セーヤは一刻も早くこの場を離れたかったが、テンノーの作業が終わっていない。焦りと不安に苛まれながらも、セーヤは冷静さを保つことに努めた。

「本格的な実験を始めましょう」

 聞き覚えのある声がした。

「コーズクリスタルの研究を運用出来る段階まで仕上げておかなくては、殿下ががっかりなさるわ。もちろん、我らがシャハー卿も」

 この声は。

「ズ・スィーには被験者候補がいくらでもいるのだから、データ集めには事欠かないわ。生徒を何人使い潰しても構わないから、確実な成果を上げてちょうだい」

 クリス・ハマーに他ならなかった。セーヤはデータを吸い上げている途中のコードシリンダーをスコンプ・リンクから強引に引っこ抜くと、換気ダクトに戻り、出来る限り急いで引き返した。

 なんとかしなくては。だが、どうやって。テンノーと合流し、研究船から脱出するも、セーヤの考えはまとまらなかった。クリス・ハマーがシスだとしたら、今のセーヤでは勝ち目は薄い。しかし、勝てなかったとしても戦わなくては。やるかやらないかではなく、やる。それがジェダイだ。

 大事な友達のためにも。

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  • セーヤ・ミットー
  • テンノー(NO-10)
  • カミーノ・スターリバー
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