Fate/magi sister's 冬木の天秤   作:高島智明

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Episode.12 反逆の騎士

「令呪をもって命ずる。セイバー、円卓の騎士を召還せよ」

第4次聖杯戦争も最終決戦が近い。

その決戦の場と成るであろう地点への出陣を目前にして「魔術師殺し」ことアインツベルンの傭兵、衛宮切嗣はサーヴァント・セイバーに2度目となる絶対命令を下した。

 

「キリツグ。何を」

戸惑うセイバーだったが、命じたマスターは勝利の為の戦術を冷徹に選択していた。

「王の問答の際にライダーが見せた。お前も軍を率いた王ならば、同じ切り札が使える筈だ」

令呪に因る命令は絶対だ。要する魔力も聖杯が供給してくれる。

”それ”は起こった。

 

魔力と霊力が光の粒子と成って集まり、次々とブリテンの騎士たちが姿を現して、セイバーいや彼らのアーサー王ことアルトリア・ペンドラゴン の前に膝をつく。

「サー・ケイ、サー・ガウェイン、サー・ベディヴィア……サー・パーシヴァル。

サー・モードレッドまでも。

皆、本当に来てくれたのか」

 

だがしかし、騎士たちの中に異形が居た。

「トレイター!何故、貴方が此処に居る。それに貴方は私に敗れたのでは無かったか」

その漆黒の甲冑に素顔を隠した異形の騎士を取り巻く円卓の騎士の中で、何時も遠慮無く言葉を発するアルトリアの義兄が指摘した。

「貴様、ランスロットか」

セイバーいや円卓の王は、声を絞り上げた。

「サー・ランスロット…貴方が私に敵対したのか」

 

漆黒の騎士は、躊躇うかの様な数瞬間の沈黙の末に声を発した。

「私は、王に叛きました。

そして、王に罰せられて聖杯にくべられました。

ですが、王が聖杯に呼びかけました」

「サー・ランスロット…」

絶句するセイバー。だがしかし、彼女のマスターは冷徹だった。

 

「丁度好い。

トレイターのスキルはあのアーチャーと相性が好い。

これで厄介な敵への勝算が1つ増える」

「キリツグ!!」

セイバーはマスターに対して声を荒げた。

そして、トレイターいやランスロットは尚も立ちつくしていた。

 

「私は、王に罰して貰いたかったのです」

その漆黒の騎士に異変が起こった。

漆黒の甲冑がまるでゲームキャラクターのポリゴンが解ける様に崩れ始めた。

そして、現界から消失…しなかった。

只、漆黒の甲冑のみが消えて、居並ぶ円卓の騎士と同じブリテンの紋章の甲冑を纏っていた。

 

「私は…又、円卓の騎士として認められたのか?又、アーサー王の騎士として戦えるのか?」

 

そのランスロットにセイバーいやアーサー王が語り掛けた。

「貴方が裏切ったのでは無い。私が王として至らなかったのだ」

それから居並ぶ騎士たちを見回す。

「この至らぬ王の騎士として、未だ忠誠をくれるのか?」

 

アルトリアの義兄が、率先して片膝をつき、首(こうべ)を垂れた。

「王よ。我ら円卓の騎士、今更迷いませぬ」

他の騎士たちも、次々に其れに倣う。

「私は…私は、未だに王なのか」

セイバーは感慨を込めて、首を垂れる騎士たちを見返した。

 

だがしかし、彼女のマスターは冷徹だった。

「出陣だ、セイバー。騎士たちに命令しろ。自分に従い戦えと」

今の自分は聖杯戦争に召喚されたサーヴァントだ。

それを思い返す思いのセイバーだった。

 

セイバーは、ゆっくりと騎士たちを見渡した。

「……皆、顔を上げてくれ。

今はブリテンの戦では無い。

だがしかし、今は王として命じる。

共に戦って欲しい」

 

「サー・ランスロット」

セイバーは彼の名を呼んだ。

「貴方が共に戦ってくれるなら、私は……この戦いを恐れない」

ランスロットは深く頷いた。

 

「キリツグ」

セイバーは振り返った。

「私は王として命令する。けれども、それは貴方の望む戦い方とは違うかも知れない」

衛宮切嗣は無言で頷いた。

 

「出陣する!」

「「「応!」」」

アーサー王の檄に円卓の騎士たちが応じる。

 

第4次聖杯戦争その最後の決戦が始まろうとしていた。

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