ポケットモンスターブラウン   作:光宙

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17話 ゲンガーの想い!ポケモンタワーの秘密!

朝。

 

シオンタウンには、まだ薄い霧が残っていた。

 

「……やっぱり、気になるな」

 

ポケモンセンターの前で、マサヒロはポケモンタワーを見上げていた。

 

昨日のことが、頭から離れない。

 

ゲンガー。

 

そして、あのゴースト。

 

「イーブイも気になるのか?」

 

「ブイ……」

 

隣にいたイーブイが、ポケモンタワーを見つめている。

 

「よし。もう一回行ってみるか」

 

「ブイ!」

 

マサヒロが歩き出す。

 

フシギソウ、スピアー、ハクリュー、バルキーも後に続いた。

 

* * *

 

ポケモンタワー。

 

中へ入ると、昨日と同じように静まり返っていた。

 

「……誰もいないな」

 

マサヒロが辺りを見回す。

 

その時。

 

「ゴース……」

 

「!」

 

昨日のゴーストが、柱の陰から姿を現した。

 

「お前!」

 

ゴーストはマサヒロたちを見ると、すぐに奥へ飛んでいく。

 

「待て!」

 

マサヒロたちも追いかける。

 

階段を上り、長い廊下を進む。

 

やがて、ゴーストが一つの部屋へ入った。

 

「ここか?」

 

マサヒロが中を覗く。

 

そこには、何匹ものポケモンがいた。

 

弱っているポケモン。

 

怪我をしているポケモン。

 

そのポケモンたちを、ゲンガーが守っていた。

 

「……ゲンガー」

 

ゲンガーはマサヒロたちを見る。

 

だが、昨日のように威嚇することはなかった。

 

むしろ、そこにいるポケモンたちを指すように、手を動かした。

 

「こいつらを守ってるのか?」

 

「ゲン……」

 

ゲンガーが頷く。

 

「そうだったんだな」

 

マサヒロは納得した。

 

「昨日、俺たちを攻撃したのも……俺たちがこいつらに近づいたからか」

 

ゲンガーは黙っている。

 

「悪かったな」

 

マサヒロは頭を下げた。

 

「俺、てっきりお前が敵だと思ってた」

 

「ブイ……」

 

イーブイもゲンガーの前へ歩いていく。

 

ゲンガーはイーブイを見る。

 

そして、ゆっくりと手を伸ばした。

 

イーブイも逃げなかった。

 

二匹の間に、静かな時間が流れる。

 

その時だった。

 

「……いたぞ」

 

突然、廊下から声がした。

 

マサヒロが振り返る。

 

「誰だ!」

 

黒い服を着た男が、部屋の入口に立っていた。

 

その胸には、ロケット団のマーク。

 

「……ロケット団!」

 

マサヒロが身構える。

 

「またロケット団か!」

 

男はニヤリと笑った。

 

「探したぞ」

 

そして、イーブイを見る。

 

「実験体E-01……」

 

「!」

 

マサヒロの表情が変わった。

 

「……E-01」

 

第13話でランスから聞いた言葉。

 

イーブイがロケット団の実験体だったという証拠。

 

「お前……イーブイを知ってるのか?」

 

「当然だ」

 

男はボールを取り出した。

 

「その個体を回収するのが俺の任務だ」

 

「ふざけるな!」

 

マサヒロはイーブイの前に立つ。

 

「イーブイは物じゃない!」

 

「ブイ!」

 

イーブイもマサヒロの横に並ぶ。

 

ゲンガーも動いた。

 

「ゲン……」

 

男が笑う。

 

「邪魔をするなら、お前たちもまとめて相手をしてやる!」

 

ボールからポケモンが飛び出す。

 

「出てこい!」

 

現れたのは、ドガースとスリープだった。

 

「いくぞ!」

 

マサヒロもボールを取り出す。

 

「スピアー! フシギソウ!」

 

二匹が飛び出した。

 

「ハクリューとバルキーも頼む!」

 

四匹が並ぶ。

 

そして――

 

「イーブイ!」

 

「ブイ!」

 

戦いが始まった。

 

「ドガース、ヘドロこうげき!」

 

「スピアー、こうそくいどう!」

 

ドガースが吐き出した攻撃を、スピアーが高速でかわす。

 

「そのままダブルニードル!」

 

スピアーが一気に接近する。

 

「スリープ、ねんりき!」

 

スリープが超能力を放つ。

 

「フシギソウ、避けろ!」

 

フシギソウが横へ飛ぶ。

 

「はっぱカッター!」

 

鋭い葉がスリープへ飛んでいく。

 

「ハクリュー、たつまき!」

 

「ハクリュー!」

 

竜巻がドガースを巻き込む。

 

「バルキー、いけ!」

 

「バル!」

 

バルキーも走り出した。

 

「イーブイは俺と一緒に行くぞ!」

 

「ブイ!」

 

イーブイが走る。

 

「でんこうせっか!」

 

一瞬で距離を詰める。

 

「かみつく!」

 

イーブイがドガースへ飛びかかる。

 

「よし!」

 

だが――

 

「まだだ!」

 

スリープがイーブイへ向けてねんりきを放つ。

 

「イーブイ!」

 

ゲンガーが動いた。

 

「ゲン!」

 

黒い影がイーブイの前に現れ、攻撃を受け止める。

 

「ゲンガー!」

 

ゲンガーがスリープを睨む。

 

「助かった!」

 

イーブイもゲンガーを見る。

 

「ブイ!」

 

二匹が並んだ。

 

「……行けるか?」

 

「ブイ!」

 

「ゲン!」

 

マサヒロは笑った。

 

「よし! 二人でいくぞ!」

 

「イーブイ、かげぶんしん!」

 

イーブイの姿がいくつにも分かれる。

 

「ゲンガー、今だ!」

 

ゲンガーが影の中へ消える。

 

「どこだ!?」

 

ロケット団員が周囲を見る。

 

「そこだ!」

 

ゲンガーが背後から現れた。

 

「ゲン!」

 

「イーブイ!」

 

「ブイ!」

 

イーブイも一気に走る。

 

「かみつく!」

 

ゲンガーとイーブイの攻撃が同時に決まった。

 

「ぐわっ!」

 

ロケット団員が吹き飛ぶ。

 

「今だ! 全員、一気に攻撃!」

 

「スピアー、ダブルニードル!」

 

「フシギソウ、はっぱカッター!」

 

「ハクリュー、りゅうのいかり!」

 

「バルキー、いけ!」

 

四匹の攻撃が一斉に飛んでいく。

 

「ドガース!」

 

「スリープ!」

 

二匹が吹き飛ばされた。

 

「くそっ!」

 

ロケット団員が後ずさる。

 

「まだだ!」

 

男が別のボールへ手を伸ばした。

 

その瞬間。

 

「イーブイ、エボルブラスト!」

 

「ブイッ!」

 

イーブイの尻尾に力が集まる。

 

「待て!」

 

ゲンガーがイーブイの前に立った。

 

「……え?」

 

イーブイが止まる。

 

ゲンガーは首を横に振った。

 

「ゲン……」

 

「使うなってことか?」

 

マサヒロはゲンガーを見る。

 

そして、すぐに頷いた。

 

「……そうだな」

 

マサヒロはイーブイへ声をかける。

 

「無理する必要はない!」

 

「ブイ!」

 

「みんなで勝つぞ!」

 

「フシ!」

 

「ハチ!」

 

「シャア!」

 

「バル!」

 

仲間たちが一斉に動いた。

 

ゲンガーもその中へ加わる。

 

「いけえええっ!」

 

全員の攻撃が、ロケット団員たちへ集中した。

 

「うわああああっ!」

 

ドガースとスリープもろとも、ロケット団員が吹き飛んでいく。

 

「覚えてろぉぉぉ!」

 

声だけが遠ざかっていった。

 

* * *

 

静かになったポケモンタワー。

 

「……終わったな」

 

マサヒロが息を吐く。

 

イーブイがゲンガーのところへ歩いていく。

 

「ブイ……」

 

ゲンガーはイーブイを見つめる。

 

そして、そっと頭に手を置いた。

 

「……」

 

イーブイは嬉しそうに目を細める。

 

「ゲンガー」

 

マサヒロが声をかける。

 

「イーブイのこと……何か知ってるのか?」

 

ゲンガーは答えない。

 

ただ、イーブイを見つめている。

 

「……そっか」

 

マサヒロは無理に聞こうとはしなかった。

 

「いつか分かるといいな」

 

イーブイが振り返る。

 

「ブイ!」

 

「俺たちは行くけど……」

 

マサヒロはゲンガーへ手を振る。

 

「また会おうな!」

 

ゲンガーは少しだけ笑った。

 

「ゲン……」

 

イーブイも手を振るように前足を上げる。

 

「ブイ!」

 

そして、マサヒロたちはポケモンタワーを後にした。

 

* * *

 

シオンタウンの入口。

 

「じゃあな、シオンタウン!」

 

マサヒロは町を振り返る。

 

「次はどんなポケモンと会えるかな!」

 

「ブイ!」

 

「よし! 次のジムを目指すぞ!」

 

マサヒロたちは歩き出した。

 

その頃。

 

ポケモンタワーの最上階。

 

ゲンガーは、遠ざかっていくマサヒロたちを見つめていた。

 

「……」

 

その目は、イーブイを追っている。

 

一方。

 

シオンタウンから少し離れた場所では、先ほどのロケット団員が通信機を使っていた。

 

「こちらシオンタウン支部」

 

『どうした?』

 

「E-01を確認しました」

 

『確保は?』

 

「失敗しました」

 

少しの沈黙。

 

「ですが……あの個体には、強力な仲間がついています」

 

『……なるほど』

 

通信が切れる。

 

ロケット団員はイーブイたちが去った方向を見つめた。

 

「E-01……」

 

そして、静かに呟いた。

 

「次は必ず捕まえる」

 

遠くの道を歩くマサヒロたち。

 

その先には――

 

新たな町が待っていた。

 

「行くぞ、みんな!」

 

「ブイ!」

 

「フシ!」

 

「ハチ!」

 

「シャア!」

 

「バル!」

 

マサヒロたちは、次の冒険へ向かって走り出した。

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