ドラゴンクエスト―ダイの大冒険― 転生者の歩き方   作:amon

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何とか書き上げました。


第14話『必殺技?』

「初めて使ったが……凄い威力だな」

 

 ガルヴァス共をさっさと倒す為にと、普段はその威力故に禁じ手にしている特技の1つ『ビッグバン』を使ったが……さっきまでとは違う意味で、ベルナの森が酷い事になってしまった。

 

 超爆発でガルヴァス共が建てた『デモンズタワー』とやらは完全に消失、更に瘴気やその影響で変質した土壌や毒沼も吹き飛び、辺りは広大なクレーターになってしまった。勿論、ガルヴァスやその配下2人は跡形もない。

 

 昔、前世の日本でゲームをしながら、ヤンガスで『ビッグバン』を使った時にいつも思っていた。

 

『これって絶対、周りも全部吹っ飛ぶだろう』

 

 俺の思っていた事は正しかった。今回は広大なベルナの森が瘴気で腐り果ててしまったから、その浄化も兼ねて使ったが、今後も『ビッグバン』は禁じ手だな。こんな威力の技、頻繁に使ったら世界が滅ぶ……。

 

「と、いかんいかん!」

 

 こんなところでいつまでも唖然としている場合じゃなかった。早くパプニカに戻らなければ――時間的には全然余裕だが、一刻も早くレオナを目覚めさせ、ダイ少年やパプニカの皆を安心させてやらないとな。

 

「さてと……ん?」

 

 『ルーラ』でパプニカに帰ろうとした時、ふと視界の端に妙な光が見えて立ち止まる。光の方を向くと、削れた地面から球状の光が浮かび上がり、どこかへフワリと飛んでいくのが見えた。

 

「何だ……?」

 

 光の球を目で追っていく。途中で他から飛んできたらしい別の光の球が合流して、同じ方向を目指して飛んでいった。その数は全部で6つ……嫌な予感がする。

 

 俺は光の後を追った。6つの光はクレーターの傾斜が始まるぐらいのところで円を描くように等間隔に位置取って停止、それぞれが光の線で繋がって六芒星を浮かび上がらせた。

 

「……まさか?」

 

 と、俺が呟いた次の瞬間――

 

『フッフッフッ……フハハハハハッ!』

 

 響く様な笑い声と共に地面が弾け飛び、爆風で大小の岩をまき散らしながら人影が浮き上がった。ガルヴァスだ。

 

「チッ、しぶとい野郎だ」

 

 伊達にそこそこ強い部下を従え、魔王軍の司令官になるとか大口を叩いていた訳じゃないって事か。

 

「ハァーハハハハハッ!!忠実なる我が六大将軍達よ!お前達の尊い命を貰い、私は『豪魔六芒星』をここに完成させた!!今、私は影から光への軍師へと進化したのだ!!」

 

「ゴチャゴチャうるせえよ。さっさとくたばりなッ!!」

 

 手にした竜神王の剣を振りかぶり、俺はガルヴァスに斬りかかる。

 

「フッ」

 

「何っ!?」

 

 俺の剣が当たる寸前、ガルヴァスが余裕の笑みを浮かべ、直後に高速でその場から消える様に避けた。

 

「はあッ!!」

 

「おっと!」

 

 背後からの拳の一撃を、空へ飛び上がって回避する。俺を捉えられなかったガルヴァスの拳が地面へと突き刺さり、そこを中心に直径5m程を轟音と共に陥没させた。

 

「……随分な怪力じゃないか。それが『豪魔六芒星』とやらの力か?」

 

「ハハハハハッ!如何にも!我が配下の六大将軍達に埋め込んでおいた『豪魔のオーブ』を取り込み、更に邪悪の六芒星の魔力で増幅させ、私自身にプラスしたのだ!!超竜将軍ベグロムのスピード!魔影将軍ダブルドーラの強靭さ!百獣将軍ザングレイのパワー!氷炎将軍ブレーガンのテクニック!妖魔将軍メネロの妖魔力!不死将軍デスカールの暗黒闘気!全てを手にした今の私は、正に完・全・無・欠ッ!!私に敵う者はもういないのだあ!ハァーハハハハハハハハァァッ!!!」

 

 ガルヴァスは目を血走らせ、顎が外れそうな程大きく開いた口で狂った様に笑い、両腕を空に突き出し、背中を仰け反らせる。恐らくだが、パワーアップの反動で理性のタガが外れ、興奮が抑えられないんだろう。

 

 まあ、どうでもいいか。俺のやる事に変わりはない。

 

「コォォォ……!」

 

 静かに深く息を吸い込み、全身の力を高め、充実させていく。特技『気合溜め』――攻撃力を一時的に倍加させる特技だが、これは『力溜め』と違い、攻撃が必ず命中する効果がプラスされる。ゲームでは唯『そういう効果だから』で終わったが、実際に使うとちゃんと理由がある事が分かる。息を大きく吸い込む事で、精神を落ち着け、集中力が増す。敵の動きを冷静に、的確に捕える事で攻撃が当たるのだ。

 

 今の俺にはガルヴァスの動きが、筋肉の微妙な伸縮すら手に取る様に分かる。

 

「ハァーハハハハハハハハッ!フワァーハハハハハハアァァァーーー!!」

 

 笑うのに夢中で動く気配がない……ていうか、目が逝ってる。もしかしてアレ、段々と暴走し始めているんじゃないのか?力に溺れた者の末路ってところか……まあ、全く哀れむ気持ちは湧かないが。

 

 さて、力は十二分に溜まった。この一撃で終わらせよう――『トベルーラ』併用の高速移動で、未だ馬鹿笑いを続けるガルヴァスの懐に瞬時に入る。

 

 そして、溜まった力の全てを剣を持ち替えて空けた右の拳に集中し、一気に――

 

「『正拳突き』ッッ!!!」

 

 ガルヴァスの胴に叩き込む!!

 

「がああぁぁッッ!!??」

 

 俺の拳は、ガルヴァスの青い皮膚、強靭であろう筋肉、骨、内臓を突き破り、奴の胴を貫いた。

 

「ごぶッ!?」

 

 ガルヴァスが吐血し、俺の頬に魔族特有の蒼黒い血が付く。腕も流れる血で蒼く汚していく……鼻を突く鮮血の臭いと、腕に伝わる熱と肉の感触が果てしなく気色悪い。腕を引き抜くと、空いた風穴から蒼い血が勢い良く噴き出す。

 

「が、は……ッ!?お、ぉぉ、ぉ……!!?」

 

 目を限界まで剥き出し、震える両手で傷を押さえようとするガルヴァス。せめてもの情け、これ以上苦しまない様に止めを刺してやろう

 

「あばよ、ガルヴァス。『アルテマソード』!!」

 

「う、ぎゃああぁぁぁーーーー!!??」

 

 青白い裂光の一閃――ガルヴァスは俺の一撃によって頭から両断され、断末魔の叫びを残し、光の斬撃によって跡形もなく消し飛んだ。今度こそ終わった。

 

「やれやれ、余計な手間を掛けさせやがって……っといかん!急がないと!」

 

 一息吐いて落ち着いている場合じゃない。俺は『ルーラ』を唱え、皆が待つパプニカへ飛んだ――。

 

 

 

 

 

 

「むぅぅ……!」

 

 レオナが眠る一室にて、皆が見守る中、マトリフ老人が黒水晶をレオナに翳し、詳しくは分からないが魂を肉体に戻す作業を行っている。俺が『ルーラ』でパプニカに帰り着いた時は、皆1人残らず驚きの顔をしていたが、流石にレオナの事があったのですぐに正気に戻った。

 

 時間は十分に残っている。すぐにレオナも目を覚ますだろう。

 

「……ふぅ~、終わったぜ」

 

 マトリフ老人が額の汗を拭いながら言った。

 

「……ぅ、う~ん……」

 

「っ!レオナっ!?」

 

 レオナの口から声が漏れ、ダイ少年が真っ先に側に寄る。そして、程なくレオナが目を覚ました。

 

「ふわぁぁ~あ……あ~良く寝たぁ~」

 

『『『だあッ!??』』』

 

 緊張感皆無のレオナの寝起きの一言に、その場にいた全員がズッコケた。

 

「ん?何してるの、みんな?」

 

「れ、レオナ……相変わらずだね」

 

「あら?ダイ君っ!久しぶり~!いつの間に来てたの!?」

 

 全くこの王女は、皆の気も知らないで何と呑気な……でも、悲愴な空気も一気に吹き飛んだのだから、まあ良いんじゃないだろうか。

 

 

 

 その後、念の為にレオナが一晩の静養を取り、明けて翌日、レオナの全快祝いとダイ少年達の歓迎を兼ねて細やかな宴が催された。その宴席の料理はレオナの要望で俺が作る事になり、久しぶりに料理の腕を揮った。常連客だったレオナを始めとしたパプニカの皆、ダイ少年達からも好評を貰い、本当に久しぶりに本職に復帰できて俺も楽しい1日を過ごせた。

 

 

 

 だが、どんなにめでたい事があったとしても、いつまでも楽しんでばかりはいられない。今は、魔王軍との戦いの最中なのだから――。

 

 

 

「――さあ、どっからでもかかって来い」

 

 パプニカ王宮の兵士訓練場にて、俺は向かい合い剣を構えるダイ少年に言い放った。これから彼と試合を行う。今後、共に戦う事になる今代の勇者であるダイ少年の戦闘力を見せてもらう為だ。訓練所の端にはポップとマァムも控えている。2人の力も後で見せてもらう。

 

「お願いしますッ!」

 

 良い気合いだ。真剣な眼差しで、俺の動きに注目している……かなりの集中力、流石と言うべきか。少なくとも俺が知る普通の12歳の少年の集中力じゃない。

 

「ッ!たああぁぁッッ!!」

 

 意を決した風に目をギラリと光らせ、気合の雄叫びと共に斬り掛かって来るダイ少年。なるほど、思い切りが良い。動きも速く鋭い。あっと言う間に間合いに踏み込んだ。

 

「アバン流刀殺法『大地斬』ッ!!」

 

「よっ」

 

 飛び上り、大きく振りかぶって真上から振り下ろされる剣を、俺は自分の剣の腹で受け止める。腕に伝わる衝撃が、ダイ少年の斬撃の重さを教えてくれる。中々のパワーだ、ヒュンケルには少々劣るがそこらの並の戦士より遥かに強い。

 

「だ、ダイの『大地斬』を軽々受け止めやがった!?」

 

 脇に立つポップから驚きの声が上がった。ダイ少年の強さへの信頼が窺える。

 

「だったら!」

 

 自ら弾かれた様に飛び退き、次の瞬間には消える様な高速のフットワークを始めるダイ少年。今度はスピードで勝負するつもりらしい。なるほど、中々のスピードだが……やはりこれもヒュンケルに劣る。俺にはほぼ止まって見えるレベルだ。

 

「アバン流刀殺法『海波斬』!!」

 

 背後からの高速の斬撃――だが残念、見えている。

 

「あッ!?」

 

 ダイ少年の驚きの声、それは俺が斬撃を避けたからだ。恐らく彼の目には、俺が消えた様に見えたのだろう。そして、俺はそんなダイ少年の無防備な背後にいる。

 

「ほいっと」

 

「うわっ!?」

 

 軽く背中を押してやると、ダイ少年がつんのめる。

 

「どうした?それでお終いか?」

 

「くっ、まだだ!」

 

 少し目付きを険しくすると、ダイ少年が剣を逆手に持ち替え、後ろに身体ごと捻る様な構えを取った。次いで、ダイ少年の剣に闘気が迸る。

 

「『アバンストラッシュ』ッ!!」

 

「おっ?」

 

 気合と共に振り抜かれた剣から、闘気の斬撃が俺に向かって一直線に飛んでくる。なるほど、俺の『ギガスラッシュ』や『アルテマソード』に近い技だな。

 

「ふん!」

 

 その威力を知る為、俺は敢えてダイ少年の『アバンストラッシュ』とやらを剣で受け止めた。念の為、刀身にも手を添えて受けたが……何だろう?受けた瞬間の衝撃はそこそこだったのに、何というか、その後が軽かった気がする。

 

「あ、ああっ……!」

 

「そんな……!?ダイの『アバンストラッシュ』が、全然効かないなんて……!!」

 

 俺がダイ少年の技の違和感に首を捻っていると、ダイ少年とポップの驚愕の声が聞こえてきた。そんなに驚くところを見ると、この技がダイ少年の“必殺技”という事で間違いなさそうだ。

 

 だが、これでは……。

 

「……なあ、ダイ君」

 

「は、はい、何ですか?エイトさん」

 

「君……本当に魔王軍六軍団長の1人を討ち取ったのか?」

 

 

 

 

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