シクシスの孤島でロジャーたちと別れたロダストの小舟は、東の海(イーストブルー)最果ての街——ローグタウンへと辿り着いた。
「うおー! すげー! ここがグランドラインに入る前の街かー!」
活気あふれる街並みに目を輝かせたロダストは、さっそく街へと繰り出し、日用品や食料をドッサリと買い込んだ。
両手いっぱいに荷物を抱え、仕上げとばかりに露店で買ったドーンと高く聳え立つ三段アイスを手にする。
「んむ! 落ちそうだけど……うまいっ! 冷たくて最高だな〜!」
三段アイスを崩さないよう大事そうにペロペロ舐めながら、ロダストはご機嫌で広場を歩いていた。
その時——広場の一角から、市民の悲鳴と海兵たちの怒号が響き渡った。
『近寄るな海兵ども! 追ってくるとコイツを殺すぞ!!』
見れば、グランドラインへ向かおうとしていた海賊が、幼い市民を人質に取ってナイフを首元に突きつけていた。
大勢の海兵たちが包囲しているものの、人質を取られているため手出しができず、現場は緊迫した空気に包まれている。
人質を取って暴れる海賊の卑劣な姿を目にした瞬間、ロダストの表情から一気に笑みが消え去った。
「……小さな子供を盾にするとかさ。人としてめちゃくちゃカッコ悪ぃんだぞ」
曲がったことが大嫌いなロダストは、手に持っていた三段アイスをサッと掲げ持ち直し、真っ直ぐに海賊へ向かって踏み出した。
『へへへ! 命が惜しけりゃ船を用意しやが……』
「すっこんでろ雑魚ども!!」
ドカァァンッ!!
海賊の言葉を遮り、反対側の海兵の人垣を割って一人の青年が飛び出してきた。
海軍のコートを羽織り、黒髪を短く刈り込んだ力強い男——海軍将校、26歳のガープだ!
「な、なんだアイツらは!?このガキを 殺されてぇのか!」
逆上した海賊がナイフを振り上げようとした、まさにその瞬間。
ドッギャァァンッ!!!!
ガープの振り抜いた拳骨と、ロダストの放った目にも留まらぬ一蹴りの衝撃波が、寸分の狂いもなく同時に海賊の顔面へ炸裂!
海賊は叫ぶ隙すら与えられず、広場の石畳を叩き割って一瞬で垂直に沈み込み、泡を吹いて気絶した。
「きゃああっ! パパ!」
無事に保護された子供が親の元へと走っていく。
一瞬で決着がついた現場で、ガープはフンッと一息
吐きながら拳を解き、じっとロダストの方へと視線を向けた。
「……ほう、見ねぇ顔だがなかなか強そうだな!」
「お前こそ! すっごいパンチだなー!」
ロダストはニシシッと笑うと、無事だった三段アイスをパクリと頬張った。
ガープはその豪快な面構えとバカ直球な雰囲気を気に入ったように、「ガハハハ!」と大爆笑する。
「海軍に引き取りてぇくらいだ! 旅人か?海軍に入れ!!」
「俺はロダスト! 世界を見て回ってるんだ! あんたも強ぇなぁ、またな!」
「ガハハハ! おう、気をつけて行けよロダスト!」
それを見た海兵が
「か、会話が成立してない…」
買い込んだ荷物とアイスを手に、港へと向かうロダスト。
東の海の最果ての街を後にし、少年はいよいよ世界を巡る大冒険へと本格的に飛び出していくのだった——。