Fate/magi sister's 冬木の天秤 作:高島智明
「pixiv百科事典」にて「言峰一家」の項目の冒頭にあるイラストから連想しました。
『高跳びの思い出』
このイベントは『原作』通りに起きたこととしています。
とある中華店にて:
冬木市のとある日。市内の中華飯店「紅洲宴歳館・泰山」に1組の客が居た。
父親らしい神父姿の成人男性と、娘らしい修道女姿の幼気な少女。
その父娘は、この店の名物(?)とされる激辛麻婆豆腐を美味そうに食していた。
正直、1部のマニアックな常連客以外には、
「とても常人が食える代物では無い」
等と言われる代物である。
それを此の父娘は、如何にも好物そうに食していた。
実は此の少女カレン・オルテンシアの味覚は大きく損なわれていて、激辛か激甘に近いものを好む様に成っていた。
そんな娘を父親の言峰綺礼は彼なりに慈しんでいて、自らの好物を勧めていた。
父娘は黙々として食していたとは限らなかった。
あと2人の人物に、この場に同席して欲しい、と言った話題が在った。
綺礼の妻であり、カレンの母であったクラウディア・オルテンシア。
綺礼の父であり、カレンの祖父に当たる言峰璃正。
だがしかし、璃正は先年に天寿を全うし、クラウディアは夭折した。
璃正の今際の際の助言に従って、綺礼がカレンの父と名乗り出るまでに、この4人が人並の幸福な同席をする機会は無かった。
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高跳びの思い出:
遠坂桜は、穂群原学園高等部に進学した。
入学式を終えて、年子の姉であり同じ学園の1年先輩である遠坂凛にくっ付く様にして、学園を案内されていた。
その桜が、とある場所で足を止めた。弓道部の道場の前だった。
「どうしたの、桜」
「姉さん、高跳びの話をしたことを覚えていますか」
「覚えているわよ。可愛い妹の初恋の話」
凛も思い出した………。
……。
…それは、姉妹が中学生だった頃のこと。
とある日、何時も姉と共に下校する桜が、その日は1人校庭で用件の在った姉を待っていた。
その桜の目に止まった校庭の片隅の光景。
1人の男子が、高跳びのバーに挑んでいた。
だがしかし、陸上競技には素人の桜にも無理そうに見えた。
それでも、何度も何度も諦めずに挑んで行く。
その姿が、何故か目を離せなかった。
結局桜は、用件を終えた凛が妹を迎えに来るまで、高跳びを挑み続ける誰とも知らない男子を見詰めていた………。
……。
…間違い無く、あの日の男子が道場の中で弓を引いていた。
「姉さんは、あの先輩を知りませんか?」
凛も道場の中を見やり、その男子が同学年の衛宮士郎だと認めた。
「衛宮先輩…」
桜は、姉にだけ頬を染めた顔を見せた………。
……。
…弓道部に入部した桜は熱心に励んでいたが、ある日、衛宮士郎が道場から姿を消した。
部員たちの噂では、副部長の間桐慎二に追い出されたという。
そのくせ当の間桐は、友人の1人として衛宮に絡んでいた。
何故か心騒いだ桜は、遂に決意して衛宮の自宅を訪問した………。
……。
…何時しか桜は、衛宮士郎の作る朝食を楽しみに通う様に成っていた。
そんな片思いする妹を、姉の凛は姉らしい温かさで見守っていた。
そう「運命の夜」が姉妹と衛宮士郎に訪れるまで。