翌日、Playmakerはハノイの騎士を誘い込むためにLINKVRAINS内にいた。
腕にあるデュエルディスクにはハノイの騎士が狙うAI、Aiがロックされている。
データストームに乗り巡回していると
「見つけたぞ!Playmaker!」
後ろに目を向けるとハノイの騎士が一人データストームに乗り追いかけてきた。
「貴様の持つそのAIを渡してもらおう」
「断る、といったら」
「デュエルで奪うまでだ!」
Playmakerが挑発し、今にもデュエルが始まろうとしたその時
「待てぃ!」
頭上から聞こえた声に緊迫した空気が霧散し、闖入者に視線を向けた。
黒い眼帯を着け、右腕には包帯を巻き、黒いインナーを着た青年が黒いロングコートをたなびかせながら落ちてきた。
付近のビルからボードと共に飛び降りてきたのだろう。
その青年はデータストームに着地するとPlaymakerと並走する。
「Playmaker!
このハノイの騎士は俺様に譲ってもらおうか!」
「⋯⋯これは俺の戦いだ。邪魔をするな」
「まあ待て、先日のお前にならい3つの理由を述べようではないか」
そう言うと青年はPlaymakerに近づき、他の人に聞こえないように小声で話し始めた。
「1つ、俺様は10年前の事件の被害者の家族だ」
「なんだとっ⋯⋯」
思いがけない情報にPlaymakerだけでなく、彼をサポートしている草薙は絶句する。
衝撃に立ち直る間もなく青年は続ける。
「2つ、とはいえ我々は理由あってハノイの騎士やSOLテクノロジーとはなるべく距離を置かねばならない。
故にハノイの騎士と戦うお前達の負担を軽減する助けとなろう。
具体的にはハノイの騎士とは関係のない衆目を俺様が引き受ける」
あれだ、と青年の視線の先を見るとカエルと鳩のアバターが空を飛びこちらを見ていた。
確かあれはマスコミのアバターだったか。
そして3つ、と言うと青年はPlaymakerから離れ声を張り上げる。
「このハノイの騎士は情報にも糧にもならん下っ端の雑魚だ!!」
「貴様ァ!!」
挑発に乗り激昂するハノイの騎士を横目に考えるがややあって、
「⋯⋯分かった、後は任せた」
と言うとPlaymakerはデータストームから降り、LINKVRAINSからログアウトした。
慌ててPlaymakerを追おうとしたハノイの騎士の行く手を青年が阻む。
「何処へ行こうというのだね。
我が魔獣共が貴様で遊びたいと言っているぞ」
「邪魔をするな!
邪魔をするならば、まずは貴様から葬り去ってやろう!」
「出来るものならやってみるが良い。
我が名はゼロ。始まりと収束を司る者なり!」
「「デュエル!!」」
スピードデュエル
ハノイの騎士 VS ゼロ
「先行は私だ!
相手フィールドにモンスターがいない場合、手札のハック・ワームは特殊召喚出来る!
私は手札のハック・ワーム2体を特殊召喚!」
ハック・ワーム✕2 DEF0
「そして!」
「まあ待て、その特殊召喚に対して俺様の手札の魔獣の効果が発動する!」
「ちっ、手札誘発を握っていたか」
「相手がモンスターを召喚、特殊召喚した場合この魔獣を手札から特殊召喚する!
現れ出でよ!メルフィー・ラビィーズ!」
メルフィー・ラビィーズ 「「「きゅー!!!」」」
DEF100
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯は?」
パステルピンクなモフモフの3羽のウサギが飛び出してきて場の空気が固まった。
デュエルを中継していたマスコミのアバターも2m程墜落した。
「メルフィー・ラビィーズの効果発動!
自身の能力での召喚後、手札またはフィールドのモンスターでメルフィーモンスターの融合召喚を行う!
俺様は手札のメルフィー・ラビィとメルフィー・パピィで融合!
融合召喚!集結せよ!わくどきメルフィーズ!」
わくどきメルフィーズ 「「「「きゅ〜♡」」」」
DEF2500
「さらに、わくどきメルフィーズの効果発動!
このカードの融合召喚成功時、自分フィールドのメルフィーと相手フィールドのカードを同じ数だけ対象として発動!カードを手札に戻す!
俺様はラビィーズを選択、貴様のハック・ワームを手札に戻してもらおう!」
ウサギ達がハック・ワームの1体に飛びかかると後ろ足で相手の手札へと蹴り返し、自分達も主人の手札へと帰っていった。
「⋯⋯なっ、貴様何をする!」
「ククク、何を呆けている。
まだ貴様のターンだ。
出来ることがあるならデュエルを続けるが良い」
「クソッ使うつもりは無かったが仕方がない。
LPを1000払い永続魔法ドラゴノイド・ジェネレーター発動!
ドラゴノイドトークンを攻撃表示で特殊召喚する!」
ハノイの騎士 LP4000→3000
ドラゴノイドトークン ATK300
「その召喚に対してわくどきメルフィーズの効果発動!」
「ふざけるな!!
私のターンに勝手に動くんじゃない!!!」
先行1ターン目だと言うのに次々と効果が発動する相手にハノイの騎士がブチギレる。
「知らんな。
止められない貴様の力不足であろう。
わくどきメルフィーズの効果!
相手がモンスターを召喚、特殊召喚した場合、自身のレベルを2つ下げ墓地の獣族モンスターを蘇生する!
甦れ!メルフィー・ラビィ!」
わくどきメルフィーズ ☆4→2
メルフィー・ラビィ 「きゅっ」
DEF2100
「私をここまで虚仮にしたこと、後悔するがいい!
私はフィールドのハック・ワームとドラゴノイドトークンをリリース!
クラッキング・ドラゴンを通常召喚する!」
クラッキング・ドラゴン 「ギャオオォォ!」
ATK3000
「そしてエンドフェイズ!
ドラゴノイド・ジェネレーターの効果により、相手フィールドにドラゴノイドトークンを1体特殊召喚する」
ドラゴノイドトークン ATK300
「さらにクラッキング・ドラゴンの効果発動!
相手がモンスターを召喚、特殊召喚した時に発動できる。
そのモンスターの攻撃力はターン終了時までそのレベル×200ダウンし、ダウンした数値分だけ相手にダメージを与える。
ドラゴノイドトークンのレベルは1。
200のダメージを食らえ!!」
ドラゴノイドトークン ATK300→100
ゼロ LP4000→3800
「ターンエンド。
散々虚仮にしてくれたようだが、次のターンにはクラッキング・ドラゴンが貴様の貧弱な獣を狩り尽くしてくれる!」
ドラゴノイドトークン ATK100→300
「ククク、実に無駄なあがきだな。
もっとも、貴様には次のターンは来ないのだがな。
俺様のターン!ドロー!
俺様はレベル2のわくどきメルフィーズとメルフィー・ラビィの2体でオーバーレイ!
2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!
エクシーズ召喚!顕現せよ!
ランク2!メルフィー・マミィ!」
メルフィー・マミィ 「ふふふ」
DEF1000
「エクシーズ召喚だと!?
クラッキング・ドラゴンの効果が使えないではないか!」
「更に、メルフィー・マミィ1体でオーバーレイネットワークを再構築!
深淵なる森の地母神よ!今ここに降臨せよ!
エクシーズチェンジ!ランク2!メルフィーゴッド・マミィ!」
メルフィーゴッド・マミィ 「ウフフ」
ATK0
「メルフィーゴッド・マミィの召喚時、効果発動。
デッキ、墓地からメルフィー魔法、罠を手札に加えるが、正直貴様には過ぎた能力だ。『メルフィーがころんだ』でも手札に加えるとしよう。
そしてゴッド・マミィの攻撃力は自身のオーバーレイユニットとなっているモンスターの攻守の合計値となる。
すなわち!ゴッド・マミィの攻撃力は!」
メルフィーゴッド・マミィの周囲を飛び回るORUにメルフィー達の姿が浮かび上がる。
そしてゴッド・マミィがかかげた杖に光が集まっていく。
わくどきメルフィーズ ATK0 DEF2500
メルフィー・ラビィ ATK0 DEF2100
メルフィー・マミィ ATK1000 DEF1000
メルフィーゴッド・マミィ ATK0→6600
「攻撃力6600だと!?」
「バトル!メルフィーゴッド・マミィでクラッキング・ドラゴンに攻撃!
メルフィーゴッド・バースト!」
メルフィーゴッド・マミィが杖を振ると七色の光線がクラッキング・ドラゴンを襲い、大爆発を起こした。
「ぐ、うわああぁぁぁ!!!」
ハノイの騎士 LP3000→0
「クク、ふははははは!はーははははは!!」
爆発に巻き込まれてデータストームから落下するハノイの騎士には一瞥もすることなく、ゼロの高笑いがLINKVRAINSに響き渡っていた。