どこかオドオドとしていて自信の無さが見える。少し小柄だが
こちらが近づくと、斉木は少し
「悪いが協力
「ぼ、僕を
「違う違う、疑ってるってんなら俺だって
「わかりました……」
斉木は少し
「じゃあ、事件が起きたと思われる時間、16:00~17:30はどこにいた?」
「
「布団部屋で仕事をしていた、ということだな?」
「はい……今日はお客さんが少ないので、いつもより仕事は少ないんですけど、夕食の後に
「なるほど。じゃあ、その時間はずっと一人だった?」
「はい。あの時間、今日は僕が
「誰かに手伝ってもらったりは?」
「いえ。布団を運んだり、必要なものを
斉木はそう言いながら、自分の手を見つめる。
どうにも
緊張しているだけなのか、それとも何か別の理由があるのか。今のところ判断はつかない。
「その間、誰か
「え、あの、その……」
斉木が一瞬、言葉を詰まらせる。
「
「南房さんを?」
「はい……」
「何時頃だった?」
「それは……」
斉木は少し考える。
「
「16時40分か」
「その時間に何か
「その……
斉木はそこで口を閉じる。
「何でもいい。気づいたことがあるなら話してくれ」
「外に
「人影?」
「いえ!」
斉木は慌てて首を振った。
「見間違いかもしれません。たぶん、窓から見えた何かを人影だと思っただけで……」
「どんな人影だった?」
「それは……よく見えませんでした」
「男か女かも?」
「わかりません……」
「じゃあ、どの辺に見えた?」
「外です。窓の向こうに、一瞬だけ……」
斉木は自信なさそうに答える。
「でも、本当に見間違いだと思います。風も強かったですし、木か何かだったのかもしれません」
「そうかい」
俺は手帳に簡単に書き込む。
外に人影。
ただし、本人も見間違いだと言っている。台風の影響で風も強いし、視界も悪い。これだけでは何とも言えない。
「金満と
「何度か
「個人的な付き合いはない?」
「はい。僕は宿の仕事をしているだけですから」
「話したことは?」
「宿泊中に必要なことを話すくらいです。夕食の時間とか、お風呂のこととか……それくらいです」
「なるほどな」
金満は何度もこの宿を利用している。
斉木が従業員として顔を知っていたとしても、不思議ではない。
「厨房には行った?」
「はい、一度仕事の
「何時頃?」
「正確には覚えていません。夕食の準備をしている時間だったと思います」
「そこで誰かと話したか?」
「
「それ以外は?」
「特にありません」
俺は手帳を見下ろし、今までの話を整理する。
斉木は布団部屋で寝具の準備をしていた。
その途中で灯が部屋へ戻る姿を見ている。
そして、外に人影らしきものを見た。
ただし、その人影については本人も確信を持っていない。
「そうか。よくわかった」
「あの……」
斉木が遠慮がちに声を掛けてくる。
「はい?」
「本当に、僕は何もしてませんから……」
「ああ、分かってる。今は話を聞いてるだけだよ」
「……はい」
斉木は少しだけ
だが、その目にはまだ不安が残っている。
俺は手帳を閉じる。
……人影、か。
台風の中で見たという話だ。見間違いの可能性も十分ある。
とはいえ、16時40分という具体的な時間まで出てきた以上、完全に無視するわけにもいかない。
俺は
こいつが何かを知っているのか、それとも本当にただの見間違いなのか。
今の段階では、まだ判断できない。
これ以上聞くことは
「ありがとう、
「は、はい。犯人
「ああ。必ず捕まえるさ」
そう答えて、俺はその場を離れた。