猿猴は月に愛を為す   作:ユズキあむ

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第43話 アフロの骸骨、喋る!!

 

 

 

 

船内をひと通り見て回り、

他に倒れている者たちにも静かに手を合わせた二人。

宝箱や船室も確認してみたが、特に何か

変わったものが残されているわけでもなかった。

探索を終え、ロダストが「よし、そろそろ出ようぜ」と背を向けた、その時——。

 

 

後ろをついてきていたアピーがふと足を止め、

首をかしげた。

 

『……?』

 

「どうしたアピー? そのアフロの骸骨が

何かあったのかー?」

 

ロダストが振り返ると、アピーは先ほど祈りを

捧げたばかりの、ピアノの傍らで大の字になっているアフロの骨をじっと見つめている。

 

気になったロダストが引き返し、大の字の骸骨へと

近づいて顔をひょいと覗き込んだ。

 

「特に変わったことなんてねぇぞ?」

 

ちょうど、その時だった。

 

 

黄泉の国からようやく自分の身体を見つけ出し、

帰還を果たした「魂」が、アフロの骨へとすぽんと

滑り込んだのは。

 

 

 

「ヨホホホホホーーッ!!!」

 

 

「!?!!?!!!ッッ!?」

 

 

凄まじい大声と共に突如として跳ね起きた骸骨に、

ロダストの身体が反射的に反応した。

あまりの驚きに、無意識に本気の拳が全力で

叩き込まれる。

 

バリバリッ! ズンッ

 

ドガァンッ!!!

 

「ギャアァァァァーーーーーッ!!!!?

蘇ったばかりなのにーー!?」

 

 

「骨が喋った!!!?」

 

壁を突き破る勢いで吹っ飛び、痛みに悶絶する

アフロの骸骨を見て、ロダストは目を丸くして叫ぶ。

一方のアピーは、目を輝かせてパチパチと

手を叩いた。

 

『わぁ! お友達が起きたー!』

 

「お、お友達どころではありません…!

本当にまずいですヨ、蘇ったばかりなのに……

…死んでしまいます……ッ!!」

 

起き上がることすら出来ない衝撃にプルプルと震え、瀕死状態で悶絶する骸骨が、必死に手を伸ばす。

 

「ぎ、牛乳を……牛乳をください……!」

 

『牛乳? あるよ、はいどうぞ!』

 

アピーはコモちゃんのモコモコとした身体の中に手を突っ込み、冷えた牛乳瓶を取り出して手渡した。

 

「ゴクゴクッ……ぷはーッ!! 治りました!!

目の前が真っ暗になるところでした……まあ私、

目はありませんけども! ヨホホホッ!」

 

『あはは! 目がないのに見えてるの? すごーい!』

 

そう言ってアピーはケラケラと無邪気に笑った。

 

「アピー、お前は全身ないんだぞ…」

 

ロダストの冷静な呆れツッコミが響き、

ひと段落ついて場が落ち着いた。

 

 

 

 

 

 

見事に骨が修復し、息を吹き返したアフロの骸骨は、シルクハットをキュッと直し、紳士的に一礼した。

 

 

「失礼いたしました。私(わたくし)、

ヨミヨミの実の能力で黄泉の国から戻って来たの

ですが……この深い霧で自分の身体を

見失ってしまいまして。…戻る頃には骨だけの

身体になっていたようです、ヨホホホッ!

 

……ところで、お嬢さんは幽霊のようですが?」

 

 

『うん、ワタシはアピー! 死んじゃった時、そのままス〜ッておばけになって、ここに留まってるんだ〜。黄泉の国には行ってないよ!』

 

「おや、そうなのですねーヨホホッ。

申し遅れました……! 私、名をブルックと申します」

 

『ワタシの名前はアピーでこっちの大きいのが

ロダストだよ!』

 

「ニシシッ!ロダストだ。よろしくな、ブルック!」

 

「よろしくお願いいたします、ロダストさん!

いやはや、先ほどのパンチで本当にあの世へ

送り返されるかと思いました。ヨホホホッ!」

 

 

ブルックは大袈裟に顎を押さえるような仕草を

してみせ、ガタガタと全身の骨を鳴らして笑った。

 

その一連のおどけた動作を、ロダストはニシシッと

面白そうに眺め、アピーはくすくすと嬉しそうに

宙を舞う。

 

 

 

 

骨だけの骸骨と、浮かぶ幽霊。

常識では考えられない奇妙な組み合わせでは

あったが、この不気味な魔の海域において、彼らの

周りだけは不思議とあたたかく賑やかな空気が

流れていた——。

 

 

 

 

 

 

 

 

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