老犬ミニチュアシュナウザークゥーの回想日記”是非読んでくれ” 作:クゥー男
俺の名前はクゥー。
今日は朝から一段と歩きにくい。
パソコンの前まで行くのがやっとさ。
麻里が心配しすぎて、困るよ。
やっとお買い物に行ったけど、すぐ帰ってくるだろうから今日は少しだけ話すことにするよ。
俺と麻里との出会いは話したよな。
それから、の生活だ。
俺と麻里が何故ここまで戦友のような関係になったのかこれで分かってもらえると思う
よ。
俺は麻里に家族にしてもらえて、麻里の家に連れていかれた。
どきどきしたよ。
ペットショップの狭いサークルしか知らない俺は、想像もつかない。
すると黄色い洋風の家に連れていかれた。
新しい家だった。
2階の1部屋が俺の部屋になった。きれいなサークルとトイレ用、水、色々なきれいな
新品の俺専用のものが置いてあった。
当然,由に家の中で歩くことができた。
小学校1年生の寧々が、色々案内してくれたよ。
でも”階段”ってものが、始めはものすごく怖かったな。
好奇心旺盛の俺は、ドキドキしながら色々な部屋を見に行った。
寝るときは麻里と一緒に寝ることになった。
不安な気持ちの俺を察してくれたんだな。
しばらくして一人の男性が家に入ってきた。性格に言えば”帰ってきた”んだな。
それが博仁だった。
あいつは、俺を見て
”買ってきたん?ふ~ん”と一言。
俺の顔を見ずに去って行った。
一目見て俺はあいつを嫌いになった。
なんか嫌いだったんだ。
嫌な予感がしたんだ。
この予感が当たらなければと思ったけれども残念だが当たってしまった。
麻里も博仁に対して明らかに態度が変だった。
麻里が博仁に聞いた。
”どこにいってたの?”
”ちょっと”
”私に言えないことしてないよね。信じていいよね。
”してないよ”
とうるさそうにいって、やつは去って行った。
麻里はパソコン関係の仕事をしているらしく、朝早くから夜遅くまで働いて帰ってきた。
その間は俺は留守番で、寧々が散歩をしてくれていた。
麻里の仕事は休日も多くて、休日の日は寧々と俺とでよく出かけた。
毎日が楽しかったよ。
ものすごくうれしかったよ。
家族に囲まれて(若干一人除外だが)俺は、段々家族を守る気持ちが日々強くなるのを
感じていた。
とにかく麻里は怒らない。
寧々に対しても怒ったり、叩いたりしたことが俺はこの20年間見たことがない。
寧々も素直で優しい子だ。ちょっと天然だが。
寧々の学校の友達がしょっちゅう遊びに来た。
その時は俺はやつらのおもちゃさ。
だっこされたり、散歩ごっこされたり、
まあ寧々の人間関係に付き合ってやらないといけないから、
俺も”愛らしい犬”のふりをしていた。
そんなこんなで、あっという間に1年間過ぎて、幸せの中であの事件が起こった。
麻里と博仁が喧嘩をしていたんだ。
あの麻里が声をあげて
”また借金したの。何回するの。またパチンコ?何が不満なの?あなたが幸せな家庭を自
分で潰しているのがわからないの?”
”・・・・・・”
”今度はいくら借金したの?”
”300万円”
麻里は絶句していた。
”前500万円返すのも大変だったのに。。またアコムで借りたの?”
その瞬間博仁に顔が変わった。
”うるさい、お前のせいで、お前が悪いんだ”
その瞬間、麻里を殴った。
俺は背筋が凍りついた。
その瞬間、怒りが爆発した。
そして、博仁に向かって、突進し、噛みついた。
”いてぇ、なんだこの犬、犬なんか飼いやがって”
そして、俺は壁に叩きつけられた。思わず”キャン”と言ってしまった。
”クゥーに何するの、人間じゃないわ”
そうすると、
”俺が悪かった。本当にごめん”
と急に謝りだした。
”もういいわ”と麻里は茫然としている俺を抱えて自分の寝室へ行き、泣き出した。
俺はどうすることもできず、麻里に寄り添い、顔を舐めるしかなかった。
麻里は
”ありがとう、くぅーちゃん、痛い思いさせてごめんね”
”あの人の暴力はしょっちゅうなんだから、近づいたらダメだよ”
俺は思ったね、なんでこんな優しい麻里があんな旦那を選んだのかよくわからない。
不釣り合いすぎる。
麻里は夜になると毎日泣いていた。
俺をだっこしながら毎日泣いていた。
だけどその姿や喧嘩を寧々に見せたことや愚痴を言ったことは一度もない。
大した女性だ。
寧々には精いっぱい明るく振舞い、愛情を一杯注いでいた。
だけれども、暴力と借金は定期的に続いた。
しまい目にはおれを部屋から出して部屋を閉めて、麻里に暴力をふるうようになってき
た。
借金、おれは”お金”を見たことはあるが使ったことがないのでよくわからないが、あれ
で、いろいろな物と交換できるものすごく大事なものをどうも”パチンコ”というもので
借りてきてまで使うらしい。
男が女に暴力をふるう、それは犬族でもしないことだ。
男同士は喧嘩するけれども、女がわがままを言った場合は、引くね。
最低だよ全く。
だけれど麻里が夜言うんだ。
”あんな人でも寧々の父親だから、父親のいない家庭は可愛そうだからね。でもいつまで私耐えられるかな”
いまでも思い出すと腹が立つ。
でも因果応報で、麻里と離婚してから悲惨な生活を送って、寧々とも縁を切られたから、ざまあみろって感じだ。
俺は、博仁が帰ってくるといつも吠えて威嚇してやった。博仁は舌打ちしていたけどそんなことお構いなしさ。
お前は男として最低だよ。と言ってやってるんだぞっとね。
さあ、今日はここまでにしておこう、麻里が帰ってくるぞ。
俺も今日は疲れた。
俺は麻里が幸せになったと確信するまで、麻里のそばにいなきゃならない。
だけど麻里の世話になるのが申し訳ない。
家族を守るのが俺の務めだから。
だって、俺は男の中の男、クゥーだからな。