ポケットモンスターブラウン   作:光宙

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19話 タマムシシティ!新たなジム戦!

「見えた!」

 

マサヒロが前を指差した。

 

道の先に、大きな街が広がっている。

 

高い建物。

 

たくさんの人。

 

道を行き交うトレーナーたち。

 

「ここがタマムシシティか!」

 

マサヒロは目を輝かせた。

 

「すげえ……!」

 

「ブイ!」

 

イーブイも街を見回す。

 

その後ろでは、ガーディが少し不安そうにしていた。

 

「ガウ……」

 

「ガーディ?」

 

マサヒロが振り返る。

 

ガーディは周囲の人間を警戒している。

 

まだ、人間がたくさんいる場所には慣れていないようだ。

 

マサヒロはしゃがんだ。

 

「大丈夫だぞ」

 

ガーディの頭を優しく撫でる。

 

「俺たちが一緒だからな」

 

「ガウ……」

 

ガーディはマサヒロを見る。

 

そして、ゆっくりとその隣へ歩いてきた。

 

「よし!」

 

マサヒロは笑った。

 

「じゃあ、まずはジムだ!」

 

「ブイ!」

 

「フシ!」

 

「ハチ!」

 

「シャア!」

 

「バル!」

 

「ガウ!」

 

マサヒロたちは街の中へ入っていった。

 

* * *

 

「タマムシジムは……ここだ!」

 

緑に囲まれた大きな建物。

 

マサヒロは扉を開けた。

 

「こんにちは!」

 

中へ入ると、たくさんの草花が目に入った。

 

「うわ……」

 

「ブイ……」

 

「ジムの中なのに森みたいだ」

 

その時、奥から一人の女性が歩いてきた。

 

「こんにちは」

 

穏やかな笑顔。

 

「ようこそ、タマムシジムへ」

 

「俺、マサヒロです!」

 

マサヒロは元気よく頭を下げる。

 

「ジムバッジを集めています! ジム戦をお願いします!」

 

「まあ」

 

女性は微笑んだ。

 

「私はエリカ。このタマムシジムのジムリーダーです」

 

「エリカさん!」

 

マサヒロは嬉しそうに声を上げた。

 

「よろしくお願いします!」

 

「こちらこそ」

 

エリカはマサヒロの後ろを見る。

 

そして、ガーディに目を止めた。

 

「そのガーディは……?」

 

「昨日、仲間になったんです」

 

マサヒロはガーディの隣にしゃがんだ。

 

「道で傷だらけになっているところを見つけました」

 

「まあ……」

 

エリカの表情が曇る。

 

「最初は俺にも近づかせてくれませんでした」

 

マサヒロはガーディを見る。

 

「でも、少しずつ俺を信じてくれて……」

 

ガーディがマサヒロを見る。

 

「最後には、自分からモンスターボールに入ってくれたんです」

 

「素敵ですね」

 

エリカは優しく微笑む。

 

「ポケモンとの信頼は、とても大切なものです」

 

「信頼……」

 

「ポケモンは、トレーナーとの心が通じている時こそ、本当の力を発揮します」

 

マサヒロはガーディを見る。

 

「……俺も、ガーディを信じます」

 

「ガウ」

 

ガーディが小さく鳴いた。

 

「では、始めましょう」

 

エリカがバトルフィールドへ向かう。

 

「あなたとポケモンたちの絆、見せてください」

 

* * *

 

「ジム戦、開始!」

 

審判の声が響く。

 

エリカがモンスターボールを投げる。

 

「お願いします、ウツドン」

 

「ウツ!」

 

ウツドンが現れた。

 

マサヒロもボールを構える。

 

「行け、スピアー!」

 

「ハチ!」

 

スピアーが飛び出した。

 

「スピアー、頼むぞ!」

 

「ハチ!」

 

「それでは……」

 

エリカが手を上げる。

 

「ウツドン、つるのムチ!」

 

「ウツ!」

 

二本のつるが伸びる。

 

「こうそくいどう!」

 

「ハチッ!」

 

スピアーが一瞬で駆け抜ける。

 

つるが空を切った。

 

「そのまま、ダブルニードル!」

 

「ハチィ!」

 

スピアーがウツドンへ突撃する。

 

二本の針が命中した。

 

「ウツ!」

 

ウツドンがよろめく。

 

「もう一度だ!」

 

「ハチ!」

 

スピアーが再び突撃する。

 

「ウツ……!」

 

ウツドンが倒れた。

 

「ウツドン、戦闘不能!」

 

「よし!」

 

マサヒロが拳を握る。

 

「スピアー、ナイス!」

 

「ハチ!」

 

エリカはウツドンを戻した。

 

「見事な連携ですね」

 

そして、次のモンスターボールを取り出す。

 

「では、ラフレシア」

 

「ラフ!」

 

大きなラフレシアが現れた。

 

「でかい……!」

 

マサヒロは少し驚く。

 

「スピアー、まだいけるか?」

 

「ハチ!」

 

スピアーは羽を動かし、戦う意思を見せる。

 

「なら行くぞ!」

 

「ラフレシア、はっぱカッター!」

 

「ラフ!」

 

無数の葉が飛んでくる。

 

「こうそくいどう!」

 

「ハチッ!」

 

スピアーが高速で走る。

 

葉を次々とかわしていく。

 

「そのまま、どくづき!」

 

「ハチィ!」

 

スピアーがラフレシアへ迫る。

 

毒の力を込めた針がラフレシアを捉えた。

 

「ラフ!」

 

ラフレシアが後ろへ下がる。

 

「いいぞ!」

 

マサヒロが叫ぶ。

 

「もう一度――」

 

「ねむりごな」

 

「ラフ!」

 

ラフレシアから粉が広がった。

 

「スピアー、避けろ!」

 

スピアーは横へ飛ぶ。

 

しかし、少しだけ粉を浴びてしまった。

 

「ハチ……」

 

動きが鈍くなる。

 

「スピアー!」

 

ラフレシアが近づく。

 

「つるのムチ!」

 

「ハチッ!」

 

つるがスピアーを捉えた。

 

「スピアー!」

 

そのまま地面へ叩きつけられる。

 

「ハチ……」

 

スピアーは立ち上がろうとする。

 

だが、体がふらついている。

 

「……戻れ」

 

マサヒロはボールを向けた。

 

「よく頑張った」

 

スピアーがボールへ戻る。

 

「次は……」

 

マサヒロはガーディを見る。

 

「ガーディ!」

 

「ガウ」

 

ガーディが前へ出る。

 

「お前にお願いしたい」

 

ガーディはラフレシアを見る。

 

少しだけ体が震える。

 

マサヒロはその様子に気づいた。

 

「……怖いか?」

 

「ガウ……」

 

「無理に戦わなくてもいいぞ」

 

マサヒロはしゃがんだ。

 

「俺は、お前を無理やり戦わせたくない」

 

ガーディはマサヒロを見る。

 

「一緒に戦いたいなら、来てくれ」

 

ガーディはしばらく黙っていた。

 

そして――

 

「ガウッ!」

 

自分からフィールドへ走り出した。

 

「……!」

 

マサヒロは笑った。

 

「よし!」

 

「ガウ!」

 

「一緒に勝とう!」

 

* * *

 

「ラフレシア、つるのムチ!」

 

「ガウ!」

 

ガーディが走る。

 

つるが迫ってくる。

 

「右だ!」

 

ガーディが横へ飛ぶ。

 

つるが地面を叩いた。

 

「そのまま、かみつく!」

 

「ガウッ!」

 

ガーディがラフレシアへ飛び込む。

 

鋭い牙がラフレシアを捉えた。

 

「ラフ!」

 

ラフレシアがよろめく。

 

「いいぞ、ガーディ!」

 

「ガウ!」

 

エリカが指示を出す。

 

「はっぱカッター!」

 

「ラフ!」

 

葉が一斉に飛んでくる。

 

「走れ!」

 

ガーディが走る。

 

葉をかわしながら、ラフレシアとの距離を詰める。

 

「かえんぐるま!」

 

「ガウウッ!」

 

ガーディの体が炎に包まれる。

 

そのまま一直線に突っ込む。

 

「ラフ!」

 

炎の攻撃がラフレシアに命中した。

 

「ラフ!」

 

ラフレシアが大きく後ろへ吹き飛ぶ。

 

「まだです!」

 

エリカが叫ぶ。

 

「ラフレシア、つるのムチ!」

 

「ラフ!」

 

つるが伸びる。

 

「避けろ!」

 

ガーディが飛び上がる。

 

しかし――

 

つるが後ろ足に絡みついた。

 

「ガウッ!」

 

ガーディが地面へ倒れる。

 

「ガーディ!」

 

ラフレシアが引っ張る。

 

「ガウ……!」

 

ガーディが苦しそうに声を上げる。

 

マサヒロは拳を握った。

 

「ガーディ!」

 

ガーディが顔を上げる。

 

「俺を見ろ!」

 

ガーディがマサヒロを見る。

 

「お前は俺を信じてくれた!」

 

マサヒロは叫ぶ。

 

「だから、俺もお前を信じる!」

 

ガーディの目に力が戻る。

 

「ガウッ!」

 

ガーディが力を込める。

 

つるを引っ張る。

 

「そのまま!」

 

「ガウウウッ!」

 

ガーディがつるを振りほどいた。

 

「今だ!」

 

ガーディが走る。

 

「とっしん!」

 

「ガウッ!」

 

ガーディが全力でラフレシアへ突っ込む。

 

「ラフ!」

 

ラフレシアが大きく吹き飛ぶ。

 

そのまま地面に倒れた。

 

「ラフレシア、戦闘不能!」

 

審判が宣言する。

 

「勝者、マサヒロ!」

 

「やったあああ!」

 

マサヒロが拳を突き上げる。

 

「ガーディ、やったな!」

 

「ガウ!」

 

ガーディがマサヒロへ駆け寄る。

 

マサヒロはしゃがみ、ガーディの頭を撫でた。

 

「すごかったぞ!」

 

「ガウ!」

 

ガーディは嬉しそうに尻尾を振る。

 

「ガーディ……」

 

エリカが微笑む。

 

「素晴らしい戦いでした」

 

マサヒロが振り返る。

 

「ありがとうございます!」

 

エリカはバッジを取り出した。

 

「あなたに、これを」

 

「これは……!」

 

マサヒロが両手で受け取る。

 

「タマムシジムのバッジです」

 

「やった!」

 

マサヒロはバッジを高く掲げた。

 

「これで四つ目だ!」

 

「ブイ!」

 

「フシ!」

 

「ハチ!」

 

「シャア!」

 

「バル!」

 

「ガウ!」

 

仲間たちが一斉に喜ぶ。

 

マサヒロはバッジを大切そうにしまった。

 

「みんな、ありがとう!」

 

* * *

 

タマムシジムを出る。

 

夕方の街を、マサヒロたちは歩いていた。

 

ガーディはマサヒロのすぐ隣を歩いている。

 

「ガーディ」

 

「ガウ?」

 

「今日はすごかったな」

 

「ガウ!」

 

「自分から戦いたいって出てきてくれた」

 

マサヒロは笑う。

 

「嬉しかったぞ」

 

ガーディはマサヒロを見上げる。

 

そして、尻尾を振った。

 

「これからも一緒に頑張ろうな」

 

「ガウッ!」

 

イーブイもガーディの隣に並ぶ。

 

「ブイ!」

 

ガーディも嬉しそうに鳴いた。

 

「ガウ!」

 

マサヒロは仲間たちを見る。

 

イーブイ。

 

フシギソウ。

 

スピアー。

 

ハクリュー。

 

バルキー。

 

そしてガーディ。

 

「よーし!」

 

マサヒロは前を向いた。

 

「次のバッジも絶対取るぞ!」

 

「ブイ!」

 

「ガウ!」

 

夕暮れのタマムシシティを、マサヒロたちは歩いていった。

 

その足取りは、どこまでも力強かった。

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