Fate/magi sister's 冬木の天秤 作:高島智明
聖杯戦争の監督役が司祭を務める教会では、サーヴァントを失った間桐慎二とバゼット・フラガ・マクレミッツが保護されていた。
「何でさ」
とでも、慎二の友人の1人なら言いたかったかも知れない。
神父が教会の人ながらも成した結婚で生まれた1人娘が、幼気な修道女姿の外見に似合わない毒舌で慎二とバゼットを振り回していた。
そんな漫才を見守るまでも無く、父親の神父は密談していた。
相手は、何時か遠坂姉妹に目撃された少年と同じ様な金髪をした、だがしかし、あの少年のもしも未来の姿ならば、
「何でこう成った」
とでも言われそうな、慢心していそうな黄金色の甲冑の人物だった。
「そろそろ動き出しても好い頃だ、英雄王」
「ふっ…愉悦を味わいに行くか、似非聖職者」
*
柳洞寺。下宿人と突然に表れたフィアンセに宛がわれた1室で。
「魔女」は独白していた。
「セイバーが、あんなに可愛い女の子だったなんて。
私の「ルール・ブレイカー」で私の御人形にしてあげる」
だがしかし、その時、魔術師のサーヴァントが築いた陣地に近寄る敵の存在が警告された。
*
「この山の大聖杯もアインツベルンが作ったものよ。いっけー、バーサーカー」
灰色の巨人が、参道も狭しとばかりに山門に迫る。
「不本意で無くも無いが、この門の番人として召喚された身ならば、是非に及ばず。
アサシンのサーヴァント・佐々木小次郎、参る」
剣豪は、背中の長刀を抜き放った。
*
その有様は「魔術師殺し」が先に置き土産にして来た、尤(もっと)もキャスターの陣地に成っている境内には近寄れない為に寺の周囲にばら蒔いて来た使い魔を通じて、衛宮切嗣にも通じられた。
「魔術師殺し」の態度に成った、とは知らない。
だがしかし、父親が見慣れない態度に成ったことに気付いた衛宮士郎は何かが起こったことを知った。
「親父、何かあったのか」
「イリヤが…柳洞寺を襲撃している」
「そんな…一成や零観さんが危ない!」
*
「秘剣!燕返し」
長刀が舞う。
瞬間だけ灰色の巨人が倒れ伏し、直ぐに又立ち上がった。
「きゃははっ。バーサーカーを1回でも殺せるなんて、大した秘剣ね。
だけど、後11回殺せるかしら。やっちゃえ!バーサーカー」
*
士郎は柳洞寺へ向かって夜道を駆けていた。セイバーが続く。
*
遂に山門を破壊した灰色の巨人が境内に踏み込んだ。
魔術師のサーヴァントが張り巡らした陣地が発動する。
「面倒ね。だけど、バーサーカーを12回殺せるかしら」
*
円蔵山の麓の坂道を駆け登り、山門へと続く参道に差し掛かろうとして、士郎は思わず息を飲んだ。
既に山門が破壊されている。
「イリヤ、何てことを。一成や零観さんはどう成ったんだ」
セイバーが警告する。
「シロウ、油断なさらないで下さい。バーサーカーは危険です」
その警告が届いたかどうか、士郎は参道を駆け登ろうとした。
*
「ふふっ。お兄ちゃんまで来たの。面白い」
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