筋肉三銃士が行く~筋肉は全て(の問題の7割くらい?)を解決する~ 作:nocomimi
夜の闇の中駆け寄ってきたその化け物は、巨大な驢馬だった。
そしてその四つの頭部は、それぞれがこれまた巨大な驢馬、犬、猫、鶏だった。さらに背中には大きな翼が生えている。
「―――キメラだ!」
ルークが叫ぶ。それと同時に、怪物は四つある頭部の口を大きく開くと、威嚇するように吠え声を上げた。
「ヒー゛ン゛ッ゛!/バウ゛ワ゛ウ゛ッ゛!/フギャ゛ー゛ッ゛!/コケ゛コッ゛コー゛ッ゛!」
四種類の動物の声が交じり合った凄まじい騒音。
この大学跡地どころか、ブルーメン市の町全てに響き渡るような大音量だ。
目の前にいたマルコは頭が痺れるような感覚を感じ、一瞬首をすくめた。
「クソッ....夜だってのにうっせぇんだよ!この化け物が!」
それでも気を取り直すと、青年は罵声を吐き、相手に走り寄りながら大剣を大きく振りかぶった。
「ぬ゛り゛ゃ゛あ゛あ゛あ゛ッ゛!」
だが、次の瞬間信じられないことが起こった。
脚を狙ってマルコが武器を振り抜いたまさにその時、化け物がヒラリと跳躍したのだ。
大剣の刃が空を斬り、青年の身体が泳ぐ。身軽に着地した化け物はマルコに向き直った。途端に鶏の首が伸びてきた。
軍船の衝角のような巨大な嘴が目の前に迫る。
「クッ...!」
すんでのところで大剣を盾にする。激しい衝突音とともにマルコは後ろに吹き飛ばされた。
だが、次に巨漢ヨハネが進み出る。
「...夜騒ぐうるさい獣....倒す!」
巨漢はそう言うと、重い足音を立てながら突進した。
「ぬ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ッ゛!」
――――ブォ...ンッ!――――
大斧の刃が空気を斬り裂く。
しかし、マルコはまたも自分の目を疑った。
ヨハネの斬撃が空振りしたのだ。化け物は器用に前脚を上げ、何の苦もなく攻撃を回避すると、今度はその蹄で巨漢を蹴りつけた。
―――ドゥッ....!―――
ごく軽い動作に見えた。だがヨハネは数メートル吹き飛ばされ路面に転がった。
「ヨハネ!」
マルコは叫ぶと立ち上がり、再び大剣を振りかぶって敵に殺到した。ジャンプすると、縦に斬りつける。
――――シャッ...!――――
またも青年を驚きが襲った。巨大驢馬は素早い動作で後ろに跳び下がったのだ。大剣が僅かにその皮膚を薄く斬り裂いた。だがほんの軽傷だ。
「....倒す!」
その時、巨漢ヨハネがそう呟きながら立ち上がった。その顔は血まみれだが、灰色の両目には怒りの炎が浮かんでいた。
「迂闊に攻めるな!連携するんだ!」
背後からルークの叫び声が聞こえた。だが巨漢には聞こえていないようだった。ヨハネは唸りながら突進していく。だが巨漢が武器を振りかぶると同時に、今度は化け物のほうが攻勢に出た。
――――ガブッ....!――――
巨大猫の頭が素早く動き巨漢の肩に嚙みついた。ヨハネは怒りの呻きとともに、斧の柄で敵の顎を殴りつける。激しい衝撃音とともに、巨大猫の頭が引き下がる。
だが、今度は巨大犬の頭部と巨大鶏の頭部が交互に襲い掛かった。
――――ガキインッ...!ガキインッ...!――――
巨漢は反射的に大斧の刃を盾代わりにして防御した。だが矢継ぎ早に繰り出される攻撃に、反撃の糸口がつかめない。
「挟み撃ちだ!そこで引き付けてくれ!」
マルコは叫ぶと、化け物の背後に回ろうとダッシュした。
すると巨大驢馬はこちらの作戦に気づいたかのように、それに合わせて身体の方向を変え始めた。
切れ目のない攻撃から解放された巨漢ヨハネが態勢を立て直す。
「....倒す!」
巨漢はそう叫ぶと武器を振り上げ、こちらに背を向けた相手に殺到した。
だがその刹那だった。
巨大驢馬の後ろ脚が跳ね上げられる。その蹄が直撃し、巨漢は砲丸のように飛ばされて背後にあった建物の壁に激突した。レンガの破片が飛び散り、建物が崩れ始める。
「く...クソッ!」
腹の底からせり上がってくる焦りと恐怖と戦いながらも、マルコは大剣を振り回し相手に斬りつけた。だが、キメラはその刃筋を見極めるかのように、紙一重で飛び下がって回避していく。
――――――つ..強えぇ....。今までの相手とレベルが違い過ぎる!――――――
その時ルークの声が背後から近づいてきた。
「私が引き付ける!その間に攻撃してくれ!」
「ルークさん!でも....アビゲイルさんたちが...」
マルコが肩越しに叫ぶと、修道女も叫び返した。
「わたくしたちは大丈夫ですわ!早くあの怪物を!」
だが、その叫びが夜の空に吸い込まれるのと同時に、異変が起こった。
四方八方から、新たな足音が近づいてくる。
目を上げると、暗がりの向こうに人型のシルエットが多数浮かんでいるのが見えた。
骸骨どもだ。
* * * * * * * * * * * * * *
「く...クソッ!こんなに時に!」
マルコは罵りながらもキメラに向き直った。
だが、巨大驢馬の化け物は悠々とした動作で歩み寄ってきた。自分たちの圧倒的優位を自覚しているかのようだ。
キメラの四つの頭についた目。八つの目がマルコたちを見据えている。
「こ...こいつ...死角が無ぇって...ことなのか?」
それに気づいたマルコは慄然とした。
――――どうすればいい?どっから攻撃しても絶対に見られるんだとしたら――――
距離が縮む。敵の頭の一つが襲ってくる。青年は大剣を盾にして防御した。
衝突音と衝撃。マルコは必死で足を踏ん張って耐えた。
だが、敵は鶏の嘴、犬の牙、猫の牙を交互に繰り出してくる。斬りつけようにも三対一では隙が見当たらず、防戦一方だ。
「私が頭をひとつ潰す!」
その時ルークが武器を構えながら青年の横に並んだ。だが、振り向くと骸骨どもが背後のアビゲイルたちに接近しているのが見えた。
剣を片手にした修道女は倒れたヨハネを庇うように立ちながら、もう片方の手で少女ハンナを抱き寄せている。
「了解っす!」
―――一刻も早く倒す。
そう決意したマルコは汗の滲む手で大剣の柄を握り直した。
武器を下段に構えながら前に出る。襲ってきた瞬間にカウンターを返す心積もりをした。
巨大鶏の首が伸び、嘴が迫ってくる。
「ぬ゛り゛ゃ゛っ゛!」
だがマルコは大剣を頭上に掲げてそれを逸らし、次いで刃を横に振った。
化け物の前脚の付け根に浅い傷が走る。だが踏み込みが足りない。
その瞬間傍らのルークが武器を振り上げて跳躍した。
「ぬ゛ぅ゛ぅ゛ん゛ッ゛!」
――――ドゴォッ........!――――
衝突音とともに、メイスのヘッドが巨大鶏の頭部に炸裂した。骨の砕ける音。二つの目玉が飛び出た鶏の首がグラリと揺れる。
――――バグンッ........!――――
だが、その横にあった巨大驢馬の頭が修道士の腕に噛みついた。そのまま引きちぎらんばかりに頭を振り回す。
だがルークは片手持ちのメイスを相手の側頭部に叩きつけた。一瞬白目を剥いた巨大驢馬頭がだらしなく口を開いた。
地面にドサリと落下した修道士は呻きながらも立ち上がった。だがその足取りは心元ない。
その瞬間、背後から武器と武器が衝突する音が聞こえてきた。
肩越しに見ると、既にアビゲイルたちが骸骨どもに包囲されていた。
修道女は剣を回して最初の一体の刃を弾き、横切りでその首を刎ねていた。地面に落下した頭部を、球技のように蹴とばして胴体から引き離している。
だが彼女の背後からもう一体が迫る。その時少女ハンナが修道女の脇からミニチュア魔法の杖を突きだして雷を放った。頭部を撃たれた骸骨が動きを止め、奇妙な踊りを踊るように震えだした。振り返ったアビゲイルが縦斬りで拝み打ちにし、そいつの頭蓋骨を打ち砕いた。
「マルコ...!早く追撃を!」
修道士の声で青年は我に返った。致命傷ではないものの頭部に痛撃を喰らった巨大驢馬頭は、しきりに目をしばたたかせて首を振っている。それと呼応するかのように、化け物の身体は統制を失ったように足踏みを繰り返していた。
それを見たマルコの脳裏に、電撃のように気づきが走った。
―――――...そうか。驢馬の頭が身体全体を―――――
「ぬ゛り゛ゃ゛ぁ゛っ゛!」
マルコはここを先途と走り寄り、ジャンプすると大剣を振り下ろした。
―――――ドシュッ........!―――――
重い切断音とともに巨大驢馬頭が宙を舞い、ドシンと音を立てて地面に落ちた。黒い血が噴き出し、キメラはヨロヨロとした足取りで方向を変え逃げ始めた。
「逃がすかぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛っ゛!」
マルコはその後を追うと、敵の後ろ脚を薙ぎ払った。片方の後ろ足の筋を切断されたキメラの残りの頭部が悲鳴を上げる。続いてさらにもう片方。
両後ろ足を斬られた化け物はがっくりと地面に座り込んだ。青年はその横に走り寄ると大剣を逆手に持ち、大きく振りかぶった。
「とどめだぁ゛っ゛!」
大剣の先端が巨大驢馬の横腹に突き刺さる。刀身を思い切り押し込むと、巨大猫と巨大犬の頭が断末魔の吠え声を発し、キメラは全身を震わせ始めた。
* * * * * * * * * * * * *
ようようの時間が経った後、マルコは化け物の身体から大剣を引き抜いた。
振り返ると、ルーク修道士は地面にしゃがみ込んでいる。気絶したヨハネの傍らにいるアビゲイルと少女ハンナの周辺には、十体以上の骸骨の身体が転がっていた。それぞれが失った頭部を探すように地面を手探りしている。
荒い呼吸を鎮めながらもマルコは言った。
「みんな無事か?」
「...ああ。なんとかな」
ルークが答える。歩み寄ると、修道士は武器を地面に置いて自分の左腕に包帯を巻きつけているところだった。だが既に血だらけだ。
「アビゲイルさんは?大丈夫っすか?」
青年が声をかけると、修道女は剣を鞘に納めながら言う。
「まさに神の守りがありましたわ。骸骨さんたちは皆さん生前それほど剣の修行をなさらなかったみたいでしたの」
「それにうちもアシストしたからね!」
少女ハンナがピースサインをしながら付け加えた。
「...アビゲイル修道女。きみは...じつに勇敢だ。私の目が狂っていた。赦してくれ」
修道士は微笑んでそう言いながら立ち上がった。だがその顔は血色が悪い。
「余計なフォローは結構ですわ。さあ、治療して差し上げますわね」
そう言いながら修道女が近づいてくると、ルークは片手を上げて制止した。
「いや、まずヨハネを治療してくれ。私はまだ大丈夫だ」
するとアビゲイルは彼の負傷した腕を取って手早くその状態を調べた。そして顔を上げると、何かを言いかけた。だが修道士は念押しした。
「本当に大丈夫だ。自分で止血したところだよ。ヨハネの後でも十分間に合う」
傍から見ていたマルコからは、ふたりが目だけで何かを語り合っているように見えた。だがアビゲイルはすぐに微笑むとこう言った。
「わかりましたわ。もう少し堪えていてくださいね、ルーク修道士」
そう言うと彼女は踵を返し、建物の壁が半ば崩れてできた瓦礫に横たわったヨハネのところに走り寄っていった。
「―――――おじさん....痛い?」
入れ替わるようにハンナがやってきて遠慮がちに尋ねる。だが修道士は微笑んだ。
「大したことはない。歩くこともできるし、ヨハネに比べたら軽傷だよ」
「ふう...ん」
それを聞いた少女ハンナはしばらく黙っていた。
ようやく呼吸が落ち着き、汗が引いてきたのを感じたマルコは、それでも油断のない視線を周囲に配りながら言った。
「まだ骸骨野郎が残ってるかも知れないっすね。治療が終わるまで迂闊に―――――」
「ねえ、アビゲイルお姉ちゃんってルークおじさんのこと好きなんじゃないのかなぁ」
唐突に少女ハンナが言う。マルコとルークは面食らって口をポカンと開けた。
「な...何を言い出すんだ、ハンナ嬢!」
やっとのことで修道士が押し出すように言う。だがハンナは気にも留めない様子で続けた。
「だって、うち見ちゃったもん。アビゲイルお姉ちゃんのあの顔。絶対ルークおじさんを先に治したかったんだと思うよ」
彼女は腕を組むと、訳知り顔で顎に手を当てた。
「それなのにヨハネおじさんを優先しろなんてカッコよすぎるじゃん。あれ、嫌でも惚れ直しちゃうヤツだよ。うんうん」
それを聞いたルークは目を白黒させている。マルコは見かねて叫んだ。
「おいハンナいい加減にしろ!ルークさんいま怪我してんだぞ!」
「き...きみの推理は興味深い。だがハンナ嬢、そもそも修道の誓いをした私にはまったく関係のないことで....」
ルークもしどろもどろで言う。
「わかってるよ。わかってる。でも...うちだってルークおじさんに幸せになって欲しいの。だっておじさん........」
だがハンナは呟くようにこう続けた。
「おじさん、時々遠くを見るときすごく悲しそうな目してるんだもん。まるで『空の向こうのどこかに愛するひとがいて、でもそのひとにはもう二度と会えない』みたいな...」
「ハンナ、単なるお前の想像だろ。子供の遊びに大人を巻き込むな。だいいち今それどころじゃねぇだろ」
マルコはそう言って窘めた。だがハンナは譲らなかった。
「ううん。うちにはわかるもん。こうやって一緒に冒険してたら、おじさんが何を考えてるのかくらいは。だから、なんとかしてあげたいって...そう思っただけ」
修道士は絶句してしまった。だが少女もそれきり口を閉ざし、静けさを取り戻した構内にはヨハネに手を置いて祈祷を続けるアビゲイルの低い声だけが響いた。
しばらくすると、瓦礫の中でヨハネの巨体がむっくりと立ち上がるのが見えた。
「ヨハネ!大丈夫か!」
マルコは我に返って走り寄った。
「...痛い」
巨漢は歩きながらそう言って自分の胸をさする。アビゲイルはその肩に手をかけながら微笑んだ。
「驚くべき耐久力ですわ。あんな打撃を受けたのに腕と肋骨の骨折と脳震盪だけでしたの」
「まじっすか?お前も大概だな、ヨハネ」
「細かいところは後でもう一度治療いたしますわ。お待ちかねでしたわね、ルーク修道士」
アビゲイルは修道士に歩み寄った。するとハンナは青年と巨漢の袖を引っ張って囁いた。
「ね、ふたりだけにしとこ。きっとゆっくり話がしたいだろうから」
「あ?ま...まぁいいけどよ.......」
「ゆっくりとはなんだ」
「ゆっくりはゆっくりなの。とにかく行こ?」
マルコは戸惑いながらも答え、巨漢は根源的な質問をする。だが少女ハンナはふたりの腕をグイグイ引っ張っていく。
その瞬間、ルークがいきなり手を伸ばして青年の腕を掴んできた。
「....マルコ」
「な...なんっすかルークさん」
「そのまま聞いてくれ」
修道士は声を潜める。そして殆ど聞き取れないほどの声でこう囁いた。
「...誰かが近づいてくる。骸骨ではない」
「え....?誰か....って?人間っすか..?」
「ああ。間違いない。東の方角から殺気を感じる」
彼はゆっくりと合図してアビゲイルに手を離させると、何気ない動作で地面にかがみ込み、メイスを拾った。
「マルコ、ハンナ嬢を守ってくれ。おそらく相手は飛び道具を使ってくる」
ルークは再び囁いた。その目には今までに見たことのない光が宿っている。まるで精密な仕事をする機械職人のような、感情のない目だ。
「.......!」
そのただならぬ雰囲気を悟った青年は思わず周囲を見回そうとした。だがその前に修道士は強い目線を送ってきてそれを制止した。
「合図したら防御しろ。それまでは動かないほうがいい」
* * * * * * * * * * * * * *
数秒が経過した。だがマルコ青年にとっては数分もが経ったような気がした。生暖かい風が吹き抜け、街路樹の葉を揺らす。頭上の空にはいつの間にか雲がかかり、月が陰り始めている。
「――――今だ!」
修道士が叫んだ。
青年はハンナの前に立つと大剣をかざして姿勢を低くした。
――――ヒュンヒュンヒュンヒュン!――――
空気を斬り裂いて飛んできた何かが大剣の平に当たり鋭い音を立てる。
「ぬ゛ぅ゛ん゛ッ゛!」
同時にルークの気合いの声が響き、同じような衝突音が立て続けに響く。視野の隅で、アビゲイルを庇うように立った修道士が片手持ちのメイスの柄を中ほどで持ち、それを振り回しているのが見えた。
だが、次の瞬間巨漢ヨハネがゆっくりと地面に膝を突き、次いで地響きを立てながら突っ伏した。その顔には針のようなものが刺さっている。マルコは叫んだ。
「ヨハネ!」
「...さすがだな、アレクセイエフスキー」
その時夜道に誰かの声が響いた。マルコが前方に向き直ると、街路樹の後ろから次々と人影が現れる。今度は骸骨でも魔物でもない。
フード付きの黒いローブを被った人間たちだった。腰に剣を下げているほか、五十センチほどの長さの奇妙な細い筒を手に携えている。
「だが抵抗はそれで終わりだ」
そのうちの一人が通りの真ん中に立った。その男が片手を上げると、残りが素早く散開してマルコたちを取り囲み始めた。
―――――だ...誰だこいつら?―――――
青年は大剣を構えながら周囲を見回した。男たちは奇妙な筒の尾部に何かを詰め込むと、それを構えて先端をこちらに向けてきた。
「投降し、我らの仲間に加わるか。それとも神の裁きのもと今ここで死ぬか。選びたまえアレクセイエフスキー」
「ま...まさかきみは!」
修道士は片手でメイスをかざしながらも驚いた様子で声を上げた。
「―――そうだ。私だ。久しぶりだな、騎士団『元』副団長アレクセイエフスキー」
男は片手で自分のフードをゆっくりと取り除けた。月明りに見えるその顔は冷徹で無感情。碧い瞳が冷たく光る。
「....私もきみと同じように退団したのだ。貴族の腐敗に嫌気が差してね」