Fate/magi sister's 冬木の天秤   作:高島智明

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本作での第5次ライダーは、姉妹で2騎を召喚するという「ルール・ブレイク」こそしていますが、正規のマスターである桜が正規に契約している為に魔力供給は正常です。
したがって、吸血騒動を起こしたり、学園に結界を巡らせて魔力を吸い取ったり、とかはしていません。
その為、開戦の場が学園では無く成りました。


Episode.18 第5次聖杯戦争の開戦

夜道を帰宅する為に急いでいた筈の衛宮士郎は、何かの修正力が働いたかの様に遭遇してしまった。

第5次聖杯戦争、その戦いの始まりに。

遠坂凛と桜の姉妹は、自分たち以外のマスターやサーヴァントの情報が少ないことを憂い、それを求めて夜の冬樹の街を逍遥していた。

そして遭遇した。あの日、教会で見かけた男装の麗人だった。

 

だがしかし、今夜の彼女は、槍を片手にした丈夫を引き連れていた。

「ランサーのサーヴァント…」

直ちに凛はアーチャーに、桜はライダーに霊体化を解かせた。

これに対してランサーは槍を構え、男装の麗人はファイティングポーズを取った………。

 

……。

 

…互角に戦っている。

得意の槍を繰り出すランサーと弓兵でありながら双剣で接近戦を戦うアーチャーは、相譲らぬ戦いを繰り広げていた。

そればかりでは無い。

何と、バゼット・フラガ・マクレミッツは鎖付きの剣を操るライダーに対して1歩も引かないで、宝具らしき剣を振るい戦っていた。

 

「何て人。魔術師でありながら自分でサーヴァントと戦えるなんて。

こう成ったら、私たちが魔術で援護するわよ、桜」

魔術礼装に仕立てた服の中に用意して来た宝石を取り出そうとする凛。

桜も虚数魔術のイメージを思い浮べる。

その時ー

 

「遠坂?!桜も?!何やっているんだ」

素っ頓狂な声が上がった。

 

その声をランサーが聞き付けてしまった。

「バゼット。確か、聖杯戦争ってのは秘匿するもんだったよな」

明確な殺意が膨れ上がる。

「いけない!衛宮君、逃げなさい!」

凛はガンドを乱射した。

桜も姉に続く。何時に無い叫び声を上げて虚数魔術を発動させた。

「先輩!逃げて下さい!」

ハッとした衛宮士郎は、脱兎の如く走り出した。

 

その背後では、遠坂姉妹と2騎のサーヴァントに4者掛かりで妨害されたランサーとバゼットが、逃げ去ろうとする目撃者を、ひと度は見失っていた。………。

 

……。

 

…這う這うの体で、自宅屋敷の門内に走り込んだ士郎。

その只事とも思えない様子に父親が不振を抱いた。

「どうしたんだ?士郎」

「親父、遠坂姉妹と変な奴が…」

息子が話すにつれて、衛宮切嗣は次第に態度を改めて、そして何かを用意した。

その時、屋敷の結界が警報を鳴らした。

 

「小僧、さっきの奴らが邪魔する間に結構逃げてくれたな。

おかげで、マスターと手分けして探さないといけなかったぜ」

「ランサーのサーヴァント…」

「親父、あいつが誰が分かるのか」

 

「悪いが、息子が変な処を見たことを恨みな」

そう言いながら槍を構えるランサーに対して、切嗣は何時の間にか取り出した銃を放った。

「そんなもの…意外と効くじゃ無いか」

 

切嗣が撃ち込んだのは起源弾。魔力を破壊する「魔術師殺し」の弾丸。

魔力の塊であるサーヴァントにも、ある程度は有効だった様だ。

矢避けの加護を持つランサーではあった。

狙撃手を視界に収めている限り、どのような投擲武装であろうと肉眼で捉え対処出来る。

だがしかし「魔術師殺し」が撃ち込んだのは起源弾。

肉体に命中させなくとも、魔力に触れただけで作用する。

そう、魔力を帯びた槍で弾丸を払っただけでも。

 

そのランサーの様子を冷徹に観察する切嗣。「魔術師殺し」の冷徹さが取り戻されていた。

(やはり或る程度は有効か。だがしかし、牽制以上の効果も期待出来ない)

それでも起源弾の次弾を構えて、ランサーを牽制しながら次の手を探る。

 

そして、息子の手の甲に現れている、先程の話の間に気付いたものを確認する。

明らかに令呪だ。

(何故、士郎に令呪が。だがしかし、もしかしたらこの窮地を切り抜けられるかも知れない)

「士郎。サーヴァントにはサーヴァントでしか対抗出来ない。

これから僕の教える呪文を復唱するんだ」

「え?サーヴァ…」

「疑問は後だ。始めるぞー素に銀と鉄ー」

「そ、素に銀と鉄ー」

「おい、まさか其の呪文は」

初めてランサーが狼狽えた。

 

「ー閉じよ、満たせ。閉じよ、満たせ。閉じよ、満たせ。閉じよ、満たせ。閉じよ、満たせー」

「ー閉じよ、満たせ。閉じよ、満たせ。閉じよ、満たせ。閉じよ、満たせ。閉じよ、満たせー」

 

「ー抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ」

「ー抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!」

屋敷の土蔵の中では、10年前に描かれていた魔法陣が光り輝き…

 

土蔵の扉が開け放たれて、青いドレスの上から甲冑で武装した美少女が姿を現した。

「サーヴァント・セイバー、召喚に応じました。

問おう、貴方が私のマスターか…貴方はキリツグ?!

それに此処は、あの屋敷?!」

「セイバー、話が在るかも知れないが、そこに今回のランサーが居る」

 

「紛れも無くランサーのサーヴァントか。

そして其処の少年と此の身のラインが通じている。ここに契約は成立した。

ランサー!サーヴァント・セイバー参る」

セイバーは不可視の剣を構え、ランサーに相対した。

 

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