明るい髪色の小柄な女性。幼さは残るが
「不安だよな、すまんが協力
「うん……大丈夫! なんでも聞いて!」
そう答えるものの、昼間にロビーで見せていた明るさはない。無理に元気を出そうとしているのか、落ち着かない様子で時折自分の髪を触っている。
「じゃあ、事件が
「お部屋にいたよ。あかりちん、あ、
「その時間は、ずっと二人で?」
「うん……ずっと、だと思う」
「だと思う?」
「えっと、たぶんずっと」
雲空は少し
「一人になった時間はある?」
「うーん、どうだったかなあ……。灯ちゃんがお手洗いに行ったかな?」
「それは何時
「えーーっと……
「16時30分頃ね。それで、どのくらいの時間だった?」
「ごめんなさい、
「動画を見ていたのか?」
「うん。前から見たかったんだよね。せっかく旅館に来たんだから、ゆっくり見ようと思って」
「なるほどな」
事件が起きたと思われる時間帯に、動画に夢中になっていたということか。時間の証言としては少々心許ないが、本人が嘘をついているようにも見えない。
「南房さんが部屋を出ている間、誰かが部屋の前を通ったとか、何か音が聞こえたとかは?」
「うーん……ごめん、全然わかんない。動画を見てたから」
「そりゃ仕方ねえか」
この天気だ。外では風が吹き
「じゃあ、金満と
「無いでーす」
今度は
「ロビーで
「やっぱり、ロビーで怒鳴っていたのは覚えているか」
「うん。あんな大声で電話してたら
「何を話していたかは?」
「そこまでは聞いてないよ。なんか、お金っぽい話をしてたような気はするけど……」
「そうか」
金満がロビーで電話相手に怒鳴っていたことは、他の
俺はそこで一度話を切り、現場で拾った【髪紐】を取り出した。
「じゃあ、これはどうだ? この髪紐に見覚えは?」
「あ、これ灯ちゃんのです」
「間違いないか?」
「うん。いつも
「いつも付けてる?」
「そうそう。灯ちゃん、髪長いから。これでまとめてるの」
「なるほどな」
これで【髪紐】が南房の物だ証言は得れた。
「話は戻るが、何か変わった事は無かった?」
「うーん、ごめんなさい。動画を見てたからわかんない」
「本当に何も?」
「うん……あ、でも」
真綾は何かを思い出したように顔を上げる。
「何かここに来てから灯ちゃん
「暗い?」
「うん。昼間は普通だったんだけど、なんか元気ないっていうか。いつもより大人しい感じ?」
「事件が起きる前からか?」
「うん。たぶん」
真綾は
「私の気のせいかもしれないけどね」
「いや、そういうのでも構わねえよ。何か気づいたことがあったら教えてくれ」
「うん」
俺は手帳に視線を落とす。
16時から17時30分の間、雲空は南房と部屋にいた。ただし、16時30分頃に南房が一度お手洗いへ行っている。その時間については、雲空自身が動画に夢中になっていたため、どのくらい離れていたのかは分からない。そして【髪紐】は南房の物。さらに、ここへ来てから南房の様子が少し暗かったという。
今のところ、それ以上の情報はない。
なるほどな、髪紐は【南房の髪紐】だと言うことがわかった。
これ以上聞くことは
「助かったぜ、また何か
「うん、疑われたままは
そう言って、雲空は少しだけ笑った。
昼間に見せていた明るい笑顔にはまだ戻っていない。それでも、先ほどよりは
俺は軽く手を上げて部屋を出る。
――さて、次は誰に聞くとするか。