Fate/magi sister's 冬木の天秤 作:高島智明
「王の財宝!」
ギルガメッシュの後方の空間が揺らぎ、無数の宝具クラスの武器が現れて来る。
「どうした。あの時の様に、あの手癖の悪い騎士でも召喚するか」
「そうすれば、シュメールの軍勢でも召喚するのか。ならば、私と貴様で決着を着ける」
「セイバー、今だけ凌いでくれ」
衛宮士郎はセイバーへと檄を飛ばし、詠唱に入った。
「体は剣で出来ているー」
「その詠唱は?」
愉悦神父が初めて動揺した。
詠唱の間もセイバーは聖剣を振るい、降り掛かって来る武器を凌ぐ。
「ーUnlimited Blade Works!」
固有結界が展開し、その虚空には歯車が浮かび、果てなき荒野に無数の剣が突き刺さっている。
それらの剣が矢のように放たれ、ギルガメッシュが降り注がせる武器と相打ちに成った。
「何故あの雑種と同じ技が使える?」
慢心の英雄王が焦りを見せた。
その懐に、隙を見出したセイバーが聖剣を振るって迫る。
「雑種どもが逆らうか。ならば、これだ」
ギルガメッシュは無数の武器を降らす代わりに、只1つの剣を抜いた。
全ての神話の原型と成った武器の原型を所有する最も古き英雄王、その財宝の中でも、只1振りだけ後世の誰も所有しなかった「乖離剣エア」
それを抜き放って、セイバーの聖剣と斬り合った。
その斬り合いを見守るまでも無く、マスターとマスターも対峙した。
「黒鍵」と呼ばれる投擲剣を抜き放って迫る言峰綺礼に対して、士郎はアーチャーに倣った無限の剣を放って立ち向かう。
「何故だ、貴様とあのアーチャーに何の繋がりが在る」
愉悦の余裕も無くした神父に対して士郎は、
「言い当ててみろ!」
斬り合うセイバーとギルガメッシュ。
乖離剣の神秘の威力は、何度かセイバーを攻撃しているが、ギルガメッシュには未知の防御力が防いでいた。
「何故だ、何故、我が乖離剣が通じない」
「ギルガメッシュ!今の私には、シロウが返還してくれた此の鞘が在る。
この鞘が、シロウが無限の防御で私を守ってくれる」
「言うな!ならば…」
英雄王から慢心が零れた。
「ならば、乖離剣の真の力を解放してやる。天地乖離す…」
「約束された勝利の剣ー!」
瞬間だけ先手を取ったか、セイバーの聖剣から解放された光り輝きが、ギルガメッシュを包み込んだ。
「うぐっ!」
士郎の結界から放たれた何本かの剣が、綺礼の両手両足を貫き、抵抗を奪った。
「どうした?何故急所を狙わぬ」
「あんたにはカレンが居る。悲しむ人が居る者を殺したく無い」
「ここまで「正義の味方」気取りか」
黄金色の甲冑も砕け散り、遂に原初の英雄王もよろめいた。
「我の…慢心を認めざるを得ないか…騎士王…遂に我が財宝と成らぬか」
この10年間、現界し続けて来たギルガメッシュも、遂に聖杯へとくべられた。
士郎には今1つ、綺礼に問い質さなければ為らないことが在った。
「イリヤは何処だ?」
「あの聖杯の娘なら、大聖杯の洞窟だ」
そこへ見守っていた士郎の父親と遠坂姉妹が近寄って来た。
「士郎、未だ決着が着いて居ない。聖杯が未だ残っている」
かつて第4次聖杯戦争の聖杯を破壊した「魔術師殺し」は、今度こそ聖杯戦争の決着を着けるべく、第5次聖杯戦争の勝者と成った筈のマスターとサーヴァントに決意を促した。