カイリューと別れたマサヒロとイーブイは、再び旅を続けていた。
「……」
マサヒロは少し寂しそうに歩いている。
「ブイ……」
イーブイも心配そうにマサヒロを見る。
「大丈夫だよ、イーブイ」
マサヒロは笑う。
「カイリューは自分で残ることを選んだんだ」
「ブイ」
「だから俺も、もっと強くならないとな」
マサヒロは前を向く。
しばらく歩いていると――。
「ん?」
森の奥に、大きな柵が見えてきた。
その入り口には看板が立っている。
『ポケモン保護区』
「ポケモン保護区?」
マサヒロは看板を見る。
「こんな場所があったんだ」
「ブイ!」
「ちょっと見てみようぜ」
マサヒロとイーブイは保護区へ入っていく。
すると――。
「うーん……」
一人の男性が頭を抱えていた。
「どうしたんですか?」
マサヒロが声をかける。
男性は振り返る。
「君は?」
「俺、マサヒロっていいます」
マサヒロは頭を下げる。
「何か困ってるみたいですけど、大丈夫ですか?」
「実はな……」
男性はため息をつく。
「この保護区に住み着いていたコイキングが、最近ギャラドスに進化したんだ」
「ギャラドスに!?」
マサヒロが驚く。
「それだけなら喜ばしいことなんだが……」
男性は頭を抱える。
「進化してからというもの、大暴れしていてな」
「大暴れ……?」
「ああ。池を荒らしたり、木をなぎ倒したり……」
「それは大変ですね」
「しかも、とても強くて手がつけられない」
男性は困った顔をする。
「このままでは保護区にいるポケモンたちまで危険なんだ」
「……」
マサヒロは保護区の奥を見る。
そこにはピジョンやモンジャラ、ニドリーナ、ニドリーノ、ポニータ、コダックなど、たくさんのポケモンが暮らしていた。
「こいつらを守らないといけないんですね」
「ああ」
男性は頷く。
「ところで……」
男性がマサヒロを見る。
「君はポケモントレーナーか?」
「はい!」
マサヒロは胸を張る。
「ジムバッジも六つ持ってます!」
「六つも!?」
男性の目が輝く。
「それなら……」
男性はマサヒロを見る。
「君ならギャラドスを捕まえられるんじゃないか?」
「俺が?」
「六つのバッジを持つ実力者なんだろう?」
「まあ……そうですけど」
「君しか頼れる人がいないんだ」
「……」
マサヒロは少し考える。
「分かりました!」
あっさり引き受けた。
「俺に任せてください!」
「ありがとう!」
男性は嬉しそうに笑う。
「よーし!」
マサヒロは拳を握る。
「ギャラドスなんて、俺のポケモンたちなら簡単に――」
その時。
「ゴオオオオオオッ!」
遠くから凄まじい音が響いた。
「!?」
マサヒロとイーブイが振り返る。
森の木々が次々と倒れていく。
「来たぞ!」
男性が叫ぶ。
「ギャラドスだ!」
「よし!」
マサヒロはボールを取り出す。
「みんな、行くぞ!」
「行け、フシギソウ!」
「ソウ!」
「スピアー!」
「シュッ!」
「ウインディ!」
「ウォン!」
「イーブイも頼むぞ!」
「ブイ!」
マサヒロは四匹とともにギャラドスへ立ち向かう。
そこへ――。
巨大なギャラドスが姿を現した。
「ギャアアアアアス!」
「でかっ……!」
マサヒロは思わず後ずさる。
「でも、負けるわけにはいかない!」
「フシギソウ、つるのムチ!」
「ソウ!」
フシギソウがつるを伸ばす。
しかし――。
「ギャア!」
ギャラドスが身体を振る。
「うわっ!」
フシギソウのつるが弾き飛ばされた。
「そんな……!」
「ウインディ、かえんほうしゃ!」
「ウォォン!」
炎がギャラドスへ直撃する。
「よし!」
しかし――。
ギャラドスはびくともしない。
「ギャアア!」
ギャラドスが突進する。
「ウインディ!」
ドォン!
「ウォン!」
ウインディが吹き飛ばされる。
「スピアー、ミサイルばり!」
「シュッ!」
無数の針が飛んでいく。
だが――。
ギャラドスは尻尾を振り、一気に弾き飛ばす。
「スピアー!」
「シュッ……!」
スピアーも地面に落ちる。
「そんな……!」
マサヒロは驚く。
「みんな、全然歯が立たない……!」
「ブイ!」
イーブイが前に出る。
「イーブイ、無理するな!」
しかしギャラドスが大きく口を開ける。
「ギャアアア!」
「危ない!」
マサヒロはイーブイを抱き上げて横へ飛ぶ。
ドォン!
地面が大きくえぐれる。
「こいつ……強すぎる!」
マサヒロは歯を食いしばる。
「六つのバッジを持ってるからって、簡単に捕まえられるわけじゃないんだ……!」
その時。
「ピジョー!」
空からピジョンが飛んできた。
「え?」
ピジョンはギャラドスの頭上を飛び回る。
「ピジョンが……?」
続いて――。
「モジャ!」
モンジャラがつるを伸ばす。
「ニドリーナ!」
「ニドリーノ!」
「ヒヒーン!」
ポニータも走ってくる。
「コダックまで!?」
保護区のポケモンたちが次々と集まってきた。
「みんな……!」
保護官が驚く。
「こいつらもギャラドスを止めようとしているんだ!」
「そうか……!」
マサヒロは拳を握る。
「みんなで力を合わせれば……!」
「ブイ!」
「よし!」
マサヒロは立ち上がる。
「みんな、ギャラドスを止めるぞ!」
ピジョンが空からギャラドスを誘導する。
「ピジョー!」
「モンジャラ、つるで動きを止めて!」
「モジャ!」
モンジャラがつるを伸ばす。
ギャラドスの動きが一瞬止まる。
「今だ!」
「ニドリーナ、ニドリーノ!」
二匹がギャラドスへ攻撃する。
「ギャアアア!」
ギャラドスが暴れる。
「ポニータ、コダックも頼む!」
「ヒヒーン!」
「コダッ!」
保護区のポケモンたちが一斉に動く。
ギャラドスの動きが少しずつ鈍っていく。
「今ならいける!」
マサヒロはボールを取り出す。
「ウインディ、もう一度頼む!」
「ウォン!」
「かえんほうしゃ!」
「ウォォォン!」
炎がギャラドスへ直撃する。
「ギャアアア!」
ギャラドスが大きくのけぞる。
「イーブイ!」
「ブイ!」
「でんこうせっか!」
イーブイが一気に駆ける。
「そのまま!」
イーブイがギャラドスの身体をすり抜ける。
「よし!」
マサヒロはモンスターボールを構える。
「今だ!」
マサヒロはボールを投げた。
「ギャアアア!」
ボールがギャラドスに当たる。
ギャラドスが光となってボールに吸い込まれる。
ボールが地面に落ちる。
「……」
マサヒロも保護官も息をのむ。
カチッ。
ボールが一度揺れる。
カチッ。
もう一度。
そして――。
カチッ!
「……!」
ボールが動かなくなった。
「やった……!」
マサヒロが拳を握る。
「捕まえた!」
「やったな!」
保護官も喜ぶ。
「これで保護区は守られた!」
「みんなのおかげです!」
マサヒロは周りのポケモンたちを見る。
ピジョン。
モンジャラ。
ニドリーナ。
ニドリーノ。
ポニータ。
コダック。
みんな嬉しそうにマサヒロを見ている。
「ありがとう!」
マサヒロは笑う。
「俺一人じゃ絶対に無理だったよ」
「ブイ!」
イーブイも嬉しそうに鳴く。
「さて……」
マサヒロはギャラドスの入ったボールを見る。
「これからよろしくな、ギャラドス!」
「ブイ!」
「一回出てきてくれよ!」
マサヒロはボールのボタンを押す。
「出てこい、ギャラドス!」
ボールからギャラドスが飛び出した。
「ギャアアアアア!」
「うわっ!?」
ギャラドスはいきなり大きく吠える。
「えっと……」
マサヒロは少し引きつった笑顔になる。
「ギャラドス、俺の言うことを聞いてくれよ」
「ギャア!」
ギャラドスはマサヒロを睨みつける。
「……」
「……」
マサヒロとギャラドスが見つめ合う。
「ギャアアアアア!」
ギャラドスが突然、尻尾を振り回した。
ドォン!
近くの木が倒れる。
「うわぁぁぁ!」
「ギャラドス、やめろ!」
「ギャアア!」
ギャラドスはさらに暴れ始める。
「止まってくれ!」
マサヒロが必死に呼びかける。
しかし、ギャラドスはまったく言うことを聞かない。
「ギャラドス!」
「ギャア!」
「ダメだこりゃ!」
マサヒロは慌ててモンスターボールを構える。
「戻れ、ギャラドス!」
赤い光がギャラドスを包む。
「ギャアアア!」
ギャラドスはボールの中へ戻っていった。
「ふぅ……」
マサヒロは息を切らす。
「危なかった……」
保護官が苦笑する。
「どうやら、まだ君をトレーナーだとは認めていないようだな」
「そんなぁ……」
マサヒロは肩を落とす。
「せっかく捕まえたのに……」
「でも、君の手持ちになったことには変わりない」
「……そうですね」
マサヒロはボールを見る。
「言うことを聞かないからって、仲間じゃないわけじゃないもんな」
「ブイ!」
「強いポケモンだってことは分かったし!」
マサヒロは笑う。
「これから少しずつ仲良くなればいいんだ!」
「ブイ!」
保護官が笑う。
「大変そうだな」
「はい……」
マサヒロは苦笑する。
「でも、いつかちゃんと仲間になってくれると思います!」
マサヒロはギャラドスのボールを腰に付ける。
「よし!」
「ブイ!」
マサヒロとイーブイは歩き出す。
その後ろでは、ポケモン保護区の仲間たちが二人を見送っていた。
マサヒロは歩きながら、腰のボールを見る。
「ギャラドス!」
返事はない。
「……まあ、気長にいこうぜ!」
「ブイ!」
新しい仲間、ギャラドスを加えて。
マサヒロとイーブイは、再び旅を続けていった。
というわけで久しぶりの仲間加入回でした!
この問題児とマサヒロは打ち解ける事ができるのか、乞うご期待!