Fate/magi sister's 冬木の天秤 作:高島智明
落成披露を待つ新都の冬木市民会館。
だがしかし、今は工事関係者すら何かの魔術にかかったかの様に立ち去っていて、無人だった。
その1室に安置された、如何にも神秘そうな杯。
それを前にアーチャーこと英雄王ギルガメッシュと言峰綺礼が最終決戦の敵陣営を待ち構えていた。
*
決戦場へと急ぐセイバーと衛宮切嗣。
流石に軍勢を従えていては目立ったかも知れなかったが、何故か霊体化出来ないセイバー以外の円卓の騎士たちは霊体化していた。
深山町の拠点から冬木大橋を渡って新都の市民会館へと向かう。
その道中、サーヴァントとマスターの間で交わす会話は無かった………。
……。
…決戦場である冬木市民会館の入口。
佇む言峰綺礼にセイバーが詰問する。
「アイリスフィールは何処です」
ふっと、愉悦の笑みを浮かべる。
「あのホムンクルスならば、聖杯を取り出すと同時に崩れ去った」
絶句するセイバーに対し、夫だった筈の「魔術師殺し」は冷徹を保った。
「あいつは僕が殺る。セイバーはアーチャーを抑えていろ」
銃を構え、綺礼に迫ろうとする「魔術師殺し」
綺礼は市民会館に駆け込み、切嗣が追った。
セイバーも市民会館の中に駆け込み、アーチャーを探した。
さほど探すまでも無く、黄金色の甲冑の英雄王が騎士王の前に立ち塞がった。
「待っていたぞ。我が財宝の1つに成りに来たか」
「英雄王。貴方との決着をつける」
「王よ。我らを」
騎士たちが彼らの王を促し、セイバーが応じると霊体化を解いた。
「ふ…雑種どもが群れて来るか」
英雄王は征服王の軍勢に対した様に「王の財宝」に蓄えた全ての宝具の原型と成った武器を降らそうとする。
だがしかし、円卓の騎士の中には此の戦い方とは相性最悪な騎士が居たのだ。
*
市民会館の中の別の場所では、師を裏切った弟子と「魔術師殺し」が対決していた。
自らが裏切った師のアゾット剣を構え、師から教わったガンドの魔術を放って来る。
だがしかし、狙ったターゲットが加速した。
衛宮家伝来の「固有時制御・2重加速」だった。
*
英雄王ギルガメッシュが投げ付けた武器が、逆に投げ返されて来る。
英霊ランスロットのスキルは「騎士は徒手にて死せず」
手にした武器を支配し、自らの宝具としての属性を与えて自在に駆使する。
無数の武器を保有し、それを雨あられと投げ付ける数の暴力を強みとする英雄王にとって、武器を投げつければ投げ付けるほど自らの武器に変えて投げ返して来るランスロットは実の処、英雄王の得意技には相性最悪だった。
もしも、サーヴァント・トレイターだった時に対峙していれば、存外にアーチャーは手古摺らされていたかも知れない。
しかも、今のランスロットは孤独では無かった。
周囲に展開する円卓の騎士たちが、ランスロットの投げ返せ切れない武器を迎撃する。
如何に無限に保有していても、1度に投げ付けられる数には、どうやら限りが在った様だった。
「おのれ…おのれ、雑種めが。我に逆らうか」
ならば、投げ返せない、ランスロットのスキルでも手に余る武器を、と選んでみてもそれはセイバーたちが叩き落す。
そんな秘宝には、流石に限りが在った。
流石の英雄王も、自らの慢心を認めざるを得ないと見えた。
*
言峰綺礼と衛宮切嗣の戦いも続いていた。
止めを刺し切れない。
加速を続ける切嗣の方も、身体への反動を体内に埋め込んだ聖剣の鞘の回復力に頼って耐えている状態だった。
そんなことは、綺礼には分からない。
そして、今1つ知らないことが在った。
「魔術師殺し」は必殺の起源弾を撃ち込む隙を待っていた。
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