もふもふをひろったら家がダンジョンになりました   作:一宮 千歳

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22話

簡単に決めてしまったが、時間帯責任者の人件費が月40万x人数は痛い。

メルカリでの家具販売を本格的にはじめなければ早晩死んでしまう。

 

- ぴろん -

- ダンジョンポイントショップの一部の商品に購入時オプションが追加されました -

 

どれどれ。

 

◻︎ eコマース(web通販)対応初期梱包サービス(+5DP)

◻︎ eコマース(web通販)対応SKUバーコード貼り付けサービス(+5DP)

 

……ごしごし。

 

目を擦ってもホログラム画面の文字列は変わらない。

SKUがなんだか知らないが、EC(eコマース)に必要なセットであることはわかる。

 

ねんのためgeminiに聞く。

 

「SKUバーコードってなに」

「SKUとはStock Keeping Unitの略で、在庫管理や商品管理の観点から「色・サイズ・デザイン」などバリエーションごとに細分化した最小の管理単位のことです。

自社ごとに独自規格で設定し、在庫管理に役立てることができます」

 

はえー。

 

「じゃあ、クッションAのカラー1が0000000001、クッションBのカラー1が、0000000002、ラグAが0000000003、とかでいいの?」

「厳密には桁ごとに大分類・中分類・小分類・商品番号・色・サイズなどのように区切ったほうがいいですが、理論上はその通りです」

 

ふーん。

 

しかし元の商品のDPが5のところにオプション付けると10DP加算か。まあその五千円で省ける手間、特に人件費を考えると、ものすごい楽なのでは?と思うが。

 

「メルカリとSKUバーコード管理を組み合わせた時のメリットは?」

「商品管理が楽になります」

 

そりゃそうだ。

……でもクロネコヤマトってたしかEC向け貸し倉庫やってなかったっけ? なんか組み合わせられそうな気がするぞ?

 

「クロネコヤマトってたしかEC向け貸し倉庫やってなかったっけ?」

「ヤマト運輸ではEC事業の梱包・発送を代行するサービスがありましたが、現在はサービスを行っていません」

 

あばばばば。よく調べたら2025年で終わってるらしい。まあ、採算取れるかわかんねえもんな。

 

ただ、梱包さえしてくれてるなら発送はずいぶん楽になる。

メルカリshops、青色申告したことないやつはお呼びでないときたので、法人登録について弁護士さんに相談しましょ、そうしましょ。

 

「従業員を雇ったので社会保険のため、あとメルカリshopsを使うので法人格化が必要そうです」

「おや、意外と遅かったですね」

「あはは。で、株式会社まのや、としたいのですが」

「株式会社ですね。発起人は真野様お一人ですか?」

「はい」

「事業は何を?」

「飲食店、小売、ダンジョン業ですね」

「資本金はおいくらで?」

「100万円で」

「本店所在地は?」

「うちの住所で」

「では定款(ていかん)作成しておきます。その後の雑務も引き受けますよ」

「え、これだけで?」

「プロですから」

 

プロ、すごいなー。

 

「でも30万円いただきます」

「ご、後日振り込みます」

「はあい。1週間後に定款出来ますよ」

 

やばい、DPを(家具とメルカリを挟んで)現金化しなきゃ。

LINEを打ち切り、ホログラム画面を開く。

 

一個サンプルになるのを5dpで出して、画像撮影。あとは梱包済みのものを、もう事業に足突っ込んでるけど一般メルカリで出す。以後繰り返し。

 

ててーん、ててーんと売れていく。いやマジで売れるの早いな。

中村ー。また来てくれー。

 

「中村ァ!」

 

LINEした。

 

「なんやねん」

「来てくんね?」

「肉チャータダなら」

「いいよ」

「ヨシ行く」

 

ということで中村が来た。時刻はもう昼だ。じいさんたちがすでに入店しているが、とりあえず中村を迎えてやる。

 

「よく来たDPよ」

「俺の扱いひどくない?」

「特別に治癒も受けさせてやろう」

「もう完治してんだけど」

「自分でわからない古傷とかあるかもしんないだろー」

「まあそうか」

 

中村をウンディーネのところまで連れていく。

 

「本人が気づいてないところも治してやってくれ」

「はーい」

 

ぽわぽわぽわ。これが治癒魔法か。エフェクトあるんだな。

 

「腰がちょっとダメージ溜まってましたねー。あとほかの関節も。体を大事にしないとダメですよー」

「おお?なんか可動域が広い?」

 

ぐりんぐりんと中村が体操する。

 

「あ、なんかわかんねえけどなんか楽だわ。すげえなウンディーネ」

「わーい、ほめられた〜」

「今日は泊まってけ」

「あいよ。そんなにDP欲しいの?」

「1日滞在じゃ足りんくらい欲しいな」

「それは俺の稼ぎがないなるからなあ」

「わかってるって。無理に引き止めないさ」

 

そういうことで店内に移動し、中村には肉チャーと茶を振る舞った。

 

「真野、飲食どうなの?」

「客単価が全然足りん、人件費以外の原価率は悪くないはずなんだが、人件費で赤字確定。道楽だよ完全に」

 

爺さんたちにも聞こえてるだろうが、言う。

 

「まあ爺さんが半日居座る、なんか単価出るわけねえな」

「だからメルカリに頼ろうと思ったんだけど、青色申告してないやつはお呼びでないみたいでさあ」

「そりゃ大変だな」

「んでもう会社登記しちゃおうってわけ。そのための資金繰りにお前というかDPが要る」

「梱包手伝いはいらなくなったの?」

「うん」

「なら俺はここでゴロゴロしながらテレビ見てればいいわけか」

「そういうことだな」

 

中村の相手を切り上げてじいさんたちにも世間話。

 

「実際どうですか、ここ」

「居心地ええよ。誰にも怒られんで済む」

「ごはんはどうです?」

「枝豆とビールばっかり頼んどるな。そろそろ他のつまみも出してくれんか」

「考えときますね。塩キャベツとかになりそうですが」

「おお、塩分がこわい」

 

これは本気でこわいやつだ。旨みのある、塩分を必要としないつまみ……やはりささみか?

 

「ゆでささみとかどうですかね」

「おお、じゃあ今度はそれにしようかの」

「待っててくださいね」

 

ささみ買わないとな。

 

「買い出し行ってくるー」

「はーい、行ってらっしゃいませー」

 

ぶろろろろ。業スーに来た。ぶっちゃけ初めてだ。

 

冷凍ささみを買う。うん、よし。

あ、野菜コロッケもいいな。これも買う。

あとドレッシング。備え付けにして、安値で素サラダを出そう。

ただまあ、極端な話、メニューレパートリーなんて別に必要ではない。爺さんたちがいる、それだけでDPが稼げるのだ。

そしてDP目当てなら、探索者にも来て欲しい。ダンジョン拡充してかないとなあ。と、悩みながら帰路につく。

 

風が強いな。ぶろろろろ。

 

帰って、中村に聞いてみる。

 

「中村ー。探索者の知り合いってどう?」

「稼げないダンジョンはなあ、って言われてるぞ」

「ぐぬぬ」

「ダンジョンとしちゃ狭いし」

「うぬぬぬぬ」

 

やはり拡張、拡張がいるのか。

 

「部屋ガチャ回すかなあ、20連ぐらい」

「まあそこは真野の好きにしろよ、まあ5部屋は狭いぞ」

「何度も言わなくていい!」

 

部屋ガチャぽちー。まずは10連。

 

- がちゃん -

★1 ふつうの部屋(Mサイズ)(維持費/0.5DP)

★1 ふつうの部屋(Mサイズ)(維持費/0.5DP)

★1 落とし穴の部屋(Mサイズ)(維持費/1DP)

★1 ふつうの部屋(Mサイズ)(維持費/0.5DP)

★1 ふつうの部屋(Mサイズ)(維持費/0.5DP)

★1 ふつうの部屋(Mサイズ)(維持費/0.5DP)

★1 ふつうの部屋(Mサイズ)(維持費/0.5DP)

★1 落とし穴の部屋(Mサイズ)(維持費/1DP)

★1 ふつうの部屋(Mサイズ)(維持費/0.5DP)

★2 いい感じの部屋(Mサイズ)(維持費/1DP)

 

泣くぞ。ていうかラインナップどうなってるんだ? ★1、二種類しかねえのか?

 

Sサイズの★1〜3ガチャを回してみよう。

 

- がちゃん -

★1 せまい部屋(Sサイズ)(維持費/0.2DP)

★1 せまい部屋(Sサイズ)(維持費/0.2DP)

★1 せまい部屋(Sサイズ)(維持費/0.2DP)

★1 せまい部屋(Sサイズ)(維持費/0.2DP)

★1 せまい部屋(Sサイズ)(維持費/0.2DP)

★1 せまい部屋(Sサイズ)(維持費/0.2DP)

★1 せまい部屋(Sサイズ)(維持費/0.2DP)

★1 せまい部屋(Sサイズ)(維持費/0.2DP)

★1 せまい部屋(Sサイズ)(維持費/0.2DP)

★2せまいなりにいい部屋(Sサイズ)(維持費/0.3DP)

 

き、キレそう。絶対これせまい部屋しかラインナップねえだろ。20DP返せ。

 

「最低レアリティにまともな価値があると思ったんですか?」

 

シャルロッテが厳しい。でも言われるとその通りで、回してしまったものは仕方ない。使うしかない。

 

どうするかな。少なくともローグライクでいい思い出がない、8部屋外周通路と格子迷路にはしない。

適当に部屋置くかあ。

 

ぽちぽちと配置していると、電話が来た。市役所?

 

「はい、もしもし」

「よかった、つながった。もしもし、射水市役所、防災・資産管理課ですが」

「はい、なんでしょう?」

「真野さんのお宅のダンジョン、市指定の避難所に認定できないか、という話が持ち上がっていまして」

「なんですと」

「どうでしょう?収容人数500人程度の余裕があると伺っていますが」

「ねえっすよそんなに」

「あれ、そうなんですか。でもダンジョンで、安全と聞いたんですが」

「安全ですが、まだ狭いんですよ。拡張は考えてますが」

「なるほどー。500人とはいかずとも、300人規模への拡張、いけます?」

「体育館くらいの環境なら、なんとかなるかと」

「助かります。それでは、書類を郵送しますので」

「はあい」

 

つー、つー。

 

「どうしよう中村。300人収容だって」

「拡張すりゃいいじゃねえか」

「二人用四畳半のSサイズ部屋50と四人用八畳のMサイズを50置くとして、単純に維持費が35DPマシに。あと1階層拡張に100DPかかるのが、三階層分くらい必要。そこに通路も必要だし。大幅にDP減る上、じいさんたちからのDPだと維持費が賄いきれない」

「受けてから考えるなよ……」

「いけるかなってどんぶり勘定したら無理っぽかった!助けて!」

「可能な限り泊まるから。分かったから。泣くな中年男性」

「よし。じゃあ使える部屋用にガチャを回そう」

「お前ガチャ回したいだけじゃね?」

「★3が見てみたいとかオモッテナイデスヨー」

「オモッテナイナライイカー」

 

理解のある友人で助かった。

 

「ほな回すか」

「がんばれ」

 

まずSサイズの方だ。こっちはせまい部屋しかなさそうなので計算が立てやすい。

 

- がちゃん -

- がちゃん -

- がちゃん -

- がちゃん -

- がちゃん -

- がちゃん -

 

結果は〜。

★1 せまい部屋(Sサイズ)(維持費/0.2DP)x53

★2 せまいなりにいい部屋(Sサイズ)(維持費/0.4DP)x3

★2くさい部屋 (Sサイズ)(維持費/0.1DP)x2

★2 茶室(Sサイズ)(維持費/0.5DP)x1

★3 金箔塗りの茶室(Sサイズ)(維持費/1DP)x1

 

「せまい部屋50達成」

「おー」

「続けてふつうの部屋をガチャで引く……!」

 

- がちゃん -

- がちゃん -

- がちゃん -

★1 ふつうの部屋(Mサイズ)(維持費/0.5DP)x18

★1 落とし穴の部屋(Mサイズ)(維持費/1DP)x8

★2 いい感じの部屋(Mサイズ)(維持費/1DP)x4

 

「★2しか出てなくて吐きそう」

「ソシャゲあるある」

 

- がちゃん -

- がちゃん -

- がちゃん -

★1 ふつうの部屋(Mサイズ)(維持費/0.5DP)x16

★1 落とし穴の部屋(Mサイズ)(維持費/1DP)x9

★2 いい感じの部屋(Mサイズ)(維持費/1DP)x4

★2 くさい部屋(Mサイズ)(維持費/0.2DP)x1

 

「くさい部屋ってのがあるんだけどさ」

「どう聞いてもハズレ枠です、本当にありがとうございました」

 

- がちゃん -

- がちゃん -

★1 ふつうの部屋(Mサイズ)(維持費/0.5DP)x15

★1 落とし穴の部屋(Mサイズ)(維持費/1DP)x3

★2 いい感じの部屋(Mサイズ)(維持費/1DP)x2

 

「渋い、渋すぎる」

「1DPでよかったな。2DPだったら憤死してるぞ」

 

- がちゃん -

★1 ふつうの部屋(Mサイズ)(維持費/0.5DP)x1

 

「50集まったので撤退!撤退です!」

「81連で50/20/10/1って綺麗な分布だな」

「確率は収束するって感じの出方だったわ」

 

確率とかどこにも書いてねえけどな。

 

「で、トイレとか風呂どうするの」

「あ」

 

ふつうの部屋を追加ガチャした。

 




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