キヴォトスに来た太陽エンド後V概念   作:熱怨霊

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サイバーパンクにおけるネタバレを多分に含みます。むろんブルアカも。
また、自己解釈を含むものがございますのでご了承ください


砂漠

「…っ!」

 

あまりの暑さにVは目を覚ます。

覚まして即座に違和感に気が付いた。

 

「これは…」

 

床の質感が固くも柔らかくもない。そして、熱い。

 

「砂…?どういうことだ…?」

 

あたりを見渡しここが砂漠であることをVは認識する。

 

「……くそッ、何が起きてやがる」

 

体を起こそうとして、Vは強烈な倦怠感に襲われた。サイバーオプティクス*1が起動し、視界の端でUIが明滅する。

クリスタル・パレス*2での一件の後、宇宙から帰還したVは仲間たちと余生を過ごし往生に至ったはずである。

であればここが死後の世界とやらかと思ったが倦怠感がここは確かに現実だと伝えてきていた。

 

NET接続:圏外―――シグナル未検出

警告:体温の上昇を確認

 

「NETに繋がらない…?」

 

砂漠の真上を照らす太陽は、じりじりとVの水分と体力を奪っていく。

重い体を起こすとあたりを見渡しながら進むことに決めた。

起き上がりの倦怠感はもうない。RELIC*3によって起きていた体の不調も感じずすこぶる好調だった。

Vはマロリアン・アームズ3516*4を右手に持ち、砂漠の中を進んでいく。

 

「死んだかと思えば3度目の死を経験しそうだな」

 

自嘲気味に呟きながら歩くこと数分。Vのサイバーオプティクスが、砂嵐の合間に小さな動体反応を捉えた。

ズン、ズン、と遠くから腹に響く重低音。

続いて聞こえてきたのは、引き裂くような連射音と金属の打撃音――銃声だ。

聞き馴染んだその音に一種の安堵を覚えながら音のする方へと慎重に歩を進める。

その先で見た光景にVは眉をひそめた。

 

「砂漠の中に…あれは学校か…?いや、それよりも子供…?」

 

いくら見返しても銃撃を行っているのは双方成人にも満たないと見て取れる少女たち。

片方はバギーや戦車らしきものに乗りながらヘルメットをかぶり学校側へと攻撃を、もう片方はたった二人、いや正確には一人でその学校を守っていた。

 

「…ギャングの抗争には見えないが…」

 

少女たちの頭に浮かぶリングに向けスキャンを試みる。

 

スキャン実行中……

対象データ:該当なし

 

「…何もわからない、が」

 

右手に持った銃を構えると音を立てないよう、しゃがみながらヘルメットをかぶった少女たちのいるほうへと後ろに回って近づく。

 

「この騒ぎを収めることには変わらないな」

 

幸いにも誰一人Vに気が付いていない。バギーの後ろに音もたてずに陣取ると、そこから右へ孤立している少女の背後へと回る。

 

「……」

 

音もたてずに後ろから頭を押さえると首元に打撃を一発入れ、少女を昏睡させる。まだ気づかれていない。気づかないようバギーの影へと隠し、死角を通って二人目へと近づく。

二人目も背後から忍び寄り、無駄のない動きで喉元を圧迫して意識だけを刈り取る。

 

「…一人こっちに来てるか」

 

弾薬の補給か一人の少女がバギーのほうへとやって来る。Vとしては子供を傷つけるというのはできるなら避けたい事項だ。

 

「あ…?今なんか…、気のせいか」

 

一瞬こちらを視認されたものの、気づかれずに孤立した少女の背後へと回り込みグラップルして気絶させる。

 

「おい! 弾薬箱まだか!? アビドスのガキどもの弾幕が強くなってるぞ!」

 

フロント側から大声が響く。まだこちらの異常には誰も気づいていない。

Vは足音を殺しながら、さらに死角へと滑り込む。

ターゲットはバギーの機銃座に陣取る少女と、その周囲で校舎へ向けて銃撃を続けている残りの数人。

ここからはどう立ち回っても一人気絶させた時点で気づかれる、そう判断したVはスキャンし、一番相手にしたときに厄介そうなショットガンを持つ少女へと狙いを定め背後から一撃を入れる。

 

「がっ!?」

 

「ッ!?誰だお前!」

 

案の定というべきか、一人がVの存在に気が付く。

その問いにVは答えることなくサンデヴィスタン*5を発動した。

途端に周りの速度が極端に遅くなる。Vは、気づいた少女目掛けまっすぐに走り頭へと打撃を与え脳震盪で気絶させ、次なる少女目掛け滑り込む。少女の首筋に打撃を与えて気絶させた後、機銃に居座っている少女目掛け移動し、機銃をマンティスブレード*6でたたき切ったのち、その少女にも打撃を与えてその場を制圧した。

 

サンデヴィスタンの効果が切れ、世界が等速へと戻る。

周囲に転がるヘルメットの少女たちを見下ろし、Vは自分の拳を軽く握り直した。

 

(普通の人間なら死んでいる打撃だ……子供の体にしては頑丈すぎる)

 

ヘルメットをかぶった少女たちは皆、白目をむいて倒れていることを確認するとVは装備を確認する。

 

「子供だけでこの弾薬量…?」

 

弾薬の量も武器の質も食料も、持久戦を意識した上等な装備だ。

子供だけでそんな装備を管理していることも信じられないが、装備の上等さからコーポ*7の一つでも噛んでそうとVは判断し、ひとまずは弾薬と食料を回収する。

回収した物資の中から水を開封し乾ききったのどを潤すと、口元をぬぐい取り襲撃を受けていた学校へと歩を進める。

校舎へと近づくと瓦礫の前で一人の少女がこちらにショットガンを構えていた。もう一人は彼女の後ろで随分と楽観的な表情をしている。

 

「……誰、あんた。ヘルメット団を背後から一瞬で片付けたみたいだけど……」

 

ピンク髪は警戒を解くことなく近づくVにショットガンの銃口を向け、目を細める。

 

「人型ロボット…じゃない。男…の、改造人間…?」

 

訝しむ少女の様子に苦笑しながらもVは応答する。

 

「Vだ。傭兵をやっている。色々あって遭難してしまってな。音を頼りにこっちに来たらやりあってるのを見て情報を得るために片方を無力化したわけだ」

 

銃を持ちながら両手を目元に上げ、敵意がないことを示しながらそう説明する。

その様子を見かねたのか小柄なピンク髪の後ろにいた緑髪の少女が慌ててピンク髪に話しかける。

 

「ちょ、ちょっと!ホシノちゃん!銃を下ろして!」

 

緑髪は小柄なピンク髪、ホシノと呼ばれていた少女と比べて随分と大柄だ。恐らくは緑髪のほうが年上なのだろうが楽観的な雰囲気とどこか香る頼りなさが残念さを際立たせている。

 

「ユメ先輩、どいてください。敵の敵が味方とは限りません」

 

「でも私たちを助けてくれたんだよ?いい人だよ、絶対!」

 

マジかコイツという顔をするホシノとV。何というか世の中全てを善人と考えてる甘っちょろさだ。

 

「……はあ。ユメ先輩、後で説教ですからね」

 

ホシノは盛大なため息をつきつつも、ゆっくりとショットガンの銃口を下ろした。

だが瞳は未だに警戒を続けている。

目の前に立つ男——Vと名乗った存在の「異質さ」を、彼女の鋭い勘が察知していたからだ。

ヘルメット団を銃の一つも打たせずに鎮圧したことに加え、人を殺してきた者特有の圧迫感がある。

 

「それで…遭難、ですか。装備は潤沢なようですけど」

 

「目が覚めたら砂漠の真ん中にいたんだ。装備に関しては…」

 

ちらりと倒れているヘルメット団とやらのほうへ目線を向ける。

 

「あいつらから拝借した。ギャングにしては装備が潤っていたな。あいつらはどこかのコーポが絡んでいるのか?」

 

「コーポ…誰かがヘルメット団を支援しているってことですか…?」

 

ホシノの目が鋭くなる。

 

「私たちの知る限り、ヘルメット団はどこにでもいるようなならず者のはず、ですが…」

 

眉を顰め考え込むホシノ。その横からユメが驚いたように身を乗り出してきた。

 

「それって、ヘルメット団の後ろに悪い人がついてるってこと!?」

 

「まあ、資材をため込んでた線もあるから確定したわけではないが…ところで俺の質問にも答えてもらおうか」

 

そういうとVはぐるりとあたりを見渡し、

 

「ここはどこだ?ナイトシティー*8ではないしバッドランズ*9にしては砂が多い」

 

そもそもNETに繋がらないしなと付け加える。

 

「ナイト…シティー?ここはキヴォトスという都市のアビドスという地区です」

 

「キヴォトス…アビドス…知らないな…データベースにもない」

 

自身が完全に行き場を失っていることを把握したVは溜息をつきながら

 

「はあ、因みにこの都市はずっと砂漠なのか?」

 

そうホシノとユメに問う。

 

「いえ…砂漠地帯になっているのはアビドスだけです。尤も、アビドスを出るまでかなりの距離がありますが…」

 

「なるほど、ならしばらくはアビドスに居座ることになるか」

 

未だ警戒の目を向けるホシノを無視し、話を続ける。

 

「NETにもつながらないとなると金は手持ちの数千エディー*10しかないな。どこかいい働き先はないか?」

 

「え、エディー…?働き先は……その、」

 

ユメ、そしてホシノも、働き先という単語に口を噤む。

 

「…?何かあるのか。ここ、アビドスは」

 

思えば学校だというのに二人以外に人の気配は感じられないし、奥に見える砂漠の中の町もやけに活気がない。まるでゴーストタウンだ。

 

「えっと、Vさん。アビドスでは働く場所はそうそう見つからないかな」

 

「!?ユメ先輩!」

 

「いいのホシノちゃん。この人は私たちを助けてくれたんだし。それでね、その大きな要因っていうのがこの学校の借金なの」

 

「…借金?」

 

「この学校には借金があってね。最初は頑張って帰そうとしてたんだけど利息がかさんで天文学的な額になっちゃったんだよね」

 

「……」

 

(地上げか…)

 

ナイトシティーではよくあることだ。莫大な暴利を吹きかけ土地や資産を巻き上げる、質の悪いコーポがやるような手口だ。

 

「働き口がないとなると…懸賞金で稼ぐ方がいいな。アビドスにそんな組織が残っている気配もしないが」

 

「え!?借金を返すのを手伝ってくれるんですか!?」

 

「ユメ先輩」

 

前に乗り出すユメをホシノが制止する。

 

「交換条件だ。俺がアビドスで暮らせる場所と食料を提供する代わりに俺も借金の返済に協力する。やることの方針も決まってないからな」

 

「Vさん……! 本当にいいんですか!?」

 

ぱあっと表情を輝かせるユメの横で、ホシノは尚もショットガンの引き手に指をかけたまま、Vを鋭く見据えた。

 

「……ハッ、おめでたいですね。こんな正体不明の改造人間を簡単に信用するなんて。タダで助けてくれるなんて甘い話、あるわけないでしょう」

 

「だから交換条件と言ったはずだ。お前たちに金を払う余裕がないなら、現物支給で手を打つと言っている」

 

冷静に言葉を返すVに対し、ホシノはしばらく沈黙した後、盛大なため息とともに銃口を完全に下ろした。

 

「わかりました。とりあえずは信用することにします。ですが、何か妙な真似をしたらその直後に頭を吹き飛ばしますから」

 

「――まあ、契約成立だな」

 

苦笑しながらVが差し出した手を、ユメが待ってましたと言わんばかりに両手で握りしめた。

 

「はい! よろしくお願いします、Vさん!」

 

「……はあ。V、でしたね。私はホシノです。そっちのお人好しすぎるのが生徒会長のユメ先輩」

 

そう言ってホシノも気まずそうに目を逸らしながら、Vの手に軽く自分の手を重ねた。

 

「さ、それじゃあ校舎に入りましょう! 砂嵐も強くなってきたし、冷たいお茶でも淹れますね!」

 

嬉しそうに先陣を切って歩き出すユメと、その背中を心配そうに追いかけるホシノ。

二人の小さな背中を見送りながら、Vはサイバーオプティクスの視界に映るボロボロの校舎を見上げた。

*1
視覚情報を拡張し、戦闘や情報処理の補助を行う視覚系のサイバーウェアの総称

*2
宇宙に浮かぶ巨大カジノ

*3
特殊な情報チップ。中には汚い妖精が住んでいた

*4
汚い妖精の愛銃

*5
神経伝達速度を極端にはやめ、周囲の時間が極限まで遅くなるほどの超加速を生み出すサイバーウェア

*6
腕のサイバーウェア。前腕に刃が格納されており、それを開放して攻撃できる

*7
サイバーパンクの世界における企業の総称

*8
人口約500万人の巨大な未来都市。治安が悪い

*9
ナイトシティーの郊外。荒れ地が広がっている

*10
ナイトシティーにおける通貨の単位。1エディーあたり大体200円とされている




Vの解像度が低いかもしれんくて済まぬ。二次創作は初めてなんや…

どこぞのエッジランナーズのコラボみたいに故人も出していきたいと思っている所存

次どこ行こうか?

  • ゲヘナ(多分賞金稼ぎ)
  • ミレニアム(多分サイバーウェア関連)
  • トリニティ(多分コネづくり)
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