ポケットモンスターブラウン   作:光宙

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間髪入れず新たなお別れ回だぁ!


27話 竜の谷!仲間との別れ!

サファリゾーン。

 

広大な自然が広がる場所へ、マサヒロとイーブイはやって来た。

 

「すげぇ……!」

 

マサヒロは辺りを見回す。

 

「いろんなポケモンがいるんだな!」

 

「ブイ!」

 

その時だった。

 

「おや?」

 

一人の老人がマサヒロに近づいてきた。

 

サファリゾーンの管理人、カイザーだった。

 

「君、見ない顔だな」

 

「こんにちは!」

 

マサヒロが挨拶する。

 

「俺、マサヒロっていいます!」

 

「そうか」

 

カイザーはマサヒロを見る。

 

そして――。

 

マサヒロの腰にあるボールへ目を向けた。

 

「……ん?」

 

「どうしたんですか?」

 

マサヒロが首を傾げる。

 

カイザーの顔色が変わった。

 

「そのポケモン……!」

 

「え?」

 

次の瞬間。

 

カイザーは銃を取り出した。

 

「動くな!」

 

「うわぁっ!?」

 

マサヒロは慌てて両手を上げる。

 

イーブイも驚いて飛び上がった。

 

「な、なんですか!?」

 

「そのポケモンをどこで手に入れた!」

 

カイザーは銃を向けたまま叫ぶ。

 

「そのポケモンって……?」

 

「ハクリューだ!」

 

「ハクリュー!?」

 

マサヒロは慌ててボールを取り出す。

 

「こいつのことですか!?」

 

「そうだ!」

 

「待ってください!」

 

マサヒロは必死に説明する。

 

「こいつは無理やり捕まえたんじゃありません!」

 

カイザーの表情が険しくなる。

 

「……本当か?」

 

「はい!」

 

マサヒロはハクリューを見る。

 

「こいつは俺が釣り上げて出会ったんです!」

 

「釣り上げた……?」

 

「それからずっと一緒に旅をしてきた、大切な仲間なんです!」

 

「シャア……」

 

ハクリューもマサヒロの隣に立つ。

 

カイザーはハクリューとマサヒロを交互に見た。

 

そして、ゆっくりと銃を下ろした。

 

「……そうだったのか」

 

「びっくりしました……」

 

マサヒロは胸を撫で下ろす。

 

「いきなり銃を向けるなんて、怖いですよ!」

 

「すまなかった」

 

カイザーは頭を下げる。

 

「私には、そうせざるを得ない理由がある」

 

「理由……ですか?」

 

「ああ」

 

カイザーは遠くを見る。

 

「昔、このサファリゾーンでミニリュウが発見されたことがあった」

 

「ミニリュウが?」

 

「ああ」

 

カイザーは話し始める。

 

「その噂を聞きつけた人々が、一斉にミニリュウを捕まえようとした」

 

「……」

 

「ポケモンの乱獲が始まったんだ」

 

マサヒロはハクリューを見る。

 

「そんなことがあったんですか……」

 

「私はミニリュウたちを守るため、ここから逃がした」

 

「どこへ逃がしたんですか?」

 

「竜の谷だ」

 

カイザーは答える。

 

「そこなら人間の手が届きにくい。ミニリュウたちが安心して暮らせると思った」

 

「じゃあ、ハクリューも……?」

 

「ああ」

 

カイザーはハクリューを見る。

 

「その中の一匹が今ではハクリューとなり、竜の谷で暮らすミニリュウたちを守っている」

 

「……!」

 

マサヒロは驚いた。

 

「そうだったんですね」

 

「だから私は、君がそのハクリューを連れているのを見て……」

 

カイザーは申し訳なさそうに頭を下げる。

 

「無理やり捕獲したのではないかと思ってしまった」

 

「……」

 

「本当にすまなかった」

 

「もう大丈夫です」

 

マサヒロは笑う。

 

「ハクリューが俺と一緒にいることを選んでくれたんですから」

 

「シャア」

 

ハクリューもマサヒロに寄り添う。

 

「そうか……」

 

カイザーは少しだけ笑った。

 

その様子を――。

 

物陰から覗いている三人組がいた。

 

「なるほどねぇ」

 

ムサシがニヤリと笑う。

 

「ミニリュウがいる場所が分かったわね」

 

「しかもハクリューまでいるとは!」

 

コジロウも嬉しそうに笑う。

 

「これは大もうけニャ!」

 

ニャースが舌なめずりする。

 

「決まりだわ!」

 

「行くぞ!」

 

「ニャ!」

 

三人はこっそりとその場を離れていった。

 

「……?」

 

マサヒロは一瞬だけ物音に気づいた。

 

「今、何か聞こえませんでした?」

 

「ブイ?」

 

「気のせいかな」

 

マサヒロは気にせず歩き出す。

 

その頃――。

 

ロケット団は竜の谷へ向かっていた。

 

竜の谷。

 

そこにはたくさんのミニリュウとハクリューが暮らしていた。

 

「シャア!」

 

ハクリューたちが楽しそうに遊んでいる。

 

「かわいいなぁ」

 

マサヒロは笑う。

 

「こんな場所があったんですね」

 

「シャア」

 

マサヒロのハクリューも嬉しそうに仲間たちを見ている。

 

その時だった。

 

「待ちなさい!」

 

「!?」

 

マサヒロが振り返る。

 

ロケット団が姿を現した。

 

「誰なんだ一体!」

 

マサヒロが驚く。

 

するとムサシが前へ出る。

 

「誰なんだ一体と聞かれたら!」

 

コジロウが続く。

 

「答えてあげるが世の情け!」

 

「世界の破壊を防ぐため!」

 

「世界の平和を守るため!」

 

「愛と真実の悪を貫く!」

 

「ラブリーチャーミーな敵役!」

 

「ムサシ!」

 

「コジロウ!」

 

「銀河を駆けるロケット団の二人には!」

 

「ホワイトホール、白い明日が待ってるぜ!」

 

「ニャーんてニャ!」

 

「ロケット団!?」

 

マサヒロが驚く。

 

「その通り!」

 

ムサシが笑う。

 

「この竜の谷にいるミニリュウとハクリューを、全部いただくわよ!」

 

「そうはさせるか!」

 

マサヒロが前へ出る。

 

「ここにいるポケモンたちには絶対に手を出させない!」

 

「砂利ボーイ一人で何ができるっていうの?」

 

「やってみろ!」

 

ロケット団が攻撃を仕掛ける。

 

「行け、ウインディ!」

 

「ウォン!」

 

「イーブイ、援護してくれ!」

 

「ブイ!」

 

マサヒロと仲間たちはロケット団と戦い始めた。

 

「ウインディ、かみくだく!」

 

「ウォン!」

 

ウインディがロケット団へ飛びかかる。

 

「ニャース、避けろ!」

 

「ニャニャ!」

 

ニャースが慌てて逃げる。

 

「イーブイ、でんこうせっか!」

 

「ブイ!」

 

イーブイが高速で駆ける。

 

「よし!」

 

マサヒロは叫ぶ。

 

しかし――。

 

「ミニリュウたちを捕まえるのよ!」

 

「了解!」

 

ロケット団はマサヒロとの戦いだけではなく、ミニリュウたちにも狙いを定めていた。

 

「くっ!」

 

マサヒロはミニリュウたちを守る。

 

「イーブイ、右!」

 

「ブイ!」

 

「ウインディ、あっちを頼む!」

 

「ウォン!」

 

ウインディが別の場所へ走る。

 

だが――。

 

「今だ!」

 

「えっ!?」

 

別の方向から攻撃が飛んでくる。

 

「ウインディ!」

 

ドォン!

 

ウインディが吹き飛ばされる。

 

「ウォン……!」

 

「ウインディ!」

 

マサヒロが駆け寄る。

 

「大丈夫ですか!?」

 

「ウォン……」

 

ウインディは立ち上がる。

 

その間にもロケット団が迫ってくる。

 

「くそ……!」

 

マサヒロは歯を食いしばる。

 

「守りながら戦うのは難しい……!」

 

ミニリュウたちを背中にかばう。

 

イーブイも隣に立つ。

 

「ブイ……!」

 

「絶対に守るぞ!」

 

「ブイ!」

 

その時だった。

 

マサヒロのハクリューが前へ出た。

 

「シャア!」

 

ハクリューはミニリュウたちの前に立つ。

 

「ハクリュー!」

 

マサヒロが叫ぶ。

 

ロケット団の攻撃が迫る。

 

「やっつけろ!」

 

ハクリューは動かない。

 

ミニリュウたちを守るように、じっと立っている。

 

「シャア……!」

 

その身体が光り始めた。

 

「え……?」

 

マサヒロが目を見開く。

 

「ハクリュー!?」

 

「シャアアアア!」

 

光がどんどん強くなる。

 

身体が大きくなっていく。

 

翼が生え、身体の形が変わっていく。

 

「まさか……!」

 

マサヒロが叫ぶ。

 

「進化するのか!?」

 

強い光が弾けた。

 

「……!」

 

そこに立っていたのは――。

 

大きな身体。

 

白い翼。

 

力強い手足。

 

「カイリュー……!」

 

マサヒロは驚く。

 

「ハクリューが……カイリューに!」

 

「ウォォン!」

 

カイリューが力強く吠える。

 

「すごい……!」

 

マサヒロは笑う。

 

「でも、今は喜んでる場合じゃない!」

 

ロケット団が再び攻撃を仕掛ける。

 

「捕まえろ!」

 

「させるか!」

 

マサヒロが叫ぶ。

 

「カイリュー!」

 

「ウォン!」

 

「はかいこうせん!」

 

カイリューの口に強烈な光が集まる。

 

「ウォォォン!」

 

ドォォォン!

 

巨大な光線がロケット団を吹き飛ばす。

 

「うわぁぁぁ!」

 

「なんでこんなに強いんだぁ!」

 

「ニャァァァ!」

 

三人は空高く吹き飛んでいく。

 

「「「やなカンジー!」」」

 

ロケット団は空の彼方へ消えていった。

 

「やった!」

 

マサヒロが拳を握る。

 

「カイリュー、すごいぞ!」

 

「ウォン!」

 

ミニリュウたちもカイリューの周りへ集まる。

 

「シャア!」

 

「よかった……」

 

マサヒロは笑った。

 

しかし、カイザーは険しい表情をしていた。

 

「……まずいな」

 

「どうしたんですか?」

 

マサヒロが振り返る。

 

「ロケット団に、この竜の谷の場所を知られてしまった」

 

「……!」

 

「これからも奴らがここを狙ってくるかもしれない」

 

カイザーはカイリューを見る。

 

そして――。

 

「カイリュー」

 

「ウォン?」

 

「頼みがある」

 

カイザーは真剣な表情で言った。

 

「ここにいるミニリュウとハクリューたちを守ってくれないか?」

 

「……!」

 

マサヒロが驚く。

 

カイリューはミニリュウたちを見る。

 

そして、マサヒロを見る。

 

「ウォン……」

 

カイリューは寂しそうな声を出す。

 

「カイリュー……」

 

マサヒロはその気持ちを感じ取った。

 

「俺と……別れるのが嫌なのか?」

 

「ウォン……」

 

カイリューが頷く。

 

マサヒロの胸が痛くなる。

 

「俺だって……嫌だよ」

 

マサヒロはカイリューの身体に手を置く。

 

「ミニリュウの頃からずっと一緒に旅してきたもんな」

 

「ウォン……」

 

「一緒にご飯を食べて、バトルもした」

 

マサヒロは笑う。

 

「いっぱい思い出がある」

 

カイリューは静かにマサヒロを見る。

 

その時、マサヒロの頭にシバの言葉が浮かんだ。

 

――ポケモン自身の望みを尊重することも、トレーナーの大切な役目だ。

 

「……そうだ」

 

マサヒロは呟く。

 

「俺はバルキーの時にも、同じことをした」

 

マサヒロはカイリューを見る。

 

「カイリューも、ここに残ってミニリュウたちを守りたいんだな?」

 

「ウォン!」

 

カイリューは力強く頷いた。

 

マサヒロは少しだけ寂しそうに笑った。

 

「分かった」

 

「ウォン……?」

 

「俺はカイリューの気持ちを大切にする」

 

マサヒロはカイリューを抱きしめる。

 

「ここに残って、みんなを守ってくれ」

 

「ウォォン……」

 

カイリューの目から涙がこぼれる。

 

「泣くなよ……」

 

マサヒロも目に涙を浮かべる。

 

「俺だって寂しいんだから……」

 

カイリューはマサヒロを強く抱きしめる。

 

「ウォォォン……!」

 

マサヒロもカイリューの身体を両腕で強く抱きしめた。

 

「今までありがとう、カイリュー」

 

「ウォン……」

 

「ずっと大切な仲間だぞ」

 

「ウォォン……!」

 

二人はしばらく離れなかった。

 

やがて、マサヒロがゆっくりと身体を離す。

 

「じゃあな、カイリュー」

 

「ウォン……」

 

「ミニリュウたちを頼んだぞ」

 

カイリューは涙を拭い、力強く頷く。

 

「ウォン!」

 

マサヒロは笑う。

 

「じゃあ、俺も負けないように頑張るからな!」

 

「ウォン!」

 

イーブイがマサヒロの隣に立つ。

 

「ブイ!」

 

マサヒロは最後にもう一度、カイリューを見る。

 

「行こう、イーブイ」

 

「ブイ!」

 

マサヒロは歩き出す。

 

後ろを振り返る。

 

そこには、ミニリュウたちに囲まれたカイリューがいた。

 

「カイリュー!」

 

「ウォン!」

 

マサヒロは手を振る。

 

カイリューも大きく手を振り返す。

 

やがてマサヒロの姿が見えなくなる。

 

カイリューは竜の谷を振り返った。

 

そして――。

 

ミニリュウたちを守るように、その前へ立った。

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