Fate/magi sister's 冬木の天秤   作:高島智明

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Episode.33 Unlimited Blade Works

衛宮士郎をアインツベルンの城から救出した夜の明けた日、流石に学園を休んでいた遠坂姉妹の邸宅を、何と其の士郎が訪問していた。

 

「どうしたのよ、衛宮君。てっきり寝込んででもいるかとでも思っていたわ」

遠坂凛は、驚くよりも呆れた。

「先輩、大丈夫なんですか?」

妹の桜に至っては、片思い相手を心配した。

 

「遠坂、話が在る。と言うより、アーチャーに用が在るんだ」

「何だ、未熟者」

朱い外套の弓兵が霊体化を解いた。

 

士郎は、真っ直ぐにアーチャーを見据えた。

「教えてくれ」

「は?何を」

「あのUnlimited Blade Worksと言っていた魔術だ。

お前が俺ならば、俺にも、あの魔術は使える筈だ」

「何でさ」

その口癖は変わっていなかった。

 

「いや、何を読迷いごとを。

あれは「正義の味方」なぞを追い求めた、その成れの果ての代償に得たものだ。

今の未熟な御前が、どうして求める」

「今の俺では、セイバーの足手纏いだ。聖杯戦争を止めてみせるなんて言っても何の力も無い」

「少しは、己を弁(わきま)えている様だな」

「だけど、今のままじゃいけないんだ。

もう、セイバーや親父や遠坂たちに助けられるだけの俺でいて好い筈が無い。

誰かを助けられる力が欲しいんだ」

 

アーチャーは皮肉めいた、けれども其れまでとは異なる態度に成った。

「ふっ…やはり御前と私は…まあ、好かろう」

「それじゃあ」

「ああ、庭に出ろ」

アーチャーは、何かに思い至った様だった………。

 

……。

 

…遠坂邸の庭先。

アーチャーと士郎が対している。

 

「始めるぞーー体は剣で出来ている」

「体は剣で出来ている」

アーチャーの詠唱に士郎が続く。

 

血潮は鉄で、心は硝子。

幾たびの戦場を越えて不敗。

只の1度も敗走は無く、只の1度も理解されない。

彼の者は常に独り、剣の丘で勝利に酔う。

故に、生涯に意味は無く。

その体は、きっとー

 

「ーUnlimited Blade Works」

「ーUnlimited Blade Works」

 

詠唱が完成し、アーチャーの周辺に固有結界が現れる。

だがしかし、士郎には1見して何も起こらない。

「やはりダメか。未熟者」

「い、いや。未だだ」

 

再び、士郎は詠唱を唱える。

先程とは少し異なった、だがしかし自らの心を現す呪文を唱える。

 

体は剣で出来ている。

血潮は鉄で、心は硝子。

幾度の戦場を越えて不敗。

只1度の敗走も無く、只1度の勝利も無し

担い手は此処に独り、剣の丘で鉄を鍛つ。

ならば、我が生涯に意味は不要。

この体はー

 

「ーUnlimited Blade Works!」

士郎の周辺にも固有結界が展開し、その虚空には歯車が浮かび、果てなき荒野に無数の剣が突き刺さっている。

 

「未熟者にしては出来たでは無いか」

アーチャーの皮肉が士郎に届いたか、どうか。士郎は誰に聞かせるとも無く、

「これで、セイバーと並んで戦える」

*

その頃、某所。

今回の聖杯戦争には召喚されていない筈のサーヴァントとマスターが対話していた。

 

「アインツベルンの森の周辺にばら蒔いていた使い魔を通して、中々面白い曲芸を見た」

「曲芸か」

「曲芸だが、案外と、かの英雄王とは相性が悪そうだ。戦い方を考える必要も在るかもな」




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