物語の舞台はまどマギ世界を軸としていますが、そこに真・女神転生の設定が加わります。なお真・女神転生はナンバリングの登場人物などとは関係せず、独自のキャラクターが物語に関わります。見覚えのあるシーンはオマージュとして見ていただければ幸いです。
世界観が大きく変わるので、キャラ崩壊があります。
私なりの解釈で、キャラクター達は世界観に沿って行動します。魔法少女まどか☆マギカと真・女神転生の世界観に慣れた人向けのクロスオーバーです。
宇宙の果て。
星々が輝くはずの空間に、かつてないほどの静寂が広がっていた。
無数の銀河を俯瞰する巨大な神殿。その中央に、四つの玉座が置かれている。
そこに座すのは、四大天使。
ミカエル
ガブリエル
ラファエル
ウリエル
彼らは人間界ではなく、宇宙そのものを見つめていた。
やがて中央に一つの光が現れる。
それは宇宙の状態を示す、巨大な観測記録だった。
無数の数値が流れていく。
ミカエルが低く呟く。
「宇宙のエントロピーは増大を続けている。」
「ありふれたエネルギーは、やがてあらゆるモノの熱的差を均一とする。」
沈黙の後、ウリエルが口を開く。
「では、熱力学に捕らわれないエネルギーを利用しませんか?」
四大天使はその言葉の意図を理解し、ラファエルが続ける。
「宇宙の規格とは外にある"魂"。」
ガブリエルが続ける。
「感情の起伏にのみ作用するエネルギー…希望や絶望、その瞬間のエネルギーを宇宙の維持に利用するという訳ですね。」
ミカエルが立ち上がり、超常的な力によって小さな小動物のような新たな存在を創る。
白い身体に赤い瞳。
「コレを
そして一つの観測記録を表示する。そこに映されたのは人間そのものであった。
笑う者、泣く者、愛する者、絶望する者
そして絶望から再び希望を抱く者。
「人間の奇妙さは、極めて感情的なところにある。極端な希望を抱き、極端な絶望を感じ取る。それはどの生命体をも凌駕する。」
「
ガブリエルが問う
「その力を得た希望によって、エネルギーを獲得できると…。」
ミカエルは答えなかったが、代わりに自身の話を続ける。
「契約した人間が力が底を尽きた時、人間は悪魔のような存在に変わるだろう。その時、希望を見た人間は極端な絶望をする。極度の相転移が宇宙を生かすのだ。」
ウリエルが静かに提案する。
「第二次性徴期に当たる人間…それも女に限らせるという のはいかがでしょう。過剰な自意識と、他人への意識が一番敏感な時期でごさいます。」
ミカエルは納得し、
「観測者であり、システムよ。宇宙の維持の為、貴様は創られた。人間を観測し!この宇宙の"秩序"を守るのだ!!」
四大天使が剣を掲げる。
「…全ては…秩序の為に!」
―――――――――
鹿目まどかが廊下を駆ける。
あの人が戦っているから。見届けもせず、ただ待つことはできない。
非常口の灯りが緑を照らしている。
扉を開けると、荒れ果てた街が視界に広がる。
破壊されたビルが空に落ち、上空には逆さに吊るされた動く舞台装置がいた。
舞台装置を倒すべく、一人の少女は戦っている。
黒い長髪の少女は必死に抗うが舞台装置の攻撃には敵わず、赤い魔力が彼女を吹き飛ばす。
「ひどい…」
白い生き物がまどかに言う。
「仕方ないよ、彼女一人では荷が重すぎた。」
「でも、彼女も覚悟の上だろう。」
自分と同じくらいの娘が傷ついているのに、自分には何もできない。まどかが嘆く。
「そんな…あんまりだよ!こんなのってないよ!」
まどかは惨状を見ていられず、目を背けてしまう。
黒髪の少女は何かを叫ぶ。その声は誰の耳にも届かなかった。
「諦めたらそれまでだ。でも、君なら運命を変えられる。」
「避けようのない滅びも、嘆きも、全て君が覆せばいい。その為の力が全て君には備わっているんだから。」
まどかが顔をあげる。
「あ…本当なの?私なんかでも…本当に何かできるの?こんな結末を変えられるの?」
白い生き物はまどかに答える。
「もちろんさ。だから僕と契約して…」
「魔法少女になってよ!!」
20✕✕年
グンマ県 ミタキハラ
明るい光に照らされ、まどかは目を覚ました。
「……結局夢オチ?」
いつも通りの朝、家庭菜園をする父に気持ちよく挨拶をする。
「おはよう〜パパ」
穏やかな表情で父が振り向く。
「おはようまどか、ママとタツヤは先に朝ご飯食べてるよ。」
父に元気よく返事し、リビングで朝食をする母と弟にも
「おはようタツヤ!ママもおはよう!いつもより起きるの早いね?」と母に聞く。いつもならタツヤと一緒に起こす母だが、今日に限ってはすでに出発の準備をすませている。
母がコーヒーを飲み干す。
「まあね〜ホラ、最近物騒じゃん。昨日駅で騒ぎがあって遅延しちゃったんだ。だから珍しく早起きってわけさ。」
まどかが少し不安気な表情で言う。
「えっと…なんとか教団ってやつだっけ。クラスの子も声かけられたって…。なんか怖い…あんまりそういうの分からないけど、悪い事が起きないといいなぁ…。」
「まどか、今日赤い方のリボンつけて学校行きな。」
「えっ?」
「自信つけな、女は舐められたら終わり。」
まどかが恥ずかしそうにしながら
「あれちょっと派手じゃない?…でもママが言うなら…そうしよっかな!」と表情に元気を取り戻した。
母がタツヤと父にキスし、まどかにハイタッチする。
「うっし!じゃあ行ってくる!」
「いってらっしゃーい!」
――――――――――――
トウキョウ都 シンジュク区
寮の起床の音楽で目を覚ました。
憂鬱の朝に、二段ベッドから体を起こすと同時にスマートフォンを開く。SNSを開き、ネットの話題をチェックする。
すると、ベッド下の段から声が聞こえる。
「6:30ってよ…早すぎるってのな。行こうぜレオ、俺達アイツより早く行かねぇとだし…。」
上段ベッドに寝ていた彼の名は"
寮生高校に暮らす普通の男子高校生だ。
下段から話しかける彼は
レオと同じ部屋で生活する同級生の男子である。
陽気に振る舞おうとする気を使っているが、人間関係に躓きがちな。
レオが寝起きなりの適当な返事をし、ベッドから降りる。
圭一が寝癖を整えながら話し始める。
「ツいてねぇよな。朝に掃除やらされるなんて…俺等そもそも当番じゃねぇじゃん。」
レオが制服に着替えながら愚痴る圭一と会話する。
「…圭一、朝から愚痴らないでくれよ。もうちょい楽しい話題ないか?」
「楽しい話題ぃ…?ん〜〜…あ、今日モンプトが10連分配布あるらしい。通知来てない?」
「確認する。…ん?」
通知欄を確認すると、見知らぬファイルが読み込まれていた。
「なんだコレ、送り主…スティー…ぶん?だれだよ。」
「どうかしたか?」
「なんかウイルスみたいなのが読み込まれてた。」
「エロいサイトばっか見てるからだろ。」
(コイツこういうとこだよな。)
レオがスッと通知をスワイプし、ファイルの事は後回しにする事にした。制服に着替え終えたので、机から部屋のキーを取り出す。
「さっさと行こう。北岡の奴に蹴られたくないだろ。」
「ん…もう寝癖はいいや。行こうぜ。」
2人が部屋を出て廊下へ向かう。ロッカーからほうきを取り出し、掃き掃除を開始する。
一通り掃除すると、廊下に数人が集まってきた。その中心には、リーダーの
レオが北岡と目が合う。すると、北岡の口角が分かりやすく片方上がった。取り巻き達も笑い始めたので、2人のことをバカにしているのは確かである。
圭一がムカついたのか、表情が険しくなっている。
「おい圭一、あんまガン飛ばすなよ。」
レオが小声で言うと、圭一は冷静になって表情が落ち着いた。
すると、北岡達が2人の側までやってきた。
「よぉ紡木クン、それと木暮堂。毎朝わざわざ偉いじゃんか。もう帰っていいからホウキ、さっさと寄越せよ。」
北岡はこの高校の不良グループのリーダーであり、ワルいやつらの中ではカリスマ的存在であり、喧嘩では負け知らずの男である。暴力沙汰で問題を起こしたのでしばらく掃除当番をさせられているが、レオと圭一に押し付けている。
「…分かった、北岡。」とレオがホウキを手渡す。
しかし、圭一は下を向くだけでホウキを北岡に渡さない。
北岡が目を細め、圭一にもう一度言う。
「…さっさとホウキ渡せって言ってんだよ。センコーにバレたら面倒だろうが…。俺がキレる前にさっさとしろよさっさとしろ!!」
バンッッ!!!
とロッカーを激しく蹴った。
取り巻き達も圭一に睨みを利かせている。
まずいと思ったレオが圭一からホウキを無理矢理奪い、急いで北岡に渡す。
「…ごめん。コイツには俺が言っておくから…」
と頭を下げる。
「…ふん。弱いクセに意地張ってんじゃねーよ。木暮堂、紡木に感謝するこったな。」
(さすがの北岡もこんなとこで騒ぎは起こしたくないだろうしな。)
レオと圭一が部屋へと戻る。道中で会話はなかった。
部屋へ戻り、鍵を閉めた所でようやく圭一が口を開いた。
「お前苛つかねぇのかよ。あんな奴らの言いなりになんかなってよ。」
「圭一…お前の気持ちも分かるけどな。正直なこと言うと、掃除するだけで済んでるならそれでいいんじゃないか?アイツに病院送りにされたやつだっている。北岡はこの学校のルールと言ってもいい。」
レオが自分の気持ちを打ち明けると、圭一が机を叩いた。
「そういう考え!情けないだろ!!無様に強いやつに従うなんて…!お前は勝手に流されてろよ!!」
部屋に沈黙が流れる。
「……悪い言い過ぎた。もう朝食の時間だろ?俺は…いい。行ってこいよ。」
「あ…あぁ、行ってくる。」
レオが早々と部屋を出る。いつもならレオを置いて先に食堂へ行くほど食べるのが好きな圭一だが、今日に至っては本当に食欲がないようだ。しかし、レオは圭一の言葉が心に響いていた。
「……流されてる…か。」
これまでの人生、自分で考えて生きてはいなかった。
誰かに道を教えてもらえないと進むことのできないラジコンのような人間。
「そんなこと…分かってる。」
廊下を歩き、曲がり角を越えると突然人気がなくなった。
さっきまで会話しながら食堂へ向かう生徒は何人かいたはずだが、忽然と姿を消した。廊下に誰もいなくなる。
暗い廊下に佇む、一人の車椅子の男を除いて。
車椅子の男は不適な笑みを浮かべるなり、レオに語りかける。
「…私は二つの物事から一つを選択する立場になった際、まずは両者の考えを聞きたいね。しかし、人は皆後ろめたいことは隠したがる。」
車椅子の男の放つプレッシャーに押され、レオは一歩後ずさる。
「…自分の全てを知られるというのは、誰にとっても都合がよくない。それは、悪魔だろうとね。」
「……悪魔?」
レオは先程届いていたファイルの事を思い出す。
「…どうやら届いていたのは君で間違いないようだ。」
「私が君に悪魔召喚プログラムを送った本人…STEVENと呼んでくれたまえ。」
冗談を言っているという雰囲気ではない。
「あなたが…STEVEN。あれはいったいなんなんだ…!それに悪魔って…選択って!」
「いいじゃないか…まさに私の求めていた人間。悪魔召喚プログラムを持つに相応しい…。」
「答えになってない!」
「悪いね。しかし教えすぎるのも良くない。最低限の事を君に教えよう。」
STEVENがレオのスマホを指差すと、スマホが振動した。
画面を見ると、悪魔召喚プログラムが開かれていた。
「この世界には様々な伝承がある。それによって生まれた神や悪霊、そのような超常的存在を悪魔と総称する。」
「悪魔はこの世界に存在する。そして我々に牙を向ける。悪魔に対抗するために生み出されたのが、悪魔召喚プログラム。交渉によって、君の
レオが悪魔召喚プログラムを操作してみるが何も起こらない。
「まずは悪魔と出会う事だね。なぁに直ぐに会えるさ。…フフフ、既に君は大いなる戦いに引きずり込まれたのだからね…。」
これは…少年少女のプロローグ。
物語はコレより波乱を巻き起こす。