Fate/magi sister's 冬木の天秤 作:高島智明
アサシンこと呪腕のハサンVSセイバーの激突した夜、遠坂姉妹も再戦していた。
開戦の夜に遭遇したランサー陣営とである。
「よお、嬢ちゃんたち。又会ったな」
不敵な槍兵は不敵に笑った。
マスターの男装の麗人もファイティングポーズを取る。
同時に姉妹も其々のサーヴァントに霊体化を解かせた………。
……。
…激突し続ける槍兵と2騎。
ランサーがアーチャーに槍を向けようとすればライダーが、ライダーに向き直ればアーチャーが其の隙をつく。
アーチャーとライダー自身は此の第5次聖杯戦争だけの即席共闘でも、お互いのマスターは姉妹当主として支え合って成長して来ていた。
そのマスターたちからの見事に連携しての指示で、アーチャーとライダーは先ずは連携してランサーに立ち向かうことが出来た。
そして遠坂姉妹にとっても、ひと度戦った相手であり其の経験が在った。
格闘戦に優れたマスターのバゼット・フラガ・マクレミッツが援護に入ろうとすれば、姉妹の魔術が飛んで邪魔をする。
「あの時、あんな目撃者なんか放って置いて止めを刺して居れば…」
100戦錬磨と言って言い筈のバゼットも、次第に焦りを覚え始めた。
「これならどうだ」
遂にランサーの穂先がライダーの首筋を掠(かす)め、血潮を噴き出させた。
だがしかし、それはライダーの誘いだったかも知れない。
ライダーの首の血潮から天馬が飛び出し、騎兵の本領が発揮され出した………。
……。
…尚も、2騎相手に退かず槍を振るい続けたランサーだったが、遂にライダーの天馬の体当たりを受けて大きく体勢を崩した。
その瞬間に間合いを取ったアーチャーの双剣が弓矢に変化して、
「壊れた幻想!」
矢避けの加護を持つランサーではあった。
狙撃手を視界に収めている限り、どのような投擲武装であろうと肉眼で捉え対処出来る。
だがしかし、大きく体勢を崩した此の瞬間だけ、アーチャーを見失っていた。
そして、狙い撃たれた矢が爆発した。
この1撃は、かろうじて耐えたランサーだったが、遂に槍と膝を大地についた。
「ランサー!」
バゼットにも、マスターとサーヴァントを繋いで来たラインが切れる感触が伝わった。
「バゼット、アンタは好い女だったぜ」
そう笑って「アルスターの光の御子」は前のめりに倒れた………。
……。
…ファイティングポーズを解いた、先程までのランサーのマスターに対して、遠坂姉妹は向き直った。
「どうするの?止めを刺すのかしら」
バゼットから逆に呼び掛けられて、桜は姉を見上げ凛も首を振った。
「教会へ行きなさい」
バゼットは、苦い笑いを残して踵(きびす)を返した。
*
「又1つ」
イリヤスフィール・フォン・アインツベルンの聖杯に、又1体の英霊がくべられた。
*
「今夜はもう帰りましょう」
姉の提案に妹も頷いた。
第5次聖杯戦争は、未だ2騎が脱落したばかり。
戦いは終わってはいなかった。