ポケットモンスターブラウン   作:光宙

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12話 いじっぱりバルキー!仲間への一歩!

ヤマブキシティを出発して、しばらく。

 

マサヒロたちは、シオンタウンへ向かう道を歩いていた。

 

「バルキー、こっちだぞ!」

 

「バルキー!」

 

バルキーは元気よく走り、マサヒロの前を行ったり来たりしている。

 

「ずいぶん元気な奴だな」

 

マサヒロは笑った。

 

「イーブイ!」

 

イーブイも楽しそうに鳴く。

 

その後ろでは、フシギソウ、スピアー、ミニリュウも歩いていた。

 

「これで仲間は五匹か……」

 

マサヒロはモンスターボールを見渡す。

 

「みんなで力を合わせれば、もっと強くなれるな!」

 

「バルキー!」

 

バルキーが拳を突き上げる。

 

「お前もやる気満々だな!」

 

マサヒロが頭を撫でる。

 

しかし――

 

「バルキー!」

 

突然、バルキーが道の脇へ走り出した。

 

「おい、バルキー!」

 

マサヒロが慌てて追いかける。

 

バルキーが向かった先には、木の根元に落ちた木の実があった。

 

「それが欲しかったのか?」

 

「バルキー!」

 

バルキーは木の実を両手で抱えると、マサヒロたちに背を向けた。

 

「こらこら。みんなで分けて食べような」

 

「バルキー!」

 

バルキーは木の実を抱えたまま、首を横に振る。

 

「……もしかして、独り占めするつもりか?」

 

「バルキー!」

 

バルキーは胸を張った。

 

「まったく……」

 

マサヒロが困っていると、イーブイがバルキーの前へ歩み寄った。

 

「イーブイ」

 

イーブイは自分の持っていた木の実を、バルキーの前へ置いた。

 

「イーブイ?」

 

バルキーが驚いたようにイーブイを見る。

 

イーブイは木の実をバルキーへ押し出した。

 

「みんなで食べようってことだな」

 

マサヒロが笑う。

 

「バルキーも、仲間なんだからさ」

 

「バルキー……」

 

バルキーはしばらく木の実を見つめていた。

 

やがて、抱えていた木の実を地面へ置いた。

 

「バルキー!」

 

「よし!」

 

マサヒロは木の実を分け、仲間たちへ配った。

 

「これからは、何でもみんなで分けるんだぞ」

 

「イーブイ!」

 

「バルキー!」

 

バルキーは元気よく返事をした。

 

* * *

 

しばらく歩いたところで、マサヒロたちは小さな川を見つけた。

 

「ちょっと休憩するか!」

 

「イーブイ!」

 

みんなが川辺へ集まる。

 

フシギソウは水を飲み、ミニリュウは川の中を気持ちよさそうに泳いでいる。

 

「ミニリュウ、楽しそうだな!」

 

「ミニ~!」

 

その様子を、バルキーは少し離れた場所から見ていた。

 

「バルキー?」

 

マサヒロが声をかける。

 

「どうした?」

 

「バルキー!」

 

バルキーは腕を組み、そっぽを向く。

 

「……まだみんなと仲良くする気はないのか?」

 

「バルキー!」

 

「そうか……」

 

マサヒロは苦笑する。

 

その時、スピアーがバルキーの前へ飛んできた。

 

「スピアー!」

 

「バルキー?」

 

スピアーは両腕の針を構える。

 

「スピアー!」

 

まるで「勝負しよう」と言っているようだった。

 

「おっ、スピアーが誘ってるぞ」

 

「バルキー!」

 

バルキーの目が輝く。

 

「やる気になったか?」

 

「バルキー!」

 

バルキーも拳を構える。

 

「スピアー!」

 

「バルキー!」

 

二匹が向かい合う。

 

しかし――

 

「待て待て!」

 

マサヒロが慌てて二匹の間に入った。

 

「ここでバトルしたら川に落ちるぞ!」

 

「バルキー……」

 

バルキーは残念そうに拳を下ろした。

 

スピアーも少し困ったように羽を動かす。

 

「まあ、いつかちゃんとバトルしような」

 

「バルキー!」

 

バルキーは笑顔になった。

 

* * *

 

その日の夕方。

 

マサヒロたちは森の中で野営することにした。

 

「今日はここで休もう」

 

マサヒロが薪を集めていると、バルキーが近くの木を見上げていた。

 

「どうした?」

 

「バルキー……」

 

木の枝には、木の実がいくつも実っている。

 

バルキーは木へ向かって拳を振った。

 

「バルキー!」

 

しかし、木の実には届かない。

 

「もう少しだ!」

 

バルキーは何度も跳び上がる。

 

だが、なかなか届かなかった。

 

「バルキー!」

 

ついに足を滑らせ、地面へ尻もちをつく。

 

「大丈夫か!?」

 

マサヒロが駆け寄る。

 

「バルキー……」

 

バルキーは悔しそうに拳を握った。

 

「無理に一人で取らなくてもいいんだぞ」

 

「バルキー!」

 

バルキーは首を横に振る。

 

「自分で取りたいのか?」

 

「バルキー!」

 

マサヒロは少し考えた。

 

「じゃあ、みんなで協力しよう」

 

「イーブイ!」

 

イーブイが木の根元へ走る。

 

フシギソウがつるを伸ばし、枝を引き寄せる。

 

「スピアー、枝を切ってくれ!」

 

「スピアー!」

 

スピアーが枝の近くへ飛び、針で細い枝を切り落とす。

 

木の実が地面へ落ちてきた。

 

「今だ、バルキー!」

 

「バルキー!」

 

バルキーが跳び上がり、落ちてきた木の実を受け止める。

 

「やったな!」

 

「バルキー!」

 

バルキーは木の実を抱え、仲間たちのところへ戻ってきた。

 

「今度はちゃんと、みんなに分けるんだぞ」

 

「バルキー!」

 

バルキーは木の実を一つずつ仲間たちへ渡していった。

 

「ずいぶん成長したな」

 

マサヒロは嬉しそうに笑った。

 

「バルキー!」

 

* * *

 

夜。

 

焚き火を囲みながら、マサヒロは空を見上げていた。

 

「ヤマブキシティでは、いろいろあったな」

 

「イーブイ」

 

「ナツメとのバトルに、格闘道場の師範代。それに……」

 

マサヒロはバルキーを見る。

 

バルキーは焚き火のそばで、スピアーの動きを真似して拳を振っていた。

 

「新しい仲間か」

 

「バルキー!」

 

「お前もいつか、ジム戦で活躍できるようになるかな?」

 

「バルキー!」

 

バルキーは力強く拳を突き上げた。

 

「そうだな。俺たちももっと強くならないとな」

 

マサヒロはミニリュウのボールを見る。

 

「ミニリュウも、リョウとのバトルで負けたままだ」

 

「ミニ……」

 

ボールの中から、ミニリュウの声が聞こえた。

 

「次に会った時は、絶対に勝つ」

 

「イーブイ!」

 

「スピアー!」

 

「バルキー!」

 

仲間たちが声を合わせる。

 

マサヒロは拳を握った。

 

「次のジムも、その次のジムも、全部勝ってやる!」

 

* * *

 

翌朝。

 

マサヒロたちは再び道を歩き始めた。

 

「次の目的地は……」

 

マサヒロは地図を広げる。

 

「シオンタウンだ!」

 

「イーブイ!」

 

「バルキー!」

 

バルキーはマサヒロの隣を歩いている。

 

昨日までよりも、少しだけ仲間たちとの距離が近くなっていた。

 

その時、森の奥から大きな音が聞こえた。

 

ドンッ!

 

「なんだ!?」

 

マサヒロたちが振り返る。

 

木々の向こうから、何かがこちらへ近づいてくる。

 

「イーブイ!」

 

「バルキー!」

 

マサヒロはモンスターボールへ手を伸ばした。

 

「みんな、気をつけろ!」

 

森の中から姿を現したのは――

 

大きな影だった。

 

「……あれは、何だ?」

 

影はゆっくりとこちらへ近づいてくる。

 

マサヒロたちは身構えた。

 

新たな町へ向かう旅の途中で、またしても事件が起ころうとしていた。

 

「よし……!」

 

マサヒロは拳を握る。

 

「みんな、行くぞ!」

 

「イーブイ!」

 

「バルキー!」

 

「スピアー!」

 

森に、仲間たちの声が響き渡った。

 

次回へ続く。

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