Fate/magi sister's 冬木の天秤   作:高島智明

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本作の設定では、衛宮士郎は父親を「爺さん」とは呼びません。
第4次聖杯戦争で聖杯の泥を危うく浴びず、したがって寿命を縮めても早死にもしていない、という設定です。

本作での遠坂桜は間桐へと預けられていませんので、髪や瞳の色は姉の凛と同じままです。
『原作』でも在りました「高跳びを目撃するイベント」は起きている設定ですので、士郎に片思いしていますが、その片思い相手に隠していることの内容が異なり、性格への影響も異なっています。


stay night
Episode.16 10年後


あの冬木市の災害、実は第4次聖杯戦争に因るものとは多くの市民が知らない、から10年が過ぎた2月の、とある朝。

冬木市深山町の、衛宮家の武家屋敷。

 

その朝も、衛宮士郎は何時もの様に目覚めた。

何時もの朝の様に、何時の間にか「自己流」に成っていた修練の後で台所へと向かう。

生活力皆無の父親に何時の間にか代わって作るように成った朝食の準備を始めた処で、玄関のインターホンが鳴った。

 

「先輩、おはようございます」

「おはよう、桜」

穂群原高校の1年後輩の遠坂桜が、何時もの様に朝食をともにしに現れた。

何時もの様に台所を手伝う。

 

「おはよう!」

隣家の孫娘であり穂群原学園の担任教師である藤村大河が、何時もの様に朝食の準備が出来た頃を見計らった様に押しかけて来た。

 

士郎、桜、大河そして士郎の父親で此の屋敷の1応の主である衛宮切嗣という、何時もの面々が朝食の席に並んだ。

和気藹々とした朝食の時間が、何時もの様に流れる。

それを「かつての魔術師殺し」は、言葉少なに見守っていた。

 

やがて後片付けをしながら、士郎は時計を見る。

「そろそろかな」

 

「衛宮君、おはよう」

桜の姉であり穂群原高校の同学年でもある遠坂凛が、妹を連れて登校するべく迎えに来た。

「相変わらず朝が弱い様だな。眠そうだ」

「衛宮君も何時も通りね…藤村先生、おはようございます」

(こんな時まで猫を被らなくても好いだろう)

そんなことを士郎が思うのも、何時も通りの朝だった。

 

だがしかし、既に何時も通りでは無くなっていた。

遠坂姉妹は数日前の未明に、とある儀式を済ませていた………。

 

……。

 

…姉妹が並んで登校して行き、大河も学園へと出勤して行くのを追う様に、士郎も学園へと屋敷を後にする。

 

学園への坂道を登っていた士郎は、ふと片手に違和感を感じた。

見ると手の甲に、何かの図章の様なものが浮かび上がっていた。

「何だよ、これ。タトゥーなんか入れた覚えは無いんだがな」

 

その時、クラスメイトの柳洞一成が朝の挨拶をかけて来た。

「おはよう」

「おはよう」

その時は、覚えの無いタトゥー(?)のことなどは忘れていた。

 

校内に入る。

友人の1人である間桐慎二に絡まれ、氷室鐘、蒔寺楓、三枝由紀香の3人娘とも挨拶を交わす。

やはり、何時もの朝だと思い込んでいた………。

 

……。

 

…放課後。

弓道部部長である美綴綾子の復帰の誘いを何時もの様に振り切り、生徒会長の一成から依頼された生徒会室のストーブを修理した。

 

1人密かに、とある技術を修理に使う。

投影魔術。

「僕は魔法使いなんだ」

と言う割には、父親が好い加減な魔術しか教えてくれない為、殆(ほとん)ど自己流で身に着けた殆ど1つだけ行使可能な魔術。

その魔術を密かに使って、壊れたストーブを復活させた………。

 

……。

 

…その後、弓道部の副部長である慎二に押し付けられた部室の掃除を済ませて下校しようとすると、すっかり夜に成っていた。

 

夜道を急ぐ士郎は、知らず知らずのうちに運命に近付いていた。

そう「運命の夜」が始まろうとしていた。

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