直死の魔眼保持者・鬼方カヨコ 作:カヨコ大好き
最近は、テレビを見るのがマイブームだ。
適当にチャンネルを開いて、適当なチャンネルを見る。
大体の番組というのは毒にも薬にもならない情報が画面いっぱいにゴチャゴチャと刻まれており、取り敢えず退屈はしない。
基本、どんな内容なのかは覚えていることは殆ど無い。
ただ、その日の光景はほんの少しだけ面白かった。
片方のチャンネルのアニメは、妹を殺人鬼に殺された少女がその殺人鬼を追って仲間と旅をする話だ。
その中で、少女に復讐を止めるように言うキャラクターが居て、少女はソイツを蔑んだ瞳で見ていた。
もう一個のチャンネルは何かの刑事ドラマで、眼鏡をかけた中年の刑事が復讐の為に殺人を起こした主婦を熱烈に批判していた。
同じ瞬間にやってる違う番組で、全く違うことを言ってる。
成程、正義なんて信用ならない言葉だ。
*
ガラガラと軽妙な音を立てて、引き違い戸を開く。
柴関ラーメン。
木の看板に書かれた豪快な文字を私は思い出す。
「あ……。」
開けた途端に、湯気で眼鏡が曇ってしまう。
眼鏡を掛け始めてから一年も経っていない以上、仕方がないのかもしれないが、どうにも慣れない。
好きな場所に行っているだけなのに、急にびっくりさせられてはたまった物では無い。
「あー!いらっしゃい。珍しいわね。アンタが来るなんて」
「おお!便利屋の嬢ちゃんか」
店員の少女と店長の獣人から声をかけられる。
そこまでこの店の常連というわけでは無いが、アビドスの際にアビドス対策委員会の一人でもある店員の少女と共闘したので、微妙に面識のあるなんとも面倒な関係になっている。
取り敢えず会釈だけをして、木で作られた柔らかい雰囲気の店内を見渡して見れば、ピンク髪の少女がカウンターでラーメンを啜っていた。
少し前にした約束のこともあるので声をかけてみることにする。
「ん?ああ。便利屋ちゃん。どったの〜?」
「前にそっちがこの場所で話そうなんて言ってきたんでしょ?こっちも良い迷惑だよ」
「うへ〜?そうだっけぇ?」
すっとぼけた態度の小鳥遊ホシノを無視して、私は彼女の隣に座った。
「注文は?」
「
「わかった……って、いつの間にかホシノ先輩とも仲良くなったのね。貴女……なんか意外」
ホシノの隣に座って、ホシノを指差しながら注文をしたら、店員の少女は驚いた表情をした後。そのまま店長に注文を伝えた。
お冷を口に含んでいると、ホシノが口を開いた。
「先生から聞いたんだけど、あの子は病院に入院だってね。
なんか、先生が気にしていたお薬は身体の中から消えてたけど、念には念を……って先生が言ってたんだけどさぁ、便利屋ちゃん」
「────なに?」
私が面倒くさげに聞き返すと、ピンク親父は相変わらずののらりくらりとした態度で私に質問の続きを尋ねる。
「いやぁ〜さ。おじさん、お薬についてはよく分からないけど、直ぐに無くなるわけじゃないことは分かるよ。
もしかしてだけどさ、それって便利屋ちゃんが何かしたんじゃないのかなあって」
既に彼女の目前に運ばれていた巨大なラーメンを啜りながら、彼女は尋ねた。
はふはふ。と熱さから逃れるように開いたり、閉じたりする口からは湯気が顔を覗かせている。
どんだけ食ってるんだ、コイツ。
仕方が無いので答えてやる。
「ヤクって、どのような効果があっても最終的には小腸で吸収されて肝臓に行くんだ。
まあ、そこを肝臓を避けて殺してやれば無くせはするんじゃない?質問の是非まで答えてやるつもりはないけどね」
「ふーん……」
私の答えに、ホシノはそれだけを返した。
「結構優しいんだね。なんか意外。」
ああ……少し前にしたことを根に持たれているな。まあ、校舎を半壊させたんだから仕方が無いかもしれないが。
「これでもね。やらなければならないことはやるけどね、必要以上に外道行為をするつもりも無いよ。
目的の為に、やらなければいけないというのならやるけど」
私は真っ直ぐと、ホシノの顔面を見据えて答えた。
ホシノは、スープを数口だけ啜った後、再び声を発する。
「聞いたよ。委員長ちゃんから。
皆んな行方不明なんだってね」
知られたか。まあ、調べれば分かることだし、隠してる訳でもないから責めるつもりもない。
「うん。二年前からずっとね。
本当だったら、皆んな死んでるって、普通の人なら思うかもしれない。
でも、私は普通じゃないからね。
絶対生きてるって信じてる……」
「そっか。まあ、おじさん……私は別に詳しいことまで分かんないから、とやかく言うつもりはないけどさ。」
そう言って、今度は彼女が真っ直ぐと私を見据えて言葉を発した。
「もし、また会えたのなら、ちゃんと言いたいことは伝えておきなよ。
伝えたいこと伝えられなくてそのままなんて……良いことなんて何も無いからね」
「言われなくても」
そんなこと、言われなくたって分かりきっている。
「はいこれ!デラックスラーメン一丁!」
……随分とデカいのが出てきたな。
こんなもん、このちっこいのが食べてたのか?
まあ、いいか。
「いただきます……」
手を合わせて、私はラーメンを食べ出した。
味は、やはり美味い。
/境界式
「“あ!そうですか。容態の方は安定してると、はい!ありがとうございます”」
書類仕事の傍ら、病院に電話を続けていた先生は、電話を切りながらゆっくりと座る。
「“痛てて……最近座ってるだけでも、ちょっと腰が……”」
ゆっくりと独り言を繰り返しながらも、仕事は確実に進んでいく。
そんな最中、唐突に彼の携帯端末に通知が入る。
「“……ん?”」
From. トリニティ総合学園、生徒会『ティーパーティー』
To. 連邦捜査部S.C.H.A.L.E 顧問。『先生』
本題 募集授業部の顧問依頼について。
とりあえず、この後に過去編を二話くらいやって箸休め会を入れたら、最終章(エデン条約編)に入って行こうと思います。結構短めです。
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