「消え去れェ!! 玩具がァァァッ!!!
『執刑(ジャッジメント)』ッ!!!!!」
神(ゴッド)の狂気的な絶叫が高空の雲海を劇的に
切り裂く。
その叫びに呼応するように、ロダストの肉体を
幾重にも、途切れることなく縛り上げていた鉄雲の
内側——整然と仕込まれていた九つの
排撃貝(リジェクトダイアル)が、一斉にその
圧倒的な牙を剥いた。
ドゴォォォォォンッ!!!!!
爆砕音が高空に充満していた大気を一瞬にして
揺るがし、周囲の雲を容赦なく消滅させる絶対的な
衝撃の濁流。
神の能力『絶対時間領域(ゴッド・クロノス)』に
よってまるで時が停止したかのように動きを縛られ、回避も取れぬロダストの肉体を、九重の連続排撃波と全武装による総攻撃が一切の慈悲も容赦もなく
呑み込んでいった。
衝撃と爆発は、周囲の空間そのものを歪ませて巨大な爆縮を引き起こす。
空に広がっていた分厚い海雲は凄まじい風圧で大穴を穿たれ、ぽっかりと開いた雲の隙間から、遥か下の
青海の残光が虚しく覗いていた。
重く荒い打撃音が天と地を激しく揺らし続け、
15秒もの長きにわたる壮絶な余韻を残して、ようやく猛撃の嵐と立ち込める白い煙が静まりを見せる。
右腕のガントレットから猛烈な白煙を吹き出し、
保持していた全ての武装の限界までの出力を使い果たした神は、肩を激しく上下させて荒い息を
吐き出していた。
自らの右腕も少し無理をして、鮮血が空に
舞っていたが、その口元には醜悪で全能感に満ちた
笑みが刻まれていた。
己の絶対的な勝利を、何一つ疑っていなかったからだ。
絶望の余燼が漂う黎明の空を見下ろし、神は高らかに自分自身の圧倒的な存在感に酔いしれながら、勝利のカウントダウンを刻み始める。
「10……9……8……7……6……5……4……3……2……1……0!!!!」
ドドドドドドドドドォンッ!!!!!
空に虚しい爆炎の最終残響が轟き、静寂が訪れる。
「……終わったな。青海の羽虫が……!!神に挑んだ報いだ。…ルフフフフフフッ!!!」
パアアァンッ!!!
高慢な嘲笑を切り裂き、乾いた硬質な破壊音が壊れた世界に響き渡った。
神の嘲笑が一瞬で凍りつく。
神の眼下、爆煙の奥底で、ロダストを拘束していた
鉄雲が、内側からの力によって粉々に打ち砕かれ、
弾け飛んだのだ。
煙の切れ間から姿を現したのは、依然として高空に
凛として立ち塞がるロダストの姿だった。九連排撃と総攻撃いう、あらゆる生物の肉体を粉砕するはずの
凄まじい直撃。
しかしロダストは、極限まで高めた分厚い『気』と
澄み渡る重厚な『武装色の覇気』の鎧によってその衝撃を遮断し、傷一つない姿で再び動き出したのだ。
「っな……!? 執刑(ジャッジメント)の直撃を
受けて、なぜ立っている……!なぜ動けるのだ、玩具がァ!!」
神は目を見開いて血走らせ、己の尊厳を根底から打ち砕かれた恐怖と動揺から、醜く金切り声を上げた。
「うおぉぉぉぉぉッ!!!!」
神の動揺を切り裂き、ロダストの魂の咆哮が天を
突く。その声に呼応するかのように、体内の『気』が激しく沸騰し、高空に風を巻き起こした。
高まり続けていく気と、沸き立つ怒りに応じる
爆発的な覇気が融合し、空の雲海と大気を眩いばかりの黄金色へと染め上げていく。
全身から溢れ出る金の気が天を焦がし、彼の存在
そのものが一つの小さな星へと昇華していくようだった。
絶望に駆られた神の心網(マントラ)が捉えたのは、逃げ場のない恐怖の未来。
ロダストの右腕の拳へ、猛烈な勢いで収束していく
圧倒的なエネルギー。
それは過去のいかなる攻撃をも遥かに凌駕する
密度の力であり、絶対的に受けてはならないという
本能的な気配、そして天そのものを破砕せんとする
暴力的な圧動だった。
「く……そ……! 貴様……貴様ァァァッ!!」
完璧だったはずの支配と傲慢が完全に崩れ去り、神の瞳に、初めて絶対的な「死」の恐怖が宿った——。