猿猴は月に愛を為す   作:ユズキあむ

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第3話 オルガン諸島と幻の大猿の話

 

 

シェルズタウンを離れ、次なる島——オルガン諸島へと辿り着いたロダスト(17)。

 

砂浜に小舟を寄せ、周囲を見渡す。

「んー、上陸したけど……なんて町だ?」

 

町の中へと足を一歩踏み入れた瞬間——

 

「貴様! 海賊か!?」

物陰から勢いよく飛び出してきた男が、竹槍を構えて鋭い眼光を向けてきた。

 

ロダストは「うおっ」と軽く体を引くと、屈託のない笑顔で首をかしげる。

 

「お前は?」

「わ、わたしはブードルだ!」

「プードル?」

「違う! さながらブードルだ!」

「ん?さな……。まあ、なんだ、海賊じゃ無いんだな? 俺はロダスト! 旅をしてるんだ!」

 

ロダストが警戒を解いて笑うと、ブードルもゆっくりと竹槍を下ろした。

 

見渡せば、人々が汗を流して生活を営んでおり、通りかかる人々がブードルに親しげに声をかけていく。

 

「へぇ〜。慕われてるんだなお前」

 

「……ふ、ふん」

 

照れくさそうに顔を背けるブードルに、ロダストは素直な感想を口にした。

 

「さながら何も観光地などは無い町だが、人が懸命に生きてる……それだけで、私からしたらいい町なんだ」

 

「いい町だと思うよ!」

 

ふと、ブードルが思い出しかのようにロダストの顔を見つめた。

 

「そういえばロダスト……さながら『幻の大猿』っていう絵本を知っているか?最近、家の中で昔の絵本を見つけてな」

 

「おおざるー?」

 

ロダストが首をかしげると、ブードルは静かに語り始めた。

 

「ああ。根も葉もない所から突如、満月の時だけ

出て来るんだ、大猿が。暴虐の限りを尽くし、一日が終わると幻のように消えてしまうっていう……

さながら絵本の話だ」

 

「へぇ〜! 満月だけ暴れる大猿かぁ。へんてこな絵本もあるもんだな!」

 

ロダストは他人事のように「ニシシ!」と無邪気に笑い飛ばした。

 

「ロダストはどんな物語が好きだ?私は

海の戦士ソラ!海の戦士ソラはイイぞー!そりゃ、

もうさながら正義の味方!」

 

「俺は、マンキーボール!」

 

その後、ブードルの案内で買い物を済ませ、食料を

たっぷりと買い込んだロダスト。

 

出発の準備は万全だ。

 

港に浮かべた小舟に乗り込み、ロダストは一人で見送りに来てくれたブードルに大きく手を振った。

 

「じゃあなプードル!」

 

「だからブードルだと言っておろうが! ……気をつけて行くんだぞ、ロダスト!」

 

「ニシシッ! 食料も買い込んだし、小舟を購入! 出発するぞー!またいつか会おうーーー!」

 

力強くオールを漕ぎ出し、17歳の少年は賑やかにオルガン諸島を後にするのだった——。

 

 







文字数が足りなかった。
さながらで生きながらえた…。
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