正体不明な拾った少女が実は闇堕ちした推しヒロインだってことを俺はまだ知らない〜「ごめん、俺は聖女が好きなんだ」「……それ、私ですよ?」〜   作:水葉わいん

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第23話 終焉の魔女はペンダントを受け取る

 

 

「ふぅ……ようやく、帰ってきたな」

 

 俺は玄関の前で小さく呟いた。

 

 すっかり夜になってしまったが……リアは起きているだろうか?

 

 俺は恐る恐る鍵を開け、家に入ると――

 

「――アスタさん!」

 

 タッタッタッと足音が聞こえ、すぐにリアが駆け寄ってきた。

 

「おかえりなさい!」

 

「ただいま……! リア、この3日間、大丈夫だったか?」

 

「はいっ! 何も変なことはありませんでした……!」

 

「そりゃあ、良かった……!」

 

 俺は安堵すると、リアを抱き上げた。

 良い子にしていたご褒美だ。

 

「やった……アスタさんからの抱っこ……!」

 

 リアはコアラのように俺にぎっと抱きついてくる。

 それだけなら良かったのだが――

 

「ケホッケホッ……なんか、力強くないか……?」

 

 肺が圧迫されるくらいに力が強いのだ。

 

「ふふっ、この3日間の罰です……っ!」

 

「罰かぁ……」

 

 確かに、10歳くらいのリアを3日間も家に置いていったのだ。

 寂しい思いもさせてしまっただろうし、これくらいは受け入れるべきか……。

 

 俺は苦笑いを浮かべながら、リアの頭を優しく撫でた。

 

「んっ……それ、凄くいいです……もっとお願いします」

 

 リアは気持ち良さそうに目を細める。

 

「こんなのでいいのか?」

 

「はい……っ!」

 

 そう言われて俺は続けて頭を撫で続けていると――

 

「――やっぱり、この姿だと好きなだけ甘えられて良いですね……」

 

 リアはギリギリ聞こえないくらいの声量で何かを呟いた。

 

「リア? 何か言ったか?」

 

「いえいえ。何でもありませんよ」

 

 リアは可愛らしく小首を傾げた。

 

 気のせい……だろうか?

 まあいいや。

 

「そういえば、リアにお土産買ってきたんだった」

 

「わぁ〜! 嬉しいです!」

 

 俺は鞄からルビーのような綺麗な石が付いたペンダントを取り出した。

 

「ペンダント……それにこれ、ルビーですか……!?」

 

「流石に本物じゃないけどね」

 

「でも凄く似てます……! それに凄く綺麗ですし……アスタさん、ありがとうございます!」

 

 リアは花が咲くような満面の笑みをパアッと浮かべた。

 

「ねえ、アスタさん……。このペンダント、アスタさんが私につけてくれませんか?」

 

「それは……なんだか恥ずかしいな」

 

「いいじゃないですか……! 私、アスタさんの手でつけてもらいたいです……!」

 

 リアはキラキラと目を輝かせて俺を見つめる。

 

 そんな瞳を向けられると、嫌でも頷きたくなる。

 

「仕方ないなぁ……」

 

「やった……!」

 

「じゃあ、じっとしてくれよ?」

 

「はいっ!」

 

 リアはぴたりと動きを止め――そして、頬を淡く紅潮させながら俺を待っていた。

 

 そんな反応をされると……俺も少し恥ずかしくなってくるな。

 

「……アスタさん? どうしました?」

 

「あ、ああ……何でもないよ。じゃあ、ペンダントをつけるぞ」

 

 俺はペンダントの鎖の両端を持ち、リアの首の後ろに手を回す。

 

 そして、慎重に金具同士を合わせた。

 

「これでいいかな……? うん。よく似合っているよ」

 

 予想通り、ペンダントの赤い石はリアの黒い髪ととても合っていた。

 

 少し遠目から見てみると……ペンダントはリアに少し大人びた雰囲気を与えていた。

 

「ふふっ……ありがとうございます! 大事にしますね!」

 

 リアはペンダントを軽く手のひらに乗せ、まるで宝物のようにペンダントを見つめていた。

 

「気に入ってくれたなら良かったよ……!」

 

「気に入るに決まってるじゃないですか! アスタさんが私のために悩んだ末に選んだものなんですから……!」

 

 そう言ってリアは嬉しそうに微笑んだ。

 

 どうやら俺がリアへのお土産を選ぶのに悩んでいたのはお見通しだったようだ。

 

 俺は健気なリアの姿を見て、今度遠出する時は一緒に連れて行ってあげようと思うのであった。

 

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