何処かの世界のあり得たかもしれない少女達の日常物語 作:タク-F
「それではツカサの全米チャート1位を祝して……カンパーイ!」
「ふふ……みんな大袈裟よ。私はまだ全米で1位になっただけ。響達や貴女達だって日本や欧州で首位じゃない」
「それにしてもツカサは凄いよね……」
「セレナさん・ゼロ・メラが支えてくれたからよ」
「蒼汰もなんだかんだ言いながらよく渡米して学園の再建に協力してるわよね」
現在神風写真館には家主の優斗の他に蒼汰・龍樹・鏡香・ゼロ・瑠璃・輪・ツカサ・メラ・マリア・プレラーティ……そして勇の12人の人間が集っている。
「お前達も学園の運営や欧州でのツアーがあるのに欲望時間を作れたな」
「このぐらいの自由時間を作るなら問題ありません。それに瑠璃姉ちゃんの顔を見る機会も減ってるしね」
「でも驚いたよ……あの勇がそういう事をしてたなんてあの時は識らなかったからね」
「言って無かったからね。輪さんに言えばそこから姉貴に情報が漏れるのは時間の問題だから言えないよ」
「……生意気!」
勇を羽交い締めにする輪を横目に鏡香がビールを開けて一息に飲み干した。
「…………ふぅ。お代わり」
「無礼講でも飲みすぎは駄目ですよ鏡香さん」
「じゃあ酔ったら龍樹がおんぶ〜」
「飛鳥が響達と待ってるんですから程々にしてくださいよ」
龍樹は娘の飛鳥の事を迎えに行く事を考えて鏡香の手綱を握る事にした。
「貴方達は相変わらず仲が良いのね。そこまで相思相愛の関係を築いていて羨ましいわ」
「ダウト。ツカサちゃんは本性を現せば惚気るね」
鏡香はツカサのジョッキにビールを注ぎそのまま飲ませた。
「んぐ……………………ヒック」
「ツカサは酒に弱いからこうなるよね……」
メラが未来を危惧した次の瞬間ツカサが口を開く。
「アメリカでは私こそが女王だもん……」
「酔ったな。はぁ〜……俺の嫁は可愛いわぁ〜」
「ゼロ……惚気ると合戦になるからやめなさい」
「わたしがんばったのにふりゅーげるがつよすぎるのよぉ……」
「まぁ……フリューゲルは今や日本を代表するユニットだもん。お姉ちゃん達も今では世界に進出するトップアイドルだしねぇ」
「切歌ちゃん達が卒業してからだっけ……本格的にユニットとしてアーティストデビューしたの」
「そうそう! 響達はキチンと力を蓄えてましたよ! 優斗さんのアドバイスが聞いてますよね」
話題に出たアイドルユニットのフリューゲル……翼・響・クリス・マリア・切歌・調・未来の7人からなるユニットでその重奏は世界の強者と渡り合う日本が誇る最高峰のアイドルであり、ツカサは彼女達と日本で票を割るよりも米国で脚光を浴びる選択をした。
「それでも渡米した直後に頭角を現したのはツカサの才能だよ。僕も驚く程に凄い駆け上がり方だった」
「それはそう。セレナさんが理事に就いたとはいえ私達はF.I.S学園を運営してるのにソレを両立するって言い出した時は驚いたよ……」
「そう言えばゼロさん言ってましたね……
『ツカサを支える為に僕も行きたい』
って。アレは何年前でしたっけ?」
「確かツカサが卒業した年だから7年前だよゼロ。2年で学園を再建する目処を立てて基盤を作り、そのままリディアン卒業の肩書きでデビューしたあの日は忘れられないね」
話題はツカサがデビューした当時を懐かしむ事となり盛り上がる。
「そう言えばハクアちゃんとソウカちゃんも飛鳥と同じぐらいの年齢だっけ。私達って大体同じぐらいに結婚してるよね〜」
「勇は三つ子を授かるとか驚いたよ。しかも子育ての1番過酷な時期を終えて送り出すって本気で驚いた。それだけ瑠璃や翼達を信頼してたとはな」
「姉ちゃんや翼さんは子供が必要なのにいないだろ? 一応それぞれの血は継いでるから任せられるって信頼してるからね」
「お前はそこまで思い切りが良いからこちらにヘッドハンティングしてされているワケだ。サンジェルマンからの司令なのだが……まぁ振られるワケだ」
「まぁ彼らだし、そもそもキャロルとプレラーティと喧嘩するでしょ? 正直優香の教育には困るから連れて来なくて良かったよ」
残念と言いつつ勇の返答に肩を落とすプレラーティと蒼汰。
「ごめんなさいね蒼汰……やはり駄目だったわ」
「まぁ裏のチャートを支配していたワケだから簡単にはいかないよね。じゃあ次は……」
今や学園を運営する瑠璃・輪・ツカサ・メラ・ゼロに視線が集まる。
「リディアンは結構な分権思想で学園の権威はガッツリ解体されてるよね。本当によく浄化したよ」
「龍樹さんや鏡香さんが粗方クーデターの足場固めてましたよね? ソレも8年前の話とか分かんないてすよね〜」
「クソっ……酒の席にしたのほ失敗だったか」
今日は本当に無礼講で騒ぎだしやがって……と優斗は頭を抱えていた。
「…………お疲れ様」
会場の屋上で優斗にお茶を差し入れるのは今やフリューゲルに身を置くアイドルのマリア。その美しさは10年前から色褪せない。
「馬鹿共が散らかした分の片付けか……怒られなきゃ良いんだが……」
「輪ちゃんやメラがいるから最悪は避けられるわ」
「優輝の奴がセレナに迷惑をかけて無いと良いんだが……」
「優輝は物分かりが良いから心配は要らないわよ」
屋上テラスで酒を呑む2人は互いのグラスにワインを注ぎキスをして抱きしめる。
「見せつけてあげれば良いのに……」
「喧騒とした場所よりもこう言ってた場所で愛を伝えるのは大切だからな」
「あの時優斗に救われた時……私は貴方に恋をしたのよ? なのに貴方は私の好意に一線を引いて……」
「恋なんてすぐに冷めるってのが相場だ。一時の感情に任せて人生を棒に振らせるわけにはいかないだろう?」
「龍樹君達は最早堂々としてるわよ?」
「あのバカップルは特別だ。ってかあんなバカップルがこの10年で増えた事が驚きだよ」
「にしても……私だってセレナの決断には驚いたのよ?」
「確か蒼汰と結婚して、その足で学園を再建する為にアメリカに戻ったんだったな。当時奏が2人を追いかけたのは俺達も驚いた話だった」
天羽奏はアイドルとしては引退しつつも時折両学園で講師として指導し後輩達を鍛えている。そんな奏とどうやって知り合い交際していたのか……蒼汰に対する不思議さを感じつつも優斗は一息をつく。
「この写真館も……最早スタジオにしやがって……」
「満更でも無いクセに……」
「コレも全部鏡香の所為だ。あいつをプロモーションに利用したらブレイクしやがって……忙しさで一時は切迫したじゃねぇか」
「発足当時よりも頭数が増えていたじゃない。ソレに貴方達を手伝ったからセレナはマムの後を継いでF.I.S学園を運営する決意をしたのよ? 私としてはこれ以上に無い程幸せよ?」
「それを言われると何も言えねぇよ……」
優斗は苦笑いをするしかなかった。そして……
「そろそろ戻るか。バカ共の第一波は引いたろ」
「そうね……戻りましょう」
優斗は下の惨状の片付けを覚悟しながら戻る事にした。2人の手は固く握られている。
「…………派手にやりやがったな」
優斗が懸念した通り鏡香と輪とツカサが飲み潰され龍樹・瑠璃・メラがそれぞれの介抱をしている。手の空いている蒼汰・プレラーティ・ゼロは惨状を片付けている最中だった。
「勇は何処に行った?」
「紫苑さんがこっちに来てたらしいから宣戦布告って行ったよ。まぁ……本当にこっちにいるみたいだし、タクシーでも拾って来てるんじゃないかな」
「あいつはプロ意識と善性は持ち合わせてるからな。引き篭もりだった期間もただ逃げた訳じゃない……わかってる奴だよ」
蒼汰と言葉を交わしつつ優斗も席に着く。
「あら? まだ飲むなんて珍しいわね」
「良いんだよ今日くらいは。俺だって酔って潰れたいんだ……」
「お供するわよ……何故なら私は貴方の妻だもの……」
神風写真館は今日も暖かく柔らかな風と歌が包むのだろう……
HappyBirthday私!
さて……次は本編だな。
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