猿猴は月に愛を為す   作:ユズキあむ

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第9話 黒き三叉槍

 

 

 

リトルガーデンの、長かった一年間が過ぎようとしているお昼下がり。

 

「ゆくぞ、ロダスト! 受けて見よ!」

 

「『威国(いこく)』っ!!」

 

「おうっ!! 『月墜(ムーンドロップ)』っ!!!」

 

ドゴォン!! ダアァアアアアアラァッ!!

 

天地を揺らす大爆破とともに、巨人の生み出す

膨大な衝撃波と、ロダストの練り上げた特大の覇気玉が真っ向から激突し、綺麗に相殺された。

 

「ガババババッ! チビ人間に真っ向から相殺される事になるとはな」

 

「ゲギャギャギャ! そうだな。なかなかねえことだ!!!」

 

「ニシシっ!」

 

汗を拭うロダストに、二人の巨人が温かい眼差しを向ける。

 

「次の島に行くんだろう?」

 

「ああっ、今日行くよ」

 

「もう一年か、時が過ぎるのは早いな!」

 

「また会いたいもんだな」

 

「ドリーとブロギーはまだ決闘を終わるまで続けるんだよな?」

 

「誇りをかけた闘いだからな。」

 

「また二人と会いたいなあー。」

 

「「ガババババ!!ゲギャギャギャ!!そりゃそうだ!」」

 

「んじゃ、そろそろ行くよ」

 

小舟に乗り込み、しっかりと櫂(かい)を握りしめるロダスト。ドリーとブロギーが巨躯を折り曲げ、

はるか沖合を鋭い眼光で見つめた。

 

「ああっ、最後だな。お前の一年の最大の難関が

この先にいる」

 

「だが、お前なら突破出来る。さあ男の旅立ちだ、

行ってこい!」

 

「おうっ!!」

 

小舟が島を離れ、波をかき分けて荒海へと進み出た

その時——。

 

ズオオオォオオッ!!!

 

海面が激しく盛り上がり、空を覆い尽くすほどの

超巨大金魚「島喰い」が、真っ赤な巨大な口を開けて立ちふさがった!

 

「出てきたなっ、デカ金魚!! この一年で鍛えた

新技を見せてやる!!」

 

小舟の上から浮遊し、片腕をグッと引き絞るロダスト。

 

硬化した右拳へと一気に集約されていく「気」と

漆黒の「覇気」、そしてバチバチと激しく放電する「雷」。エネルギーは高密度に凝縮され、

どす黒く禍々しい光彩を放ち始める。

 

ロダストはそのまま空を蹴り、島喰いの巨大な

鼻先へと躍り出ると、練り上げたエネルギーごと拳を力任せに殴りつけた!

 

「『月魔炬火(ヘカテー・トーチ)』ッ!!!!」

 

チュドォォォォォンッ!!!!!

 

 

 

叩きつけられた拳からエネルギーは解放され、

「破壊エネルギー」「雷エネルギー」「光熱エネルギー」 の三叉の螺旋の奔流が一直線に噴出!

三つの威力が一瞬で融け合い、更なる破壊力となって全方向を黒く焼き尽くしながら突き進む!

 

苛烈な螺旋の光柱は、島喰いの巨体ごと海原を貫通し、風穴を開けられた大金魚の体を突き破って

小舟ごと一気に前方へと突き抜けた!

 

「やったぁーー!!抜けたっ〜〜ー!

ドリー・ブロギー! 手伝ってくれてありがとう〜! 楽しかった!!行ってくるっ!」

 

遥か沖合から響き渡るロダストの元気な叫び声。

遠ざかっていく小さな船影を、ドリーとブロギーは静かに見送っていた。

 

「行ったな、ブロギー」

 

「ああっ、ドリー」

 

「島喰いを新たな技で突破して行くとは、

強くなったな」

 

「ああっ、力で負けそうになるとは思わなかったっ」

 

「それは俺もだ」

 

ふっと口元を緩め、互いに顔を見合わせる。

 

「神が決めることとは言え、また会えると良いな」

 

「そうだな。……だがドリーよ」

 

「なんだ、ブロギー」

 

「もう、猿の相手はこりごりだ! ガババババっ!」

 

「ゲギャギャギャギャっ! 確かになっ!」

 

ふたりの大爆笑が海原に響き渡る。

 

ドーーーーンッ!!

 

その時、島の中央で火山が激しい音を立てて

噴火した。ふたりの表情が一瞬で戦士の顔へと戻る。

 

「火山が噴火したな」

 

「ああっ、合図だ」

 

「さあやろう、いつも通りだ」

 

「さあ、決着をつけよう」

 

「「オオッ!!!!」」

 

誇り高き二人の巨人が再び武器を交える背中を遠くに感じながら、一年の修行で進化を遂げたロダストは、新たな冒険の海へと晴れやかに

突き進むのだった——。

 

 

 

 







この島喰いは原作で出てきた島喰いの子とする。
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