Fate/magi sister's 冬木の天秤 作:高島智明
「姉さん、起きて下さい」
「う…おはよう、桜」
「もう、お母様が朝食を用意して下さって居ますよ」
遠坂姉妹の何時もの様な朝が明けた。
「桜は衛宮君の朝ご飯は好いの」
凛はひと言だけ、妹の片思いを思いやった。
「先輩はセイバーさんを選びました。でも、私は先輩を好きに成ったことを後悔しません」
姉は又1つだけ、妹が成長したことを知った。
*
バゼット・フラガ・マクレミッツは時計塔に戻り「ロード・エルメロイⅡ世」に復命していた。
「そうか。大聖杯が破壊され、聖杯戦争は決着した、と」
「Ⅱ世」は2度と会えなく成っただろう、かつての相棒に思いを巡らせた。
復命を終えたバゼットは、自分の本来の使命を何時まで休むかを、思い悩んでいた。
彼女の胎内では、新たな生命が息づき始めていた。
*
間桐家は、魔術師の家系としては絶えた。
それを表向きの冬木の名家として立て直す、案外と自分に適性が在るかも知れない、そんな将来に向かって間桐慎二は再出発しようとしていた。
*
言峰綺礼神父は正式に聖杯戦争の監督役の任務を解かれ、静養生活に入った。
冬木教会は、若いながらもカレン・オルテンシアが預かる形に成った。
*
大規模なガス事故に巻き込まれた、と表向きには成った柳洞寺も住職代理の柳洞零観の元で再建が始まった。
弟の柳洞一成も穂群原高校の生徒会長に復帰した。
だがしかし、下宿していて巻き込まれたらしい教師とフィアンセは行方不明のままだった。
*
衛宮士郎は弓道部に復帰していた。
間もなく3年生に成る。
進路に備えて部活を引退するまでは数ヶ月しか無いが、部長以下、歓迎された。
その進路に対して、当人の想いは変化していた。
「正義の味方」を目指す。それが今までとは異なる形を現し出していた。
生者にとって、未来が始まっていた………。
……。
…その年の2月に冬木市で発生した1連の事件も過ぎ去り、新年度の季節が来た。
穂群原学園も新学期を迎えていた。
その初等部の教室で、
「転校生を紹介します」
担任が伴ってきた少女を見て、児童たちから、
「外人じゃんか」
とか言った声が上がった。
銀髪紅眼の少女は自己紹介する。
「イリヤスフィール・フォン・アインツベルンです。
お母様の名前を名乗っているけど、父親は日本人で、高等部の衛宮士郎はお兄ちゃんです」
指定された席に着席すると、隣の席の少女が話しかけて来た。
「ええと、イリヤス…」
「イリヤって呼んで好いよ」
「宜しく、イリヤ。私は美遊って呼んでね」
あの閉ざされた城で孤独だった少女にも、初めての友人が生まれ様としていた。
*
中等部の教室で、
「アルトリア・ペンドラゴンです。
ブリ…あ、いいえイギリスから来ました。
色々と知らないことが在るでしょうが、宜しくお願いします」
*
高等部では、3年生に進級した衛宮士郎たちが、彼らの日常を過ごしていた。
尤(もっと)も士郎は、噂が伝わって来た転校生の妹の件でクラスメイトから追及されていた………。
……。
…下校時。
「お兄ちゃーん!」
「シロウ」
士郎は、イリヤとアルトリアと待ち合わせて校門を出た。
やはり、他の生徒たちの好奇心を引いた様だった。
その士郎たちに、ひと言挨拶して下校して行った姉妹。
遠坂凛が妹の桜の手を引いて下校して行った。
今の士郎たちは知っている。
魔術師の家系を姉妹当主として受け継ぐ「天秤の姉妹」
その姉妹の歩んで行く背中を、見送っていた。
「Fate/magi sister's 冬木の天秤」(『Fate/シリーズ』2次創作)完結
ここまで読み続けて頂いた皆様方には、改めて厚くお礼を申し上げます。 作者:高島智明