…私は…まどかが大切だから。
何もなかった私を救けてくれたのはまどかだった。
…私の名前…暁美ほむらをカッコいいと言ってくれた。
でも、私の憧れたまどかは死んでしまった。
皆を守るために、自分を犠牲にして…!
…だから私は願った。
「鹿目さんとの出会いをやり直したい。彼女に守られる私じゃなくて、彼女を守る私になりたい!」
そして私は、力を手に入れた。時間遡行でまどかとの出会いをやり直し、彼女と戦った。
何度も…何度もこの1ヶ月間をやり直した。
それでも…まどかを救えなかった。
どのループでもまどかは魔法少女になってしまう。
…キュウべえとまどかを契約させるわけにはいかない。
そして辿り着いたのがこのイレギュラーの世界
―――「あなた達は何?私はあなたを知らない。」
白い翼の生えた女性?の背後へ回るり、ほむらが銃を構え、一人に向ける。
「何…!?いつの間に背後を!」
他2人が魔力の光弾を放とうとするが、ほむらは銃を背後を取った一人の後頭部に当てる。
「分からないかしら?私は尋問をしているの。もう一度聞くわね、あなた達は何?」
「…!分かった…答えよう。」
光弾を鎮め、ほむらの話に答える姿勢に入る。
「…私達は
「天使?……あなた達は何故キュウベェを助けたの?」
「…決まっておるであろう、
ほむらが額に手を当てる。
(話についていけない…でも、前までの世界の常識とは違う事は分かる。インキュベーター様…それはきっとキュウべえの事で間違いない。)
(それに、魔法少女ならそれを知っているという前提がある。…何かが原因で、魔法少女のシステムを隠すことはできなくなったのかしら。ということは…)
ほむらが結論を出した。
「あなた達には、敵対する勢力がいるのね?」
「その通りだが…貴様、まさか魔王軍の事も知らないのか?」
「魔王軍?…天使軍の次は魔王?なんだか悪と悪って構図に見えるわね?」
すると、1体の天使が光の光弾をてに浮かべた。
「貴様…!天使軍を愚弄するか!!もう尋問には応じていられん!!」
光弾を盾で受け止めるが、受け止めきれずに弾かれてしまう。銃を突きつけられていた天使も開放され、形勢が逆転してしまった。
「…まぁ、充分よ。それに…あなた達は
盾の砂時計に魔力を込める。…その瞬間、ほむらを除いた全てが止まった。
「よくもやってくれたわね…あんまり時間をかけたくないから、乱暴な事をさせてもらう。」
ほむらが盾から一つ、冷たく重い手榴弾を取り出した。
停止した天使達から距離を取り、ピンを引き抜く。
「ショッピングモールで爆発事件なんて洒落にならないでしょうね…。全部あなた達のせいってことにするわ。」
時が動き出した瞬間、
天使達は爆発し、跡も残らず消え去った。
既にほむらは改装中のエリアを出ており、見失ったまどかを追う事にした。
未確定の要素が多いため、尚更キュウベェとの接触をさせたくはない。
その時、辺りの景色が絵本のように散りばめられた不気味な空間へと変化した。
「こんなときに…!コレまでのループなら彼女が助けていたけれど…まどか!」
魔女の結界へと時間を止めながら走る。
同じ頃、
まどかとさやかの2人は、正体の分からない白い獣を抱え、ほむらから守るべく必死に逃げているが、同様に異空間へと引きずり込まれた。
「あれ、非常口は?どこよここ!」
さやかがまどかの前を走るが、再び訪れた異常な事態に足を止める。
「変だよここ…どんどん道が変わっていく。」
まどかとさやかが背中合わせになる。
いるだけで精神がおかしくなってしまいそうな空間だが、平面的なシルエットの謎の生物までおり、まどか達を覗いている。
チョビ髭をつけた綿がまどかを囲い、ドイツ語で唄を歌っている。
「ねぇ…悪い夢でも観てるんだよね?ねぇ…まどか!」
さやかがまどかを守ろうと肩を抱くようにしているが、内心錯乱を隠せない。
綿の手下たちは歯を剥き出しにし、2人に襲いかかろうとしている。2人が震えていると、天井から鎖が流れ落ちてきた。2人を台風の目のように中心にし、綿の手下を蹴散らした。
直後に爆風が起き、空間は元に戻った。
「危ないところだったわね。でももう大丈夫。」
強く黄色い光に照らされる金髪の縦ロールの少女がそこにいた。ほむらと同様にコスプレのような衣装をしており、その手には光源となっている宝石があった。
「インキュベーター様を助けてくれたようね。……ありがとう。その子はとても大切だから。」
落ち着いた雰囲気で2人に話しかける。
「私、呼ばれたんです。頭の中に直接この子の声が。」
まどかの胸に抱かれるインキュベーターを見るなり、少女は少し表情が暗くなった。しかし少女は顔をあげ、直ぐに作ったような笑顔を見せる。
そこに、黒い影が到着した。
「…魔女は私が倒したわ。もう帰りなさい。コレはあげてもいいわよ。」
金髪の少女がほむらに黒色の種のような塊を見せると、
ほむらは少し反応を示した。
「魔女は…あなたが倒したの?」
「質問をしたのは私のはずよ?」
ほむらが金髪の少女に目を合わせる。
(あなたは…誰よりも強くて、そんな空っぽのような目をする人間じゃない…なにがそうさせたの?巴マミ。)
ほむらが引き下がり、姿を消した。
その悔しさに滲んだ表情を隠して。
「…飲み込みがいいのね。」
巴マミがそう呟くと、
まどかとさやかはホッと安心した。
3人はインキュベーターの傷を処置することにした。
薄暗い部屋の中で、魔法の優しい光が照らされる。その光に包まれ、インキュベーターに魔力が送られた。
「ありがとうマミ。助かったよ!」
「いえ…私は通りかかっただけです。この子たちが助けてくださいました。」
キュルリとまどかの方へと振り向く。
「どうもありがとう、僕の名前はキュウべえ!」
「キュウべえ?」
先程マミが呼んでいた名前と違っている。
「キュウべえはあだ名みたいなものさ。僕の本名はインキュベーター。どっちで呼んでくれても構わないよ。」
「…キュウべえが私を呼んだの?」
「そうだよ、鹿目まどか。それと美樹さやか。」
いま偶然出会ったかに思われたキュウべえに名前を当てられた。さやかがそれを疑問に思う。
「えっ、なんであたし達の名前を?」
「僕、君達にお願いがあって来たんだ。」
「お…お願い?」
満面の笑みを浮かべ、キュウべえは言った。
「僕と契約して、魔法少女になってほしいんだ!」
この日、まどかに出会いが訪れた。
この先の別れを、彼女はまだ知らない。
―――――――――
レオが目を覚ますと、自分を襲っていたガキが倒れていた。赤い塵のようなものとなりながら、ジリジリと消えていく。
「…なんだ、いつの間に!なにが起きてたんだ…。」
辺りを見回すと、ゴチャゴチャとした空間になっている。
現実味のないコラージュのような空間に、一人レオは立ち尽くしている。
「…とにかく誰か探そう。寮に戻らなくては。」
「さっきみたいなヤツ…悪魔に襲われたら不味いな。…意味があるか分からないけど、これを持っておこう。」
筆記用具入にあったカッターナイフを取り出し、慎重に進む。
すると近くから何か音が聞こえた。
よく耳を澄ましてみると、誰かの声に聞こえる。それも女性だ。
「助けて助けてー!!誰かーー!!」
手のひらくらいのサイズをした女性が目の前を飛んでいる。レオの顔に激突し、ヒラヒラと落ちる。
「う…うわ!…また悪魔か!」
カッターナイフを向けると、妖精はバタバタと慌てだす。
「ちょっとタンマ!!それしまって!」
その時スマホが震える。悪魔召喚プログラムが開かれており、そこには妖精ピクシーと表示されている。
ピクシーはレオの手に触れて涙目になる。
「お願い!怖い悪魔に襲われてるの!!助けて!!」
「怖い悪魔…?」
ピクシーが逃げてきた方向を見ると、三つの棘がギラつくピッチフォークを持つ悪魔がそこにいた。
悪魔召喚プログラムを見ると、妖鬼ダイモーンと表示された。
「グヒャヒャヒャヒャァァァ!!!」
ダイモーンがコウモリのような羽根を暴れさせながらこちらへ向かってくる。
それを見たピクシーがレオの服の袖を掴んで慌てる。
「ほら来た!!オニーサン助けて!!」
「助けてって言われても!じゃあ2対1で戦うのはどうだ!?」
「守ってくれないのー!?じゃあそれでいいから!しっかり助けてよね!!」
ダイモーンがピッチフォークを構える。
狙いはレオであり、針が触れようとしている。
「なんでかな…けっこうやれるかもしれない!」
レオが両手でピッチフォークを受け止めた。
ダイモーンはグッと突き刺そうと力を込めるが、受け流して装飾品のような背景に突き刺した。
「やるじゃない!!私もサポートするね!」
「せーっの!ザン!!」
ダイモーンに向けて緑の衝撃が与えられた。
立て続けにレオはカッターナイフを突き刺した。
「ギャァァァ!!」
ダイモーンが奇声をあげる。
しかし余計に暴れはじめ、槍がレオの腕に突き刺さる。
ダイモーンは笑みを浮かべて滅多裂きにする。
「…ぐあァッ!」
「大丈夫!?まかせて!チャララン!」
ピクシーが魔法を唱えると、レオの傷が少しずつ治る。
レオが自分の体を見つめ、悪魔の使う魔法の凄みを感じる。
「これが悪魔の力…!」
「そーそー!アタシって結構やるでしょ!でももうヘトヘトだから、さっさとソイツ殺してよ!」
「…あぁ、分かった!」
ダイモーンの首を左手で掴み、右手で殴りつける。
苦しみ、中に浮く体力もなくなってきたようだ。
抵抗ができなくなったところで
ピッチフォークを頂き、ダイモーンに突き刺してトドメを刺した。
「ハァ…ハァ…生きてる。」
「あ〜よかった!私だけだったら殺されてたな〜!」
お互いの存在が不可欠であったことを実感しながら、
自分の命がなくなっていないことを実感する。
レオはピクシーにいろいろと質問する事にした。
「なあピクシー、ここはどこだ?」
「ここ?魔女の結界の事?」
「あぁ…この異様な雰囲気の空間だ。」
ピクシーがレオの顔をじーっと見つめる。
「あなたもしかしてニンゲン!?」
「…いま気づいたのか。」
「男だから魔法少女ではないと思ってたけど…強いニンゲンもいるのね〜。助けてくれたし説明してあげよっか!」
魔女の結界を歩きながら、レオの周りを舞うピクシーがいろいろな事を説明する。
「悪魔の事は知ってるのよね?」
「まぁ、なんとなくだけど。謎の男が俺に教えてくれたんだ。」
先程のSTEVENの姿が頭に浮かぶ。
ピクシーが口元に指を当てて考える。
「え〜っとね、じゃあ魔女の事からかな。」
「魔女…悪魔とは違うんだな?」
「そう!魔女はこんな感じの結界を作って閉じこもってるんだ!」
人差し指を立ててピクシーがさらに説明する。
「魔女は目をつけたニンゲンを事故を装ったり、結界に引きずり込んで殺すの。」
「俺は魔女に引きずり込まれたって訳か。悪魔も一緒なのか?」
「ううん、悪魔は魔女の結界を通して魔界から現世にやってくるの。」
「魔界…知らないことが多いな。」
レオが自分のスマホにある悪魔召喚プログラムのことが気になった。足を止めてピクシーに見せてみる。
「ピクシー、そこまで詳しいならコレのことも聞きたい。」
「えっへん任せて!」
ピクシーが悪魔召喚プログラムを見るなり、画面を触ったりコンコンと叩く。ピクシーが首を傾げたかと思えば
「これはどうやって食べるの?」と聞いてきた。
「…スマホの説明をするべきだったか。…いや、なんでもない。」
「ある男によると、これは仲魔にした悪魔を召喚できる物らしい。きっと現世にだって連れていける。」
「現世に!?なにそれすごーい!」
レオはチャンスと思い、ピクシーに提案する。
「じゃあピクシー、俺の仲魔にならないか?」
「なるなる!!」
自分一人で魔女の結界から出られるとは到底思えない。
だからこそ悪魔は仲魔にしておきたい。
「じゃあねじゃあね〜?」
「ん?」
「私¥452欲しいな〜!」
「金とるのか?」
「win-winな関係が一番よね!」
ピクシーが満面の笑みで言うので、しぶしぶ財布を取り出した。
「うふふ ありがとう!私ピクシー!コンゴトモヨロシク!」
「…まったく現金だな。頼んだぞ。」
新たな仲魔ピクシー
悪魔と契約し、レオは前へ進む力を手にした。
トウキョウの悪魔召喚師紡木レオ
ミタキハラの魔法少女の才覚鹿目まどか
彼らの物語はこの瞬間
動き出した。